伝光録 第四十二祖 梁山(りょうざん)和尚

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【本則】
 後同安和尚に参侍1す。後同安和尚が梁山に問いて曰く、「 如何いかなるか、是、 のう 2下のこと3」。梁山師はそれに対して無言。後同安和尚が曰く、「仏を学んで、いまだ這箇の田地に到らぬこと、最も苦なり。汝が我に問わば、我が言わん」。梁山師は後同安和尚に問う、「 如何いかなるか、是、衲衣下のこと」。後同安和尚が曰く、「密4」。梁山師はすなわち大悟す。

  

袈裟 (大辞泉)

【機縁】
 梁山師は、いずれのところの人ということを知らず。 いみなえん かん。後同安和尚に参じる。 執侍しゅうじ5すること、四歳6。 衣鉢えはつ侍者7に つ8。後同安和尚が、あるとき、上堂し、 早参そうさん9をするために、 のう 法衣ほうえ10を掛ける11必要があった。時が到って、梁山師が後同安和尚に衲法衣を捧げた。後同安和尚は、その法衣を取って、次に師に問いて曰く、「 如何いかなるか、是、衲衣下のこと」。梁山師はそれに対して無言。<中略>師すなわち大悟す。 
 師は和尚に礼拝して、感きわまり涙を流し、衲法衣を 湿うるおす。後同安和尚が曰く、「汝は既に大悟す。また いうるや12」。師が曰く、「私、縁観は、すなわち道うことができます」。後同安和尚が曰く、「 如何いかなるか、是、衲衣下のこと」。師が曰く、「密」。後同安和尚が衲衣下を示して曰く、「密有13、密有」。

【拈提】
 師はこれより 逗機とうき14、おおく密有の言あり。住15して後に学人ありて、衲衣下のことを問うこと多し。あるとき、学人が問う、「 如何いかなるか、是、衲衣下のこと」。師が曰く、「 しゅう せい16も あらわす17ことなし」。またあるとき、別な学人が問う、「 家賊かぞくを防ぎがたい18ときは、 如何いかん」。師が曰く、「 識得しきとく19すれば、 えん20をなさず」。そこで学人が曰く、「 識得しきとくした後では、如何」。師が曰く、「無生国21の裏に 貶向へんこう22せん」。すると学人が曰く、「是23は、他の安身立命の処なることなしや24」。師が曰く、「死水25に龍26を蔵さず」。さらに学人が曰く、「如何なるか、是、活水の龍27」。師が曰く、「波を興して、 なみを作さず28」。そこで学人が曰く、「 忽然こつねん29として、 しゅう30が傾むき、 がく31が倒れるとき32如何」。師は、 下座げざし33、 把住はじゅう34して曰く、「老僧が 袈裟けさ かく35を 濕却しっきゃく36せしむることなかれ37」。

 またあるとき、学人が問う、「如何なるか、是、学人の自己」。師が曰く、「 寰中かんちゅう38は天子、 塞外さいがい39は将軍40[の治めるところ]」。師は、かくのごとく他の為に[対機説法を]せる。ことごとくこれ、密有を てい 41す。

  適来てきらい42の因縁43に曰く、「 学仏がくぶつ44、いまだ 這箇しゃこ45の 田地でんじ46に到らざることは、最も苦なり」と。実なるかな、この ことばは、たとえ 定坐じょうざ47し床をやぶり、精進し、 つかれを忘れ、 高行こうぎょう48、 ぼん ぎょう49の人なりとも、もしいまだ這箇の田地に到らざれば、なほ 三界さんがい50の牢獄を出でがたし。 四弁しべん51を具し、 八音はちおんを具して、 巧説こうせつ52が霧のごとく起こり、口業が海のごとく ひるがえり、説法が天地を驚かして、華をふらし、石を動ずとも、もしいまだこの田地にいたらずんば、 閻羅えんら53 老子ろうし54は、 げん多きこと55を恐れず、地獄に送る。たとえ、日が久しく、月が深く、修行をして、 ねん56がつきはて、情57が静まりて、体形が枯木のごとく、心が死灰のごとくにして、一切の時において、境58に遭っても心が起らず、事に触れるとも念が乱れず、ついに坐しながら脱し59、立ちながら死し、生死において自在自由をえるに似たりとも、なほいまだこの田地にいたらざれば、仏祖の 屋裏おくり60において、 用不著ようふじゃく61なり。ゆえに古人が曰く、「先達はことごとくこの事をもって一大事とす」と。

 ここをもって、 のう 62・洞山和尚が僧に問ふ、「世間において、何物か最も苦なる」。僧が曰く、「地獄は最も苦なる」。洞山和尚が曰く、「しかあらず。この 衣線下えせんか63にあって、大事を明らめざる、かえってもこれを最苦と名づける」。

 この門人の近くに 雲居うんご大師が角立す64。すなはち、雲居大師が、この因縁65を挙して曰うには、「先師である洞山禅師が道う、『地獄、いまだこれ苦ならず。この衣線下に向かって、この大事を明らめないことが、最苦』。皆よ、さらに 些子しゃし66の 精彩せいさい67を 68けば、すなわち是ならん」。上座の皆よ、平生の行脚69に屈せず、 叢林そうりんのしきたり70に 辜負こふ71ざれ。古人72が曰く、「この事を保任73することを、得んと欲せば、すべからく、高高たる山頂に立ち、深深たる海底に行って、まさに 些子しゃしの気息74あるべし」と。汝ら、もしいまだ大事を弁せずんば、かつすべからく、 玄途げんと75を 履踐りせん76すべし。

 洞山大師や雲居大師だけのみならず。釈迦牟尼仏もまた、『法華経』「方便品」五仏77の 開章かいしょう78に、「諸仏世尊はただ一大事因縁をもってのゆえに、世に出現す」と。いわゆる、 仏知見ぶっちけん79を開示悟入80せしむるなり。まさにこの一段の81大事因縁をあきらむるを大事とす。いらずらに仏弟子に似たることをば喜ばず。もし 這箇しゃこをあきらめずんば、 畢竟ひっきょうじて82、在家の俗人となんの異なることあらん。ゆえにいかんとなれば、眼に色を見ることも俗人と異ならず、耳に声を聞くことも変わらず、外に 境縁きょうえん83に対するのみにあらず、内に 縁慮えんりょ84も忘ずることをえず。ただこれ姿形の かわるのみなり。ついに俗人と別なし。畢竟じて、一息を断じ、両眼をとづる85とき、汝が 精魂しょうこんは、いらずらにもの従いて転ぜられ、三界に 流注るちゅう86し、わずかに87 人中じんちゅう88に生じ、天上に生ずること、 ひん89あるに似たるとも、車90のめぐりめぐりて限りなきに似たり。

 もとより人をして在家をはなれ、 塵労じんろう91をいださ92しむる心は、何事にかある。ただこれ仏知見に達せしめんがためなり。わずらはしく93叢林を設け、 しゅ94を集めるのは、ただこの事を開明せしめんがためなり。ゆえに僧堂を名づけて 選仏場せんふつじょうという。長老を呼んで、唱導95の師とす。みだりに衆を集め、かまびすし96くせんとするにあらず。ただ人をして、ことごとく自己を開明せしめんがためなり。

 ゆえにたとえ出家の形となりて、なまじゐ97に叢林に交わるというとも、もしこの事をあきらめずんば、いたずら労して功なきのみなり。 如何いかにいはんや、末代悪世の現在における初機98、後学99よ、たとひ 身儀しんぎ100、心操101、先仏の 方規ほうき102のごとく学ばんとすとも、天性が 迂曲うきょくにして学得103することあたはず104。

 近来105の僧、手をさだめ、足をくだす106こと、おだやか107ならず。大小の 威儀いいぎ108、内外の 心術しんじゅつ109をことごとく学ばんとせず。ゆへに僧の儀110なきがごとし。たとひ身儀、心操が昔のごとく111なりとも、もし 心地しんじ112をあきらめずんば、人天の 勝果しょうか113にて、それは 有漏うろ114の因縁。 如何いかにいはんや、心地あきらめず、身儀ととのはず、いたずらに 信施しんせ115を受けきたる。皆、是、墮獄の たぐいなり。

 しかれども先徳116は曰く、「世は下り117、人は おろそか118にして、たとえ身儀・心操が古聖のごとくなくとも、 精細せいさい綿密にして一大事をあきらめえば、おそらくは119三世諸仏と違うことなからん。六代祖宗120、歴代古聖、ことごとく兄弟ならん。もとより121三界の出べきなし122。あに六道123の まわるべきあらんや」と。しかれば精細に功夫し、綿密に参学して、 衲衣下のうえかの事をあきらむべし。この一大事因縁は、 正像末しょうぞうまつ124の時へだてなく、梵漢和国125ことならず。

 ゆえに末法悪世と悲しむことなかれ。遠方辺地126の人と嫌うことなかれ。この事127はもとより、千仏が競いきたりて、与えんとすといふとも、仏力もついに及びがたからん。しかれば[財産のように父が]子に さずける道にあらず、[子が]父に受る道にあらず。ただ、 自修じしゅう自悟、自身自得すべし。

  無量塵劫じんこう128の修行なりとも、自証自悟せんことは、 一刹那せつなのあいだ。ひとたび、悟りを得ようと憤発の勢いをなし、実際に悟ると、 乾坤けんこん129を くして、 一毫いちごう130も得きたらず131。ひとたび、このところに到りなば、 曠大こうだい劫132が来ても、 くら133からず。豈134、諸仏の授る135ことあるあらんや。ゆえに、子細に此のところにいたらんと思はば、まずすべからく万事136を捨てよ。

 なほ仏祖の境界をも、求める137ことなかれ。何をかいわんや、自他憎愛138あらんや。ただ 毫髮ごうはっ139の知解を起こさずして、すなはち 直下じきげを見よ。必ず皮、肉なきものあり、体は虚空のごとくにして別色なし。あたかも清水の徹底あきらかなる140がごとし。 廓然かくねん141明白にして、ただ 了了りょうりょう142として知るのみなり。 しばらく言え、 這箇しゃこの道理いかんがあらはしえんや。

水は清くして 徹底に 深沈しんちん143たる所 
琢磨たくま144を待たず 自ら 瑩明けいめい145なり

 ◆注◆ 
 1 参侍:侍者として仕える。 2 衲衣:世人の捨てた布を拾い、洗いすすいで修補縫綴 (ほうてつ) してつくった袈裟(けさ)をいう 3 衲衣下のこと:袈裟をまとったときその袈裟の下には何があるという問い 4 密:秘めかくされていること 5 執侍しゅうじ:侍者として仕える 6 歳:年と同じ 7 衣鉢侍者:禅宗で五侍者の一つ。寺の住職や師家の衣服や資具・金銭などをつかさどる僧 8 充つ:ある地位にまで到達する 9 早参:早朝の参禅 

10 衲法衣:袈裟 11 掛ける:身につける 12 また道いうるや:さあ、今度は答えることができるか 13 密有:知覚の対象とならない真実の存在。「証究すみやかに現成すといへども、密有かならずしも見成にあらず」(正法眼蔵 現成公案) 14 逗機:教える側がそれを受ける側と適合すること。投合すること。 15 住:一つのところに留まる。この場合は、法嗣となって寺で指導にあたること 16 衆聖:多くの聖者たち。初地以上の菩薩たち 17 顕わす:知覚で捉えられるように顕在化させること 18 家賊防ぎ難し:家人の内にいる盗人は防ぎようがない。転じて、心のうちにある悪は改めることがむずかしい。さらにここでは、修行において雑念・妄想に悩まされること 19 識得:見きわめさとること。「心を識得するとき、蓋天撲落し、地裂破す」(正法眼蔵・即心是仏) 

20 寃:無実の罪。ぬれぎぬ。ここでは、修行の妨げになる雑念・妄想自体も密ということ 21 無生国:生ずることがないこと。一切の現象は空であるから、そこに生滅の変化はないということを悟った境地。 22 貶向:追い出す。ここでは、識得すれば、そもそも識得するものがなく、捨てるものもないということ 23 是:無生国(悟りの境地) 24 他の・・・なしや:英語のno other than… と同じで、まさしく… ということ 25 死水:よどみ腐った水。ここでは、安心立命といった観念をいだくこと 26 龍:悟り 27 活水の龍:観念ではない、本物の悟り 28 波を…作さず:波と浪と分けているが、ここでは波がざざっと興っても、波はないということ 29 忽然:急に。にわかに。突然 

30 湫:湿気が多くて水草などが生えている所 31 がく:山岳 32 時:突然、悟りの開いたとき 33 下座:師が坐る高座より降りて、修行僧のいる下の座席にいくこと 34 把住:つかまえて、おさえこむこと。師が弟子を指導するとき、向上させるために、弟子のもつ誤った考えを打破・否定して、困惑・絶望に追いこむこと 35 袈裟角:=袈裟 36 濕却:ずぶ濡れにする 37 なかれ:あまりにも質問が低レベルなので、悲しくなった私が涙を流して、涙で袈裟を汚すことになるので、質問をした弟子を戒めている。しかしこの言葉の一語一語、把住する動作の一コマ一コマが、安心立命(悟り)の境地を丸出しにしている。 38 寰中:天子のおさめる所 39 塞外:とりでのそと 

40 天子…将軍:一瞬一瞬の振る舞い、言葉が真の自己そのものということ 41 呈似:=提示 42 適来:先ほどの、先ほど来の 43 因縁:仏道修行を励ますもの 44 学仏:仏道修行を行うもの 45 這箇:これ。この。これら。転じて、仏性をさす。 46 田地:心の状態。転じて、本来の面目である所 47 定坐:坐して禅定(ぜんじょう)に入ること 48 高行:勝れた実践修行。また、修行の進んだこと。 49 梵行:悟りをうるための一切の行法。 

50 三界:衆生(しゅじょう)が、生まれ、また死んで往来する世界。欲界・色界・無色界の三つの世界。 51 四弁:四弁八音。四弁は、四種の自由な智解と弁才。八音は、仏の音声にそなわる八種の音。これによって仏は聴く者の心をやわらげ、自然に善道に導くという。 52 巧説:上手に説明、説得すること。 53 閻羅:=閻魔王。地獄の大王。死者の生前の行いの善悪の審判・賞罰をつかさどる。 54 老子:年輩者。閻魔への敬称 55 言多きこと:雄弁であること 56 念:=妄念 57 情:物事に感じて起こる心のはたらき 58 境:外界の存在。外界の諸現象。 59 脱し:死ぬ 

60 屋裏:家の中。 61 用不著:使い道がない,必要としない,要らない 62 曩祖:=先祖 63 衣線下:《「線下」は法衣のこと》法衣をまとう僧の身分をいう 64 角立:並んで立つ 65 因縁:洞山禅師と僧のやり取り 66 些子:わずかなこと。少しばかり。 67 精彩:=精進文彩(しょうじんもんさい)精進の力によって修行に輝く光が備わること 68 著:顕現すること 69 行脚:教化のために諸国を遍歴すること 

70 叢林:禅寺 71 辜負:そむくこと。違背すること。 72 古人:洞山。『 五灯会元ごとうえげん』五灯13曹洞18にある言葉。 73 保任:保持して失わないこと。保持してそのものになりきること。 74 気息:気持。気質。 75 玄途:禅の奥深い道 76 履践:実行すること。 77 五仏:十方諸仏・過去仏・未来仏・現在仏・釈迦仏の五種。ここでは『法華経』「方便品」のなかの五仏章をさしている。 78 開章:「五仏章」の最初の部分。「もろもろの仏が世に出るについては、一大事の因縁があるからです。なぜ一大事の因縁というのか。それは、諸仏は世に尊ばれる幸いなる者であり、生きとし生けるものに仏の知見を開き、清浄な境地を得させたいと望んで世に出現するからです。」(『法華経: 全品現代語訳』大角修訳. 角川文庫) 79 仏知見:仏の智のはたらき(見)と、慧のはたらき(見)。ここでは悟りを得ること 

80 開示悟入:仏知見を開示し、一切衆生を悟らせること。『法華経』「方便品」に説く、仏出現の究極の目的(一大事因縁)をこの四語に要約したもので、仏の真実の智慧を開き、示し、悟らせ、無碍自在の境地に入らせる、という意。 81 一段の:格別の 82 畢竟じて:結局のところ。 83 境縁:対象である側の条件。客観的対象に対する向き合い方 84 縁慮:対象を認識するはたらき。心で考えること。 85 一息・・・閉ずる:死ぬこと 86 流注:生まれ変わって三界に留まる 87 わずかに:かろうじて 88 人中:人間界。 89 品:果報の種類。ここでは善業の果報 

90 車:輪廻の車輪 91 塵労:俗世間のわずらわしいかかわりあい。世俗的な苦労。 92 いだす:外に出して縁を切る。 93 わずらはし:めんどうである 94 四衆:仏教教団のメンバーの総称。 比丘びく (出家した男性)、 比丘尼(出家した女性)、 優婆塞うばそく(在家の男性)、 優婆夷うばい(在家の女性)。 95 唱導:この道を導く 96 かまびすし:やかましい 97 なまじえ:よせばよいのに。 98 初機:はじめて仏の教えを信ずるようになった人 99 後学:後輩の修行者 

100 身儀:身の立ち居振舞い。身の振舞い方。 101 心操:心がけ、心構え 102 方規:規律・規則。 103 学得:=習得 104 あたはず:可能ではない 105 近来:近頃 106 手を・・・足をくだす:手は法界定印を組み、足は結跏趺坐すること 107 おだやか:落ち着いているさま 108 威儀:規律にかなった起居動作。 109 心術:=心操 

110 儀:作法に従った行儀 111 昔のごとく:祖師がたのように 112 心地:各自の本心、心性 113 人天の勝果:人間界・天上界に生まれること。 114 有漏: 煩悩ぼんのうがある状態 115 信施:=布施 116 先徳: 引用元不詳。参考「あはれむべし、いまだかつて仏法の身心なければ、身儀・心操、いかにあるべしとしらず。」(『正法眼蔵』「仏経」巻)。 117 世は下り:時代が経ち 118 疎:いいかげんである。 119 おそらくは:絶対に 

120 六代祖宗:達磨から六祖慧能まで。 121 もとより:本質的に 122 三界の出べきなし:迷いの世界である三界から出ていく必要がない 123 六道:地獄・餓鬼・畜生・修羅・天神という輪廻の6つの位。 124 正像末:正法と像法と末法。釈迦入滅後、仏教の流布から、しだいに衰退に及ぶ過程を三つに時代区分したもの。 125 梵漢和国:インド、中国、日本 126 遠方辺地:インドから遠く隔たる日本 127 事:悟ること 128 無量塵劫:とてつもなく長い時間 129 乾坤:天と地。全宇宙 

130 一毫:ほんの少しも 131 得きたらず:入る余地がない 132 曠大劫:「劫」は極めて長い時間。「広大」はその時間の限りなく長いことを形容したもの。長い長い果てしない時間 133 昧:絶対の光明の中にあるので、明々白々で暗いものはない。 134 豈:どうして~だろうか 135 諸仏の授る:悟ると自分自身が消え、自他の二元対立がなくなり、自分=仏となるので、仏が自分に何かを与えることはできなくなる。 136 万事:=所縁 137 求める:仏祖と自分という二元対立の世界において、仏祖の悟りを得ようとすること 138 自他憎愛:自己に固執して、他を愛したり憎むこと。 139 毫髪:細い毛から転じて、ごくわずかなこと。 

140 あきらかなる:水の底がはっきりと見える 141 廓然:心が大空のように晴れて、わだかまりがなく広いさま 142 了了:物事のはっきりとわかるさま。明瞭なさま。 143 深沈:落ち着いて物事に動じないこと。 144 琢磨:こすって光沢を出すこと 145 瑩明:透き通って輝く

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