ソロを「もり上げる」方法とは(2)
(1)では How、つまりどうやってソロを盛り上げるか、を述べました。
(2)ではWhat、つまりソロの盛り上がりとはなにか、を考察します。
そもそも「盛り上がり」とはなんでしょうか?
「もりあがり」とはなにか
結論を言ってしまえば「盛り上がり」とはある種の「興奮」の表現。
もう少し正確に言えば「興奮」を示すことで聴衆を共感させて聴衆を興奮させること。これが音楽の「盛り上がり」の目的であると思われます。
ではそもそも「興奮」とはなんでしょうか?
今回は医学的な話になります。
自律神経系
「交感神経」と「副交感神経」という2つで構成される自律神経系が興奮に関与しています。ものすごくざっくりまとめると「交感神経」=興奮、「副交感神経」=リラックスのモードです。
交感神経優位な状態は、たとえば敵と遭遇して戦うか逃げる状態。
状況に素早く反応して動く必要がある。
そのため心拍数は上昇し(血流を増やすため)、瞳孔は散大し(敵の動きを見逃さないため)、発汗します(運動の放熱のため)。
闘争及び逃走のモードですから、感情は攻撃的、もしくは反対に恐怖を感じる状態です。
反対に副交感優位な状態は、たとえば食事をした後休んでいる状態。
血流は手足の筋肉ではなく胃や腸の内蔵に多く回されます。
交感神経優位な状態はホルモン的にはアドレナリン優位(Adrenergic)で、副交感優位な状態はアセチルコリン優位(Cholinergic)な状態ともいいます。
「盛り上がり」はAdrenergicな状態そのものです。
ソロの要素
アドリブソロにはたくさんの要素(パラメーター)が含まれています。
フレーズの細かさ
フレーズの音列の複雑さ
フレーズの背後にあるコード進行の複雑さ
音の大きさ
音の高さ
音色
ビブラートなどの音響情報
それぞれのパラメーターを考えてみましょう。
アドリブソロではこれらの要素がさまざまに変化します。
前述の通り「盛り上がり」をAdrenergicな状態、つまり交感神経が優位な状態とすれば、
音は大きく音は高い(多くの楽器では高い音は力を入れると出る)
音色は硬くなり(呼吸量が増えると息のスピードが上がる)
心拍数の上昇にあわせてフレーズは速く細かくなる。
などがAdrenergicな変化といえるでしょう。
図はあくまでイメージですが、そうした色々な要素が複合的に組み合わさって「盛り上がり」が演出されるわけ。
まとめ
「盛り上がり」はある種の「興奮」。交感神経優位な状態を演出する。
アドリブソロには様々な要素(パラメーター)があるが、交感神経優位な身体の状態が「盛り上がっている」状態に相当すると思われる
複数のパラメーターが動きながらソロは「盛り上がり」をみせる
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