間違ったものを訂正する方が早い
練習の方法論とアドバイスです。
アドリブはむずかしいよね
アドリブに悩む初心者の方へ。
特にフロント楽器の方へ。
アドリブやってみな、と言われても、最初は手も足も出ないはずです。
それは当然です。
アドリブの上達にはトランスクライブ(耳コピ)が大事だというのは絶対的な真理ですが、これはアドリブ力1を10にする練習であって、ゼロを1にする練習ではありません。
この辺はこの前書きました。
まずは、アドリブをしようというマインドが必要ってこと。
さて、その次です。
間違った音をたくさん出してそれを修正していく方が早い
最初は、やっぱりうまくいかないね。
最初から音源にあるように吹けるか、というと吹けない。
間違っていても、とにかく吹いてみることが大事です。
楽器の演奏力みたいなものもあるから、超絶技巧ピロピロソロではなく、あまり音数が多くない、訥々としたソロをコピーしてみる。
これは、みんなが通る道です。
これは、吹ける。
しかしいざセッションだと、やっぱり吹けない。
実は訥々と音数を絞ったソロの方が難しいです。
考えてみたらわかりますけど、シンプルイズベストっていうやん。
シンプルが一番難しいねん。
絵だったら、サインペンで下書きなしで漫画のキャラクターみたいなものが一番難しい。
きちんとしたデッサン力が必要だし、筆に迷いがあると絶対に描けない。
少数の正しい音で音楽を構成するのは、同様にとても難しい。
間違った音でもいいから、まずは音数を吹く。もちろん間違った音があると、よくないサウンドにはなる。間違った音を減らし、より正しいサウンドに近づけましょう。
化粧とかでもそうですやん。化粧したての頃には、必ず厚化粧の時期を経験する(らしい)。その後だんだん引き算ができ、ちょうどいい塩梅になるわけです。
私、おそらく一コーラスあたりで吹いてる音数は、25歳くらいから増えてません。それでも、現在のソロの方が成長していると、思う。
量は質を保証する
絵の練習でもそうですが、とにかく描きまくったらいい。
質も大事ですが、量をこなした方が、質を重視するより結果的によい質が得られる、というパラドックスがある。
同じ量をこなすなら、効率のよい練習にこしたことはないですが、まずは量をこなしましょ。量は正義。量でぶん殴ることはけっこう大事です。
耳の方が手よりも先に成長する
たくさん練習し、セッションに参加し、たくさんいい音源を聴いていると、
今まで自分が吹いてなんとも思わなかったフレーズが、急に許せなくなる。
「これ間違っている?カッコ悪い!」と感じる。
こういうこと、よくあります。
これは自分がヘタになったんじゃなくて、自分の耳が肥えたためです。
「え?俺今までこんな音、周りに聴かせていたわけ?」と愕然としてしまいますね。私、今でも2〜3年に一度は、こう感じます。
これ、心理としてはかなり凹みます。
しかし、言い換えれば、次のステップに進む準備が整った、ということでもあるんです。
今の自分に満足できない。それが次のレベルに進むための必要条件。
ただ、これには条件があって、いい音源を沢山聴いたり、自分よりも上手い人と共演することが必須です。自分がグループの中で一番うまい、みたいな状況では、正直に言うと上手くなることは難しい。
プロのライブを観に行きましょう!
プロがやっているセッションに参加させてもらいましょう!
自分より素晴らしい人は世界中にいくらでもいます!
うまくなるためには自分が下手な側で参加できる場が最適です。
プライド?何それおいしいの?
人は間違った音に耐えられるようにはできていない。
耳が先に肥えてしまった場合、自分の音が許せなくなるはずです。それは、音使い(理論)であってり、リズムであったり、音程であったり、音色であったり。さまざまな音楽の要素において生じます。
おめでとうございます。
上達の準備は整いました。
たとえば自分の耳が進化して、自分の音程が悪いことに気づいてしまった場合、音程を改善させないと、自分の出音を不快に感じてしまうわけです。
こうなると、理想に現実を近づけようと努力せざるを得ません。
普通の人間は、自分が「間違っている」ことがわかりつつも平然とその音を出し続けられるようにはできていません。もしそれが平気なら、それはただの謙遜であって、心の底からダメだと思っていないだけです。
ま、これは賭けではあります。
自分が間違っている音を出しているのに気づいた場合、練習してその状態を脱するしか道はありません。
が、脱せない場合(そういう時もあります)音楽自体をやめてしまう人もいます。(スランプ、という言い方もありますね)
耳が肥えることは、そういう「やめるか、続けるか」というところに自分を追い込むリスクを孕んでいるということでしょう。
まとめ
手より先に耳がレベルアップします。
自分の演奏が下手くそだと思えてきた瞬間、これはレベルアップの兆しだと思うようにしましょう。
「喜んで!」の精神で、自分がヘタに思える状況をことほぎましょう。
上達は、こういうステップの繰り返しです。
だから、数年前の自分の演奏とか、聴いたら死にたくなっちゃうことがあるかもしれませんけど(僕はよくあります)、ま、そうなると一周回って「若々しいな…」とか案外悪くなく聴こえることもあります。
不思議なことに。