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音色の精米歩合
最近他のトロンボーンの方と一緒に吹いた時に思うのは、どうも私、一緒に吹くと、音色とか存在感の点でだいぶ見劣りする。
ジャズっぽいフレーズとか速さではあまりひけを取らないのに、一音の説得力がしょぼいのだ。
なんでそうなった
僕の理想のスタイルはStan Getz。
え?Stan Getz?サックスやん。
彼のフレージングが好きで、その影響か細かいパッセージを澱みなく吹くのを目指しがち。
トロンボーンでそれを追求するのは、なかなか難しいこと。結果的にフレーズのコントロールを第一義としていた。
フレーズを細かくコントロールしようとすると音色が犠牲になる。
車の運転でいえば、ステアリングを重視した場合はアクセルを思いっきり踏むことはできないのと同じ。
でも、トロンボーンの持ち味はやはりファットで豊かな中音域だ。
一方速いフレージングではきっちりと発音することが必要だ。
これって、「コク」と「キレ」みたいなものだと思いませんか?
コクとキレと「精米歩合」
おそらく日本酒を作る時の精米歩合のような、「コク」と「キレ」のトレードオフが、音色にもあるということを遅ればせながら気づいた。
「精米歩合とは、白米(玄米からぬか、胚芽等の表層部を取り去った状態の米をいい、米こうじの製造に使用する白米を含む。以下同じ。)のその玄米に対する重量の割合をいうものとする。」
したがって精米歩合の数値が低いほど、より高度に精米されていると言える。上記の文にある「米こうじ」とは「白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでんぷんを糖化させることができるもの」とされている。
大吟醸の精米歩合は50%以下。
コクは音色の豊かさ。
キレはフレーズの輪郭や速いパッセージの明瞭さ。
僕はキレ、つまりフレージングを優先させるために、音色のコクを削りまくっていたみたいだ。
不純物を取り除き、クリアさを際立たせる。
つまり精米歩合が低い音色なのだ。
そりゃ、ファットな音色とは程遠くなってしまう。音量も抑え目だ。
ただ、その代償と引き換えに、速いフレーズを繰り出すことができる。
一方、セッションで出会うトロンボーンの好手は、実にトロンボーンらしい豊かな音色で、バラードやテーマメロディでは説得力がある。
トロンボーンの音色そのものに説得力を持たせるのはトロンボーンらしさから逃げておらず、とても好ましい。ある種理想だとさえ思う。
ま、その代わり速いフレーズだとモゴモゴしてしまうわけなんですけれども。
どうするか
なんてこった。
トロンボーン40年近くやってるんだけど、今更こんな当たり前のことに気づいてしまった。
今更どうしよう。
この音色の精米歩合って、変えられるんだろうか。
テーマではコクを重視して音色を豊かに、フレージングではキレを重視して速さを追求、ということができればいいのだが。
確かにプロはこのへんのバランスが優れていて、コクもキレも両立する音色だったりする。速いパッセージの人も例外なく音はいいし、豊かなコクのある音でもフレーズにキレがある。
もちろんプレイヤーごとにそのバランスは異なっていて、例えば、Carl Fontanaや、Conrad Herwigはキレ重視だし、Steve Davisはコクのある音が素晴らしい(もちろんキレもある)。キレとコクが高い化け物レベルで両立しているJ.J.Johnsonというレジェンドもいる。
ヒントになるのは、低い音、そして伸ばした音なんだとは思う。そこでコクが出せたらいいなあと思う。
また明日からロングトーンから始めなきゃあ……
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