橋本治の後期雑文を読む11
有吉佐和子の初期名作復刊記念の有吉玉青との対談『青春と読書』2014年5月号より
橋本:わたしが作家になった1970年代の半ば頃は、有吉さんの小説は若い男が読むものではなかった。当時、編集者にどんな本を読んでいるんですかと訊かれて、有吉さんの名前も挙げたんだけど、その編集者も有吉さんの作品を読んだことがないわけです。でも実際に読んでみたら、おもしろい。そんな話をしていたら、しばらくして『母子変容』の文庫の解説を書きませんかという話がきたんです。
ただ解説を書くときに、いま有吉