ラストマイル、流れは止められるのか

ラストマイルを観た。感じたことを書いてみる。

まず映画の中で特に響いたのは、
「何もしなかったからこんなことになってしまった」ということを言ったセリフ。

ふつうは何かしてしまったから悪いことが起きる。
だけど時には、何もしなかった、事態に対して何も行動を起こさなかった、穏便に済まそうとしたことで最悪のことが起きてしまう。

何もしなかったということは、言い換えれば見て見ぬ振りをしたということになり得るのだ。

このセリフを聞いて、体調を崩して仕事を辞めた時のことを思い出した。

退職に際して、「何かしてあげられたんじゃないか」という言葉をもらった。

私のことを思ってくれているのは分かる。分かるけど、それを今言われても困ってしまう、というのが正直なところだった。

そう言われた本人は、「そんなことないですよ」という言葉くらいしか返せないだろうから。その人もいろいろ抱えて生活しているだろうことは想像できるから、責めるなんてとてもできない。

責めることはできないし、どうしようもないんだけど、どうしようもないからこそ、そういう言葉は今はいらない。
なんかずるいなと感じて、それに対して罪悪感を覚えて苦しくなるから。

とはいえ、何を言われてもそういう時って割と複雑な気持ちになってしまう気がするけど。

あとは、一つはっきりとは分からなかったのは、ロッカーに書かれた文字が意味するもの。

ずっとベルトコンベアは止まらない、でも本当は止まって欲しいという意味で→0となっていたのだろうか。

人が落下したのにも関わらず、ベルトコンベアは動き続けて、荷物は粛々と配達されていく描写が恐ろしかった。

恐ろしかったけど、似たようなことはこれまでも何度も起きてきたはず。

誰かが命を落としても、苦しんでも、
大きな変化は起こらず続いていく社会。

そういうことを思わずにはいられなかった。

暗くなってしまったが、2時間の長さを感じさせない映画で観れてよかった。

観ていない人にも是非見てほしいと感じる。