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埴輪は、みんな円筒一族
立体造形物の素材と形には深い関係があります。制作には素材の抵抗が伴い、素材の特性から生みだされる形があります。粘土と石で同じ形のものをつくろうとしても、仕上がりは何となく違うものになりますよね。それに、粘土ではできない形もあります。
粘土を積み上げて成形される円筒が埴輪の造形の基本であるという点は、一方で造形上の制約ともなります。円筒を組み合わせてできる形には限界があり、例えば躍動して走る馬などの表現は困難です。複雑な形・写実的な表現・大きな動きのある表現は難しく、自ずと静的な形・単純化された造形・正面観の強い造形となります。また、角ばったもの・細長いもの・鋭利な表現も難しく、自ずと丸みを帯びた柔らかい造形になるでしょう。
埴輪の持つ素朴さ・単純さ・柔らかさなどの造形的特質・印象は、土を素材とした円筒を基本とする造形構造・制作技術に起因するものと考えられます。埴輪は造形的・技術的にみれば、彫刻というよりは土器づくりの技術をベースにした焼き物であり、その造形性は彫刻として見ると特殊なものであるとも言えます。この独自の造形性こそが、埴輪の美を特徴づける大きな要因であるように思います。
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