HaniwART はにブログ
大変な埴輪たち
埴輪は対候性の低い素焼きの像にも関わらず、古墳に立て並べられていました。古墳の周りは何も遮蔽物がありません。吹きっさらしです。夏は暑く・冬は寒い、風が吹き、雨も降ります。釉もかけず素焼きしただけの造形物が長期間に渡って風雨に晒されたらどうなるかは自明です。台風や地震で倒れて壊れる危険もあります。夏には雑草が茂ってきますし、吸水性のある素焼きですから、冬には凍ったかもしれません。埴輪たちは、さぞ大変だったことでしょう。
屋外に造形物を設置するなら、ふつうは対候性のある素材を選ぶでしょう。現代でも野外彫刻は石・金属・合成樹脂などでつくられるのが一般的です。古墳時代でも石とか金属とか別の素材はあったでしょうに、埴輪は土でつくられました。
このことから、埴輪の役割は永続性を求めるモニュメンタルなものではなかったと推察されます。その役割は比較的短期間のうちに果たされるものだったのでしょう。古墳という特定の場で時限的に機能する・・・・、やはり現代のインスタレーションに近いものだったかもしれません。
埴輪は個々の造形性だけでなく、その在り方からして、かなり変わった・ユニークな造形物なのです。
過酷な状況下で頑張った埴輪たちに改めて光を当て顕彰すること、埴輪をアートとして現代に転生させることも、はにわ協会の務めです。
日本はにわ協会ホームページ https://haniwa-japan.com/