語彙知識#2: 「それ、本当に合っていますか?誤解されやすい日本語表現3選」
前回の記事は、以下のリンクよりご覧ください。
日常生活の中で何気なく使っている日本語。実はその中には、本来の意味や使い方と異なる形で広まっているものが少なくありません。こうした誤解は、意図せず相手に間違った印象を与えたり、コミュニケーションのズレを引き起こしたりする原因となります。
今回も、特に誤解されやすい日本語表現を3つ取り上げ、それぞれの正しい意味や使い方を解説していきます。
1. 情けは人のためならず
「情けは人のためならず」を「親切にすると相手のためにならない」と解釈する人がいますが、これは誤用です。この言葉の本来の意味は、「情けをかけることは、巡り巡って自分にも良い結果をもたらす」というものです。
たとえば、困っている人を助けると、その行いが巡り巡って誰かが自分を助けてくれることにつながる、という考え方です。自己中心的ではない利他的な行動の大切さを教える表現と言えます。
2. 失笑
本来の「失笑」とは、思わず笑ってしまうことを指します。たとえば、他人の的外れな発言や行動を目にして、我慢しきれずに笑いがこみ上げるような状況を「失笑する」と言います。
しかし近年では、「呆れて笑う気も失う」といった意味で使われることが増えています。この新しい用法が通じる場合もありますが、文章や公式な場では本来の意味で使うことを心がけましょう。
3. 姑息
「姑息」は「卑怯」や「ずるい」というニュアンスで使われがちですが、本来の意味は「一時しのぎ」というニュートラルなものです。
たとえば、「姑息な手段」と言った場合、必ずしも倫理的に問題があるわけではなく、急場をしのぐための方法を指します。ただし、現代では否定的なニュアンスが強いため、文脈に注意して使うことが求められます。
まとめ
今回取り上げた表現は、誤用が広まっているがゆえに本来の意味を見失いがちなものばかりです。言葉の正しい意味を知ることで、相手に意図が正確に伝わるだけでなく、自身の教養を深めることもできます。次回も、日本語の表現について一緒に考えていきましょう。