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季節を炊き込む

 今年も栗ご飯を炊いた。水に浸した米の上に、皮をむいた白っぽいゴツゴツした栗を並べ、炊飯器で炊き込むと、栗は黄色くほくほくに、ごはんはもちもちいい香りになって、とっても気持ちのいいご飯になる。

 ここ数年、季節の変わり目にその季節の野菜や植物を使った炊き込みごはんをつくるのを楽しんでいる。春はえんどう豆、ふき、桜、夏はとうもろこし、秋は栗、さつまいも、むかご、冬は里芋、大根と生姜、と色々な野菜を米とともに炊く。
 ふきごはんは、香りが炊飯器を空けた時に部屋の中いっぱいに香って、山の中にいる気分になれる大好きな炊き込みごはんのひとつだけれど、手に入れるのにひと苦労。都内ではスーパーに5月のはじめ頃、知多の立派なふきが少しだけ並ぶので、毎日スーパーを今か今かとチェックするのをその時期の楽しみにしている。桜ごはんは、近所のお茶屋さんに桜の塩漬けというものが売っていて、お店のお母さんとおしゃべりしていたところ、教えて頂けたこれまたお気に入りのひとつ。桜の香りとほんのり塩味でいただくごはんは、とってもオツなのだ。こちらはどうやら通年売られているようなので、春気分に浸りたい時に時々家に買って帰っている。余談だけれど、寝る前に桜の塩漬けに熱々のお湯を注いで桜茶にしてみるも、ほんわか良い気持ちになれてとってもおすすめ。タンポポの茎を炊き込みごはんにする術もあるらしいと最近知ったので、こちらは次の春の山歩きの楽しみに覚えておこうと思う。夏のとうもろこしは、黄色のとうもろこしと白いとうもろこしどちらも投入して、見た目の楽しさと甘みを増し増しにして楽しんだりしている。
 そして、これからの季節は栗、さつまいも、むかごとほくほくしたご飯をたくさん楽しめる季節。山登りのついでに直売所や道の駅なんかに寄り道して、きのこを山盛り手に入れ、一緒に炊き込み、わさわさとした茶色いごはんをつくってみるのもきっと楽しい。冬が近づいてきたら大根に生姜、ごぼうや里芋、にんじんを入れて、根菜もり沢山で身体に元気をつけてみるのも良い。

 炊き込みごはんをよく作ります、と言うと料理お上手なんですね、とたまに褒めていただくことがある。とんでもない、私の力ではなく日本の家電メーカーが力を注いだ優秀な炊飯器のおかげなのだが、褒められるとやっぱりちょっと嬉しい。もう少し寒くなったら、三つ葉のごはんが食べたいことを理由に、ちょっと奮発して大好物の牡蠣も入れてみようかしら。楽しいワ、季節を炊き込むごはん。



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