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ケーキ屋の息子も、ケーキの材料を持って生まれてきたわけじゃない

わたし、好きすぎて今まで断じて、オンライン上で話をしてこなかったことがある…
もう10年くらい…

もう好きすぎて、好きだって話したのも数人しかいないんだけど
もうこれ、好きを履き違えてるよね。

本当にハタチくらいのときから好きで、
当時はまじめに音楽活動とかやって、ブログとかメルマガとかやってたから
いつかこの話をしよう、
でも1回話したら次話せなくなって寂しい…みたいな
わたし気持ち悪いな。

近年は、パソコンへの向かい方も変わって
最近の作品はコマメにチェックできていなかったんだけど、

HEROさんの「堀さんと宮村くん」を愛している。
HEROさんのホームページはこちら

もともと4コマだったけど、いまは「ホリミヤ」の名前で漫画にもなってるから
ご存知の方もいるのではなかろうか。

才能についてという記事を書いたあと、
関連して、この話をどうしてもしたかった。
10年間ずっと、わたしを支えてくれた言葉
(この記事読んでいない方も、そのまま読んでもらえる内容です)


主人公のひとり、宮村くんはケーキ屋の息子。
最初は孤立していた宮村くんは、他人と関わり、友達を増やしていく。

もうひとりの主人公、堀さんの親友の由紀は
壊滅的にお菓子作りがへた。
もう、ガラスとか刺さってるレベルでお菓子が作れない。凶器レベル

でも、由紀は大切な友達に、好きな人に
おいしいお菓子を食べてもらいたくて奮闘するけど、どうしてもうまくいかない。

で、ケーキ屋の息子である宮村に相談するの。
そのとき、宮村がしれっと言ったその言葉が
その先10年のわたしを、守ることになる。

「ケーキ屋の息子も、ケーキの材料を持って生まれたわけじゃないんだから」

現在、堀宮は580話まであるので
何話のことだったかは思い出せないんだけど
この話のことは、強烈に覚えている。

宮村が言ったことは、すごく当たり前のことなんだけど
時折、忘れてしまっているような気がする。


このプロフィールも長らく伏せていたんだけど、
わたしの母親は、ピアノを教えていた。

母親がピアノを教えているということは、
母がレッスンをしているときには、わたしはピアノが弾けなくて
「自分が好きなときにピアノを弾く」という環境ではなかった。
ピアノは離れにあって、わざわざ靴を履かなきゃいけないし、
夜は父親が麻雀をしていた。

というのは、言い訳でもあるけれど
わたしは、ピアノを習っていたが、あんまり練習してこなかった。

だから小学生・中学生のとき、
「ピアノを弾ける子」の大半は「わたしよりピアノが上手い子」だった。

そして当然のように言われるのだ。
「ピアノの先生の子供なのに」って。

今ではピアノの先生の子供であることは大変な誇りだ。
良い環境であった。
でも、それを利用する根性のない子供時代だった。

わたしはたまたま、
母親のことが好きで、最後まで残った習い事がピアノで
いまも、すがりつくように鍵盤の前に座っている。

すごく当たり前のことを言うけど、
生まれたときからピアノを弾けたわけじゃない。

幸運なことに、4歳くらいからレッスンに通わせてもらっていたので
「ピアノをまったく弾けなかった」という記憶はない。
これは、完全に母親のおかげだ。感謝している。

もし、わたしのピアノをいいな、て思ってくれているとしたら
どうか信じてね。

毎日マメに練習しなくても
あなたの日常からピアノがいなくならなければ、
それを、何年も何十年も続ければ、きっとうまくなる。
わたしは、10代の頃は週に1回のレッスンの前にしか弾かなかったし(ひどい話だ)
20代でバンドをはじめても、練習はマメな方じゃなかった。自慢することじゃないけど

4歳児だって、少しくらいは譜面を読めて、ピアノを弾き始めることができる。
弾き続けていくかどうかは、あなた次第。
わたしは続けただけ。

マメじゃなくて丁寧じゃなくて、真面目でもなくて、何もなくて
ただ最後まで、ピアノと別れられなかっただけ。


「才能がない」っていうのは、どこで判断するんだろうね。
わたしはいまでも、取り立ててピアノの才能があるとは思っていない。
ただ、ピアノと一緒に生きてきただけだ。
付かず、離れず
ピアノが、わたしの人生を見守ってくれていただけ。
好きなとき好きなだけ、そばにいることを許してもらってきただけ。
一緒に生きてこれたことを才能と言ってくれるならば、どうもありがとう。
大変にありがとうなんだけど、それはわたしの「努力」だから。
だからきっと、あなたにもできる。

練習しないから当然、わたしはずっとまわりよりピアノが下手で
コンプレックスでしかなかった。
それでも、18歳までレッスンをやめず
上京して軽音部に入って、まだピアノ弾いてるってことは
きっと好きなんだろうなあ。自覚ないけど


ケーキ屋の息子も、ケーキの材料を持って生まれたわけじゃない
そしていま、この世のケーキ屋の主人たちの親の
いったいどれくらいが、ケーキ屋さんなんだろう。

ケーキ屋さんの多くは、ケーキ屋の息子ではないのだ。


そして、いまわたしがケーキを焼き始めても
ケーキ屋さんよりも、ケーキ屋の息子よりも
上手にケーキを焼くことができない。
というのも、当然のこと。
じゃあわたしは、ケーキを焼く才能がない
なーんていうのは、おかしな話だ。

わたしの才能は、どこにあるんだろう。
いまでも、たくさんのものにぶつかりがながら、わたしは探している。

少し前にアロマテラピー検定を取ったんだけど、
結局ちょっとだけ勉強して、いまはそんなに勉強してない。
でも、今日もオレンジとプチグレンの香りを炊いている。
わたしよりアロマのことを詳しい人はたっくさんいるけど、
でも、わたしも「アロマが好き」って
それはそれでいいじゃない、て最近は思えるようになってきた。

わたしより上手い人や詳しい人がいると、
「好き」って言いづらい、みたいな気持ちがあったんだけど。
でも、それ言ったら、好きなものなくなっちゃうよね…
「詳しくないかもしれないけど好き」でいいじゃない。
アロマはもしかしたら、わたしあなたよりは詳しいかもしれないし。
あなたも、「ちょっと好き」なそれ、たぶんわたしより詳しいから、今度教えてよ。


わたしにとっては、「ピアノ」と「文章を書くこと」は
年齢が一桁の頃から続けてきたことだ。
才能と呼ぶのはちょっと怖いけど
きっと、これからもわたしの武器となって
わたしを守ってくれると、

ようやくいま、確信できた。

photo by @TripGirrrrl



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松永ねる
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