【小説】燃え上がるような恋じゃなくても
身体が、泥のように重い。
それは、恵那の意識とは遠いところで確かに存在している感覚で、無視することができなかった。
もう、起きていることすらできない。眠らなくてはならない。
這うようにソファーから抜け出し、「今日は寝るね」とミキオに声を掛けた。
「もう寝るの?」という問い掛けに、「うん」と答えたつもりだったけれど、果たして声になっていたのだろうか。
確認することもできずに、恵那はベッドに倒れ込んだ。
「布団を掛けてあげよう」
ミキオの声が聞こえる。
声に含まれる音色を、恵那は