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さびしくてたまらないとき、君を抱きしめることを辞めた。 * 「今日は帰れない」と連絡がきた夜に、このエッセイを書いている。 同居人は、ときどき帰ってこない。 そのたびに電話をかけていて、深夜の執筆中のわたしを苛立たせた。 わたしは、執筆中に声をかけられることをとても嫌う。 30をとっくに越えたおとなが、深夜にどこにいようと構わないのだ。 愛があるなら、「帰れない」の一報だけ欲しい。 「帰れなくてごめんね」と、言われることも嫌いだった。 べつにわたしは、君がいなくても平