「考える力」は、どのように成長していくのか
人は誰しも幸せになりたいと思っています。
ただ、「幸せ」という定義が難しい。
具体的に「幸せとは〇〇です」と決められていたのなら、それと照らし合わせて判断すればいいものの、その基準は多くの場合「その人」に任されている。
だったら、「自分は今が幸せです!」と言い切ってしまえば勝ちなのですが、それができないから困ってしまう。その判断を難しくしている1つの要因は、「他者との比較」でしょう。
世界一幸福な国として有名になったブータン。しかし最近の調査では、ランキング上位に登場しなくなったことで話題となりました。その理由がまさに「比較」だと言われています。
SNSなどの普及により、自分と他者を比較できるようになったことが幸福度を減少させてしまったのです。
ただ、「比較」をすっきり取り除いたとしても、まだ難しさは残ります。
それが、「人間という生物の複雑さ」。
そう、僕たち人間は非常に複雑にできてしまっているのです。
心理学者のポール・ブルームさんに曰く、
と述べています。
この記事にも書いた通り、「幸せかどうか?」は、「あなたがどのように考えているか?」で決まる。
しかし、僕たち人間は「自分」というコミュニティを運営しているので、そのコミュニティ内には、「十分幸せだよ」と考える自分もいれば、「いやいや、もっと幸せになりたい」ともの足りない思いを吐露する自分もいる。
そんな複数の自分たちが代わる代わる顔を出すので、「幸せです!」と気持ちよく言いきれない人が多いのでしょう。
という前提を踏まえつつ、そもそも「僕たちはどのように自分の中に複雑な思考コミュニティを形成していくのか?」についてまとめてみました。
さくっと読んでいただき、「あぁ、私って複雑な生き物なんだなぁ」と改めて実感していただけたら幸いです。
▼「自分」は「他者」との関係性からつくられる
ずーっと前のこの記事に書いたように、
僕たちの人格は、「どのような環境に身を置くか」に大きく左右されます。
環境の中でかかわる人と、どのような関係性を築いていくかということが最大の要因なのです。では、幼い子どもに影響を与える人間関係と言えば?
そう、親御さんですよね。
精神科医であり小児科医でもあるのドナルド・ウィニコットさんは、
「幼い子どもは母親との適切な関係によって健全に育つ」という前提の上で、
と主張しています。
スタート地点は、自分との対話というよりは周囲とのかかわりにおいて自我を形成していくということ。
さらに心理学者のレフ・ヴィゴツキーさんは、思考が形成されていく過程を社会的プロセスにおいて4つの段階に分けて提唱しました。
その4段階とは、
とまぁこんな感じ。
ざっくり流れをまとめると、
みたいな。
ちなみに、小学校では対話的な学びが大切だ!なんて言われていますが、その「対話」の中には、「自分との対話」が含まれています。
そう、ヴィゴツキーさんの提唱した4段階目を使いこなすことで、自分の立ち位置を見つめ、振り返り、学びの精度をより高めることができるのです。
ちなみに、思考の段階が上がっても、常に「環境」の影響は続いています。
つまり、自分の学びについて振り返る「自分会議」が行われている最中も、常に友達とか先生、親御さんのかかわりというのは影響を与えている。
その影響がさらに子どもの「自分会議」を充実させていく。
まさに、この過程の繰り返しが「学び」なのです。
▼まとめ
本記事では、「人間は複雑なんだけど、その複雑さこそ成長の証だよ!」という内容をまとめました。
そして、あまり知られていないのは「自分の思考を深めるためには一人の時間も大切」であるということ。
隙間時間を埋め尽くすコンテンツに溢れる現代に失われているは、めちゃくちゃ貴重なぼ~っとする時間。
静かな場所で一人悶々と思考を巡らせることは様々なメリットがあるのですが、そんな時間も減っていることが分かっています。
もしも、子どもさんのクリエイティブさを発揮してほしいのなら、意識的にぼ~っとしたり、一人で自分と向き合ったりする大切さを確保してあげてくださいね。
ちなみに、そんな時間の使い方にも触れているこんな本が出ます。
📙「不登校の教科書」5月31日ダウンロード開始!
「不登校はチャンスである!」という理念をもとに不登校の生かし方をまとめました。
5月31日に出版予定ですので、ぜひぜひダウンロードしていただけると嬉しいです(^^♪