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【学級経営】恐るべき「集団」の力!~「グループ効果」を味方につけ、子どもの「やる気」を伸ばす方法とは~
学生生活を振り返ると、間違いなく地味な集団に属していたJUNです!
「『学生時代は。』というなら今は華やかなのか?」と問われたら、黙ってうつむくしかないのですが。やはり、人間は急に別人のようになることはできません。もちろん、心から望んで行動に移せば変化は訪れるでしょう。あとは「環境」が重要なポイントになります。
本日は、そんな話題。
人生の何が難しいって、やはり「自分」を理解することですよね。他者に対しては様々な感情を抱くのですが、突き詰めてみると「自分の在り方だった。」なんてこともあるのです。学校生活でも同じで、「類は友を呼ぶ状態」になることはみなさんも経験してきたのではないでしょうか。教師としては、「個人」のみとりも大切なのですが、「グループ」のみとりも重要です。その「みとりポイント」をまとめましたので、ぜひとも参考にしてみてくださいね。
▶なぜ人は、「グループ」になるのか。
そもそも、「一匹狼」の存在は非常に稀な場合が多いです。
「一匹狼」なんて渋い名前がつくられる位ですから、友達から距離を取って風の思うがまま枝を口にくわえて闊歩するような人は、稀な存在であったことでしょう。
その証拠として、親御さんとの面談で「子どもさんの人間関係」についての話題になると、「誰と一緒にいるのか。」という話題になることが多いです。もちろん、様々な個性をもった子どもたちの集まりなので、時には「静かに読書をして過ごしたい。」とか、「時間いっぱい絵を描いていたい。」と言った要望もあって当然です。しかし、そのような「一人状態」を必要以上に心配される方も中にはいらっしゃるのです。
その根底にある不安は、
「人間は、集団で生活していた方が良い。」
という本能的なものにあるかもしれません。集団の中に、自分の所属がないという状態は、かなりの不安をもたらします。経験豊富な親御さんでさえ、「どこかのグループに所属していた方が安心。」と思ってしまうのですから、まだまだ経験の浅い子どもが「グループ化」するのは、普通のことでしょう。
▶「グループ化」の本当の怖さ。
さて、僕のような変わり者でない限り、何かしらの「グループ」に所属することになるのだと思います。それを否定するわけではありませんが、教師としては、注意しなければならないことがあります。
人間が自然と「グループ化」するのと同じくらい自然な思考で、
「グループ同士は『比較』し合う。」
という特性があります。
はい、出ました! 人生における重要なキーワード「比較」でございます。どのように重要かと言うと、
「『比較』思考は、人生の満足度を下げる。」
という元凶として知られています。
もちろん、「自分」の中での「比較」は、成長のために必要です。しかし、「他者」と「自分」を比較するのは、おすすめできません。
しかし、そのおすすめできないことを学級内の「小集団」同士は、行ってしまうのです。例えば、
「あのグループは、自分たちのグループより勉強ができない。」
と、思っていたとしましょう。しかし、見る方向を逆転してみると、
「あのグループは、自分たちのグループより運動ができない。」
と、思っているかもしれません。
そうです。人間は、誰しも「得手不得手」があるものです。だからこそ、「比較」なんてしてもどうしようもないのです。しかし、「小グループ」は、「比較視点」でグループ同士を比べようとします。なぜか、
「自分が所属しているグループへの『忠誠心』。」
から、来るものなのです。
やはり、誰しもが「自分のグループは最強」だと思いたいものです。そのありあまる「忠誠心」から、「自分のグループの良さを引き立て、よくない部分には目を瞑りがち。」になってしまうのです。
▶教師にできることとは。
ここまで、恐怖を煽ってきましたが、このまま終わるわけにはいきません。少しばかりですが、僕ら教師にできることを書いていきます。とりあえず、
①大集団として「共通の目的」をつくる。
②学級全体を「良い考え」で包み込む。
③意識的にグループをつくらせない。
の3つを考えてみましたが。しかし、相手は「本能レベル」の問題ですので、なかなかの強敵だとは思いますが、本能にも何とか食い込めることを願って解説していきますね。
①大集団として「共通の目的」をつくる。
そもそも論になりますが、「小グループをつくらせない。」という方法は不可能です。意図的に人間関係を調整することになってしまいますからね。子どもたちは、クラスという「社会」の中で、自分の居場所を探しています。その居場所が「小グループ」なのですから、ある意味グループに所属していることは、「安心」をもたらしているともいえます。そこに教師が割り込んで「お前ら、グループになるな!」という助言?は、「安心」を踏みつぶすことになってしまいます。
そこで、「小グループ」はできるものだという前提で、
「逆にクラス自体を集団としてしまう!」
という方法はいかがでしょう。
以前、係活動を充実させる記事にも書きましたが、クラスという人間の集まりを小グループならぬ「大グループ」と捉え、共通の目的をバッチリ据え、それに向かって「小グループ」を走らせるという方法です。
きっと、みなさんも実践されているのではないかと思うのですが、「学級目標」とかがこれに当たります。つまらない「比較思考」でグループ同士のもめごとが起こりそうであれば、そんな小さないざこざは「学級目標」にそぐわない!という方向性にもっていき、あくまでも「みんなが共通の目標に向かっているんだ!」という意識をもたせる方法が良いのではないかと思われます。
②学級全体を「良い考え」で包み込む。
これは、「#子育ての大誤解(下)」に掲載されていた「ミスA」という教師の実践をもとにしています。彼女のすごさを簡単に紹介させていただくと、
「ミスAのつくり上げた学級では、多種多様な子どもたちを一つのやる気ある学習者としてまとめあげる力をもっていた。」
というのです。これだけでもすごいのですが、彼女の本当のすごさは、
「自分たちは優秀であるという意識は、進級して担任が交代した後も続いた!」
ということなのです。すさまじいですね彼女の影響力。さらに、すごさは続きます。
「ミスAのクラスではなかった子どもも『ミスAのクラスだった。』と主張しだす。」
ということもあったのです。「んっ?」って思いました。では、詳しく説明すると、
「成長した子どもたちに、『1年生のときの担任の先生はだれ?』と聞くと、ミスAのクラスではなかった子どもも『ミスAだよ!』と主張した。」
というのです。間違えてはいけないのは、この子どもさんは、心から「ミスA」のクラスだったと思い込んでいます。どういうことか、
「ミスAの影響が強すぎて、『ミスAのクラスだった。』と考えた。」
ということなのです! 何という影響力!!
そんなスーパー教師の手立てなのですが、
「みんなは、助け合いができる優しさの塊だ。」
と、教えていくということなのです。いや、「優しさの塊だ。」とは、絶対に教えてないと思いますが、だいたいそういうこと。大切なのは、
「このクラスにとって、何が大切で、どのような行動が求められているのか。そして、あななたちは、それが『できる子』たちなのよ!」
と、強烈にメッセージを送っていくということなのです。もはや「君たちは選ばれたスペシャリストだ!」位の勢いで伝えていくのです。
すると、①とも似ているのですが、「小グループでのいざこざ」なんていうのは、文字通り取るに足りない「小さな問題」と化すのです。だって、僕たちは、「優しさの塊として選ばれた『できる子』」なのですから。
③意識的にグループをつくらせない。
大分長くなってしまいすみません。最後の方法は、教師が、
「意図的に『比較思考』が生まれてしまうようなグループ分けをしない。」
ということです。
例えば、比較思考が生まれてしまうグループとは何かというと、
「男女。」
とか、
「習熟度別。」
といったものです。
もちろん、子どもたちは成長過程において「男女」の違い等、カテゴリー分けをしてしまいます。同書によると、人種の違いは、3歳頃から意識し始めるとも記述されていました。
このように、「カテゴリーに分ける」ということは当然の行為だからこそ、教師が敢えて配慮することにより「比較思考」を防ぐことができるのです。
もちろん、何でもかんでも「男女混合」で実施しなさいというわけではありません。分けることが必要な場面もそりゃあるでしょう。
しかし、「習熟度別」はいただけません。なぜか、
「習熟度で分けることにより、勉強が苦手チームになった子どもたちは、ますます苦手になっていく。」
ということが分かっています。
さすがに子どもたちも、「これは、算数が得意ではないチームだな。」と理解し、「できない。」という意識を高めてしまうということでしょう。
このような、不要な「グループ分け」を防ぐことで、子どもたちにとって望ましい環境を準備することもできるのです。
▶まとめ。
本記事では、「グループの脅威!」をまとめました。
もしかすると、積極的にグループに加わらない「一匹狼代表」の僕だからこそできることもあるかもしれませんが、目の前の子どもたちに対してできることがないか振り返ってみてください。
この「グループによる環境」は、子どもたちの学習効果に対して大いに影響します。もしかすると、「小グループ」もとい、「学級経営」にも影響を与える位の大きなウェーブを巻き起こすかもしれません。
ぜひとも、参考にしていただき、ミスAに負けることのない「最強学級」を作り上げてくださいね!! あっ、負けるとか「比較」はだめですから、悪しからず。最後まで自分を信じましょう!!
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