人生を切り開く「アイデンティティ・キャピタル」という考え方とは
「私にはいいところなんてない…」
という子どもがいます。それも、割とたくさん。
ここで「困ったもんだ。」と言うのは簡単なのですが、自分自身を振り返ると偉そうなことはいえないのも事実。
だからこそ、先生となった今、僕にできることの1つとして、「自分を振り返る時間を提供して自分自身を理解する手助けをすること」を心がけている次第です。
そんな気持ちから行動した結果、現在こんな場所をつくっています。
「子どもが夢を語り、大人が応援する居場所」をコンセプトとしており、子どもが「子どもだから…」という理由で行動を制限されることなく、とことんやりたいことに没頭できる「第3の居場所」です。
そして、この居場所こそ本記事で話題とする「アイデンティティ・キャピタル」の本丸となるでしょう。
そんな聞きなれない横文字についてさくっと解説していきます。子どもさんが人生を切り開いていく上で、絶対に知っておいたほうがよい情報ですので、このまま読み進めてくださいね。
▼アイデンティティ・キャピタルという考え方
アイデンティティ・キャピタルとは、社会学者がいうところの、
「時間をかけて身につけた、自分の価値を高める経験やスキルのこと」
です。
いわゆる、「個人的資産」といってよいでしょう。
この個人的資産は、足の速さとかテストの点数といったもので表すと分かりやすいですよね。しかし、目に見えないものも資産に含まれる。そして、結構重要です。
例えば、「問題を乗り越える力」や「人間関係を構築する力」。「話し方」や「第一印象」を入れてもよいでしょう。
いわゆる、非認知能力も立派な個人的資産になるということ。
しかし、いくら立派なものをもっていたとしても、自分で認識していないと「私にはいいところなんてない…」という結論になってしまうのです。
ただ、このような子どもの状況を、「あなたは何も分かっていない。あなたにだっていいところがたくさんあるんだから。よく考えなさい!」と叱咤激励しても裏目に出てしまうでしょう。
今更責任をどうとか言っても始まりませんが、大人が意識しておかなければならないのは、「子どもが自分のよさ(アイデンティティ・キャピタル)を認識できる機会をとってあげましたか?」と自問自答してみてください。
学校現場を代表して謝っておくと、カリキュラムや行事をとにかくこなすことに精一杯で、十分に自分と向き合う時間をとれていない現状もあるかと思います。すみませぬ。
#ぬ
ただ、ここは一つ強靭なレジリエンスを発揮して、これからの子どもたちにはアイデンティティ・キャピタルを築くきっかけをつくってあげようではありませんか。
アイデンティティ・キャピタルは、今日とか明日といった短期的に決めるものではありません。
常に振り返ることが大事で、「私ができることは何かな?」「僕って何が好きなのかな?」という機会をことあるごとに提供すること。
#ことごとこと
そして、その「できた!」「得意だ!」「好きなんだ!」というアイデンティティの芽を自覚できるよう視覚化しておくことがおすすめ。
本当は学校でできればよいのですが、「チャレンジしてできるようになったこと」とか「苦しんだけれどやりきったこと」を書き溜めておけるとよいでしょう。
そうやって書き溜めていくと、ふと振り返った際、「あれっ、結構できることが溜まってきたな!」と自分のレベルアップに気づくことができます。
さらに、進路や就職のような人生の岐路に立たされた時、それまで書き溜めてきたアイデンティティ・キャピタルは、選択する根拠として非常に納得感のあるものとなるでしょう。
むしろ、それを進学先や就職先に提出できれば、「ほぅ、君は〇〇な能力に長けているんだぇ」とか「むっ...こんな経験をしているのか。これは興味深い」みたいにその人の能力が丸わかりみたいになるかもしれません。
話は逸れましたが、何が大切かというと、日々の自分の成長を意識的に積み重ねることで「自分とは?」という理解が深まり、よりよい環境を選択する精度が高まるよということ。
何といっても、自分に合った環境に身を置くということは、人生を充実させる最大のヒントですからね。
▼まとめ
本記事では、「自分ができるようになったことを書き留めておくことがおすすめ!」という内容をまとめました。
もちろん、急に子どもさんがアイデンティティ・キャピタルことはないでしょう。ぜひぜひ、親子時間を使って振り返ってみてくださいね。
#キャピタる
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