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2025年ドイツ総選挙!日本との違い&各政党の立ち位置を徹底解説

こんにちは!はねうさぎです。

2025年、ドイツでは連邦議会選挙が行われます。実は今週末2月23日(日)に迫っています!

近年、ドイツの政治は大きく変化し、伝統的な二大政党であるCDU/CSUとSPDが弱体化し、AfDや新興政党BSWが勢力を拡大しています。

日本とドイツの政治制度には共通点もありますが、選挙システムや政党構造には大きな違いがあります。

本記事では、
日本とドイツの選挙制度の違い
ドイツの政党勢力図を日本の政党と比較して解説
なぜCDU/CSUとSPDが衰退し、AfDやBSWが台頭しているのか
自分がドイツ人ならどの政党を選ぶ?(38の質問に答えよう!)
ご参考までに英語で説明してくれている動画を紹介
をわかりやすく解説します。

ドイツ人は全体的に政治に関心がある人が多く、飲み会の席や日常会話でも政治に関するトピックがあがります。日本とは全く違うマインドですよね。

ドイツ政治の今を日本と比較しながら、読み解きます。

先にお断りしておきます。できるだけ正しい情報を客観的的に伝えたいと思っていますが、私は政治専門家でも評論家でもないので、ひとつの読み物としてお楽しみください!


ドイツと日本の選挙制度の仕組みを比較

Tobias Nordhausen via Flickr
  • 選挙の仕組みの違い
    日本は小選挙区制+比例代表で、一票の影響力が地域ごとに異なる傾向があります。一方、ドイツは小選挙区と比例代表を組み合わせた「併用制」 を採用し、比例票の比重が高め。これにより、中小政党が議会に進出しやすい仕組みになっています。

  • 政党政治の違い
    日本は「与党 vs 野党」の構造が強く、与党の自民党が長期政権を維持。一方、ドイツは連立政権が前提となり、選挙ごとに与党の組み合わせが変わることが多いです。

日本とドイツの政治・選挙制度には似ている部分も多くあり、比較的分かり易い。

なお、ドイツの選挙では、政党が連邦議会に議席を得るには全国得票率5%以上が必要です。

これは「5%条項」と呼ばれ、小政党の乱立を防ぎ、議会の安定を維持するために導入されました。

例外として、小選挙区で3議席以上を獲得すれば5%未満でも議席を得られます。

この制度により、極端な政党の影響力が抑えられ、大政党中心の政治が維持されます。ただし、小政党の得票が「死票」となりやすい側面もあります。

今のドイツ政治:日本の政党と比較しながら解説

現在のドイツ政治は、「右傾化 vs 左傾化」の流れが激しく揺れ動いています。

移民政策、経済政策、環境問題などが大きな争点となる中、日本の政党と比較しながら、ドイツの政党を解説します。

ドイツの政党の右・左対比(日本との比較)

ポイント

  • CDU/CSUとSPDはかつての二大政党だが、近年支持を失い低迷中

  • AfDは移民・経済不安を背景に右派ポピュリズムとして急成長

  • 新興政党BSWは、移民制限+社会福祉強化という独自のスタンスで支持を拡大

  • 「右」や「左」はあくまでも政治社会学的な捉え方を記載しています。

  • この図はあくまで概略であり、各政党の立ち位置は複雑で、常に変化しています。
    例えば、近年はこの「捉え方」の感覚には若干ずれがあるように感じ「左じゃなくて”極左だ!”とか”極右じゃなくて一般論の中道だ!”という意見もあります。なぜなら連立政権により、本来の政権ポリシーとは違う政策を推進している実態があるからです。紙面上はこのような定義でも実情が違うのが今のドイツの政治。

  • 海外と日本の「ポピュリズム」は、定義が違うと思うので必ずしも日本の概念がドイツ、ドイツの概念が日本にはそのままあてはまりません。例えば、ナチスドイツのファシズムとポピュリズムは共通している部分もありますが、異なった思想です。

  • 各政党の具体的な政策や主張は、それぞれの政党のウェブサイトや文献を参照してください。

  • この図は、ドイツと日本の政党の立ち位置を比較するために作成されたものであり、両国の政治体制や文化的な違いを考慮する必要があります。

ドイツの主要政党とその特徴

■ CDU(キリスト教民主同盟)
特徴:保守的で市場経済を重視、伝統的な中道右派政党
支持層:企業、地方の保守層、高齢者
現在の状況:メルケル後、求心力低下。右派AfDとの距離が課題

🔵 CSU(キリスト教社会同盟)
特徴:CDUの姉妹政党で、バイエルン州限定の保守政党。CDUよりやや右寄りの立ち位置。
支持層:バイエルン州の伝統的保守層、カトリック系住民
現在の状況:バイエルン州では長年支配的な政党だが、AfDの台頭で支持を奪われる懸念も。

🟥 SPD(社会民主党)
特徴:労働者寄りの社会政策を重視する中道左派政党
支持層:労働者、中産階級、社会福祉重視の人々
現在の状況:ショルツ首相の党。支持率は低迷中

🟦AfD(ドイツのための選択肢)
特徴:厳格な移民政策・ナショナリズムを掲げるポピュリスト右派政党
支持層:移民政策の厳格化を求める層、不満を持つ有権者、一部のエリート層(経営者・学者・専門職)
現在の状況:地方で勢力拡大、支持率上昇中

🟡 FDP(自由民主党)
特徴:自由市場経済と個人の自由を重視する中道政党
支持層:ビジネス層、若年層、起業家
現在の状況:現在の連立政権にいるが、支持率低迷

🌱 Grüne(緑の党)
特徴:環境政策と社会的自由を推進する左派政党
支持層:都市部の若者、環境活動家、超リベラル層
現在の状況:連立政権にいるが、政府管理の規制を強めた各政策で支持を得られず支持率は減少気味

🔴 Linke(左翼党)
特徴:社会主義寄り、貧困層支援や反資本主義政策を掲げる左派政党
支持層:低所得者、左派知識層
現在の状況:影響力が低下中

🟣 BSW(ドイツ左派同盟 - ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)
特徴:社会福祉重視のポピュリスト左派。慎重な移民政策立場を取る新興政党
支持層:旧東ドイツ地域の労働者層、SPDや左翼党に不満を持つ有権者
現在の状況:2023年に結成されたばかりだが、左派の新たな選択肢として急速に支持を拡大中

あなたがドイツの投票権があればどの政党に投票する?

オンラインの「Wahl-O-Mat」は、2025年ドイツ連邦選挙の一問一答ツール。38のテーマから、自分の答えと各政党のポリシーを比べることができます。

38の質問に答えていくと、自分の支持する政策やポリシーから、どの政党のマニュフェストや方向性と一致しているのかわかるゲーム感覚のツールです。質問はすべてドイツ語ですが、翻訳機能などを使ってお試しください。

面白いですよ!

ちなみに私は…「Verjüngungsforschung」という聞いた事もない小さな政党で「すべての人に限りなく健康な生活をもたらす若返り研究」を促進する正当らしいです(爆笑)

若返りは重要ですよねwww

なお、「死票」を回避するため、主要政党のみでどの政党と意見が近いかもわかります。

私の場合は、「極右」とよばれるAfDと、「極左」と呼ばれるLinkeの両方がトップでした….私の頭の中、極端なのかな(爆笑)

各政党の2025年選挙プログラム

CDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)が弱体化した理由

CDU/CSU(メルケル氏が長年首相を務めていた)は伝統的な保守政党としてドイツの政治を牽引してきました。

私はバイエルン州在住という事もあり、ドイツ国内でもキリスト教に基づいた思想の保守派が多い地域であるという肌感覚があります。

しかし、近年の選挙で支持を失い、影響力が低下しています。

その理由として、「保守」を掲げながら左派寄りの政策を推進し、有権者の信頼を失ったことが挙げられます。

CDU/CSUが「保守」から離れた主な政策

参照:HeyWolfiチャンネル

移民政策のリベラル化:メルケル政権は2015年の難民危機で大量の移民を受け入れ、伝統的な保守層の反発を招き、支持者の一部がAfDに流れた。

環境・エネルギー政策の左傾化:脱原発・再生可能エネルギー推進により電気料金が高騰し、特に地方や企業からの反発が強まった。

社会政策のリベラル化:同性婚の合法化(2017年)や最低賃金導入(2015年)により、「CDUは伝統的な家族観や市場経済を軽視している」との批判が増加。

熱心なカトリックの方からみたら、そりゃそうだよね….と納得する部分もあります。。。

CDU/CSUが支持を失った理由

保守層の離反:「伝統・宗教・安定」を重視する支持層がAfDやCSUの右派勢力に流れた。

AfDの台頭:「CDU/CSUは保守ではない」と感じた有権者がAfDに投票し、特に旧東ドイツ地域で支持を拡大。

連立政権の影響:SPDとの「大連立」により政策が左寄りになり、結果的に保守層の支持を失った。

私の住むバイエルン州の田舎では、60代以上のドイツ人のCDU/CSUへの忠誠心は依然として強いですが、それが揺らぐこと自体が大きな変化と言えると思いますね。

今年の総選挙ではCDU/ CSUが優勢と言われていますが、現時点で二番手有力のAfDとは連立を組まないと言っているので、結局また極左の方向へ行くと言うルールになる可能性があります。

AfDは「極右」?それとも「反体制政党」か?まい進の理由

AfD(ドイツのための選択肢)は移民政策の厳格化やEU批判を掲げ、既存政党への不満を背景に急成長しています。

しかし、単なる極右政党ではなく、「反体制政党」としての支持を集めていることが特徴です。「不法かつ無秩序な移民流入を防ぎ、ドイツの価値観を維持すべき」と言う考え方が既存の保守層から支持されている理由でもあります。

特に、エネルギー政策や経済規制に不満を持つエリート層や中小企業経営者の支持を得ている点が、他のポピュリズム政党とは異なります。また、旧東ドイツだった地域での支持も増加しています。

既存政党の方向性に不満を持つ層が増え、AfDの勢力が拡大していると言えます。

しかし、一部の政治家や支持者の発言が、明らかに排外主義的な内容を含むことがあったり、AfDの移民政策が誤解されやすく、結果的に「極端なナショナリズムと結びつけられる」ことが多く、今回の選挙が『戦後のドイツでもっとも重要な選挙』と言われている理由でもあります。

BSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)伝統的左派の再興か?

Quelle: dpa

BSW(Bündnis Sahra Wagenknecht|ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)は2023年に設立された新しい政党で、左翼党(Die Linke)を離党したザーラ・ヴァーゲンクネヒト(Sahra Wagenknecht)氏が率いる、いわばスピンオフ的な政党です。

彼女は社会福祉を重視しつつも、移民制限を求める「現実的な左派」として支持を集めています。

従来の左派政党が都市部のリベラル層に重点を置く一方、BSWは「労働者のための左派」を強調し、社会福祉の拡充と移民制限のバランスを取る現実的な政策を掲げています。

なぜBSWが注目されているのか?

参照:BSW公式サイト

左派の分裂とSPD・左翼党の弱体化

  • BSWの登場により、SPDや左翼党の支持層が分裂する可能性が高い。

  • 特に、旧東ドイツ地域でBSWの支持が拡大している。

「労働者のための左派」への回帰

  • 緑の党やSPDが都市部のリベラル層に支持されるのに対し、BSWは「伝統的な労働者の声を代弁する」とアピール。

  • AfDとは異なり、ナショナリズムではなく「社会保障や経済保護のための現実的な移民政策」を主張。

「極端なリベラル」と「極端な右派」の間を埋める存在

  • リベラルな政策に疑問を持つがAfDの強硬姿勢には抵抗がある層に支持されています。

  • BSWは、移民政策やEU政策で「中庸な現実路線」を取ることで、幅広い層の支持を狙っています。

  • 2025年の総選挙では、「AfDに投票したくないが、SPDや緑の党にも満足できない」有権者の受け皿として注目。

  • BSWがどこまで議席を伸ばし、どの政党と連立を組むのかが今後の焦点となるでしょう。

まとめ:2025ドイツの総選挙の動向

私も移民としてドイツに住んでおり、選挙権はありませんが、住んでいる国の政治に興味を持つのは自然な事だと思っています。

私なりに解説してみましたがいかがでしたでしょうか。以下ポイントです。

  • CDU/CSUは「保守」を掲げながらリベラル化し、AfDに支持を奪われた

  • AfDの躍進が政治を揺るがし、BSWの台頭で左派も分裂

  • BSWは新たな左派の選択肢として注目され、今後の選挙で重要な役割を果たす可能性がある

  • 2025年の総選挙は、ドイツの政治の方向性を大きく左右する重要な選挙になる

今後のドイツ政治がどこへ向かうのか、引き続き注目しましょう!

ご参考まで:英語で2025ドイツ総選挙の説明動画の紹介

私はこのFeliさんという方の動画をたまに見るのですが、今回のドイツの総選挙と政治政党について英語で説明してくれています(在米ミュンヘン出身のドイツ人)。

少し長めですが、ドイツ人としての知識やリサーチ、客観的かつとてもわかりやすい視点で話してくれているのでぜひ見てみてください!おすすめ❣





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はねうさぎ@旅するドイツライフ
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