バラの歴史からみたマリア様がみてる「いとしき歳月(後編)」と「バラの本数と花言葉」
ごきげんよう、はねおかです。
そろそろバラの二番花の季節ですね。
現代バラ(ラ・フランス以降のモダン・ローズ)は60日おきに咲く四季咲き性を持っていますから、春の一番花を早めに切った場合は二番花の咲く時期、というわけです。
さて、今回は「いとしき歳月(後編)」と「バラの本数と花言葉」についてです。
花にはそれぞれ花言葉が与えられていますが、色や本数によって変わってくるのをご存知でしょうか?
例えばカラフルな花の代表格、チューリップ。
赤いチューリップの花言葉は「愛の告白」
白いチューリップの花言葉は「新しい愛」
黄色のチューリップの花言葉は「正直」「名声」
色の違いだけでこれほど違うわけです。
さて、いとしき歳月(後編)の表紙をご覧いただくと、「ん?」と思うところがあります。
いとしき歳月(後編)の表紙は、蓉子さまが白いバラを手にしているイラストですが、この赤字の先のバラをご覧下さい。
これ、バラだとしたら、一輪だけ咲きかけなんですよね
剣弁高芯咲き品種の、咲きかけのものが混じっているんですよ。
他のバラは全て咲き開いています。
なぜ一輪だけ咲きかけのバラがあるのか、そして、なぜそれが問題なのかについては、表紙に描かれているバラの本数を数えてみれば分かります。
咲き開いているバラの本数は12本です。先程の咲きかけのバラを含むと13本になってしまいます。
13という数字は我々日本人には馴染みの薄い数字ですが、キリスト教圏では意味を持ちます。
裏切り者であるユダが最後の晩餐で13番目の席に座っていたことから、忌み数として嫌われているのです。
13が嫌われている理由は他にも諸説ありますが、ともかく東洋圏の4や9とか42と同様の扱いをされており、例えば建造物では13階と表記しないなどがあるそうです。
一方、12という数は扱いが異なります。
12進法は古代メソポタミア文明の頃から使われており、当時では一般的な数え方だったそうです。両手の指の数と、2本の足で数えていたとか。
この12という数は、2、3、4、6で割ることができるため、2、5でしか均等に
割ることができない10進法よりもある意味では使い勝手の良い数と言えそうです。
さて、ここからが本題です。
バラの本数と花言葉です。
上記の記事でも書いたように、花言葉の起源はトルコでのセラムにあるとされています。
元々は花だけでなく、モノ全般にメッセージを込めてやりとりをしていました。
では、マリア様がみてるの作中で出てきた本数と花言葉を見てみましょう。
【一本】
一本のバラの花言葉は「一目惚れ」「あなたしかいない」です。
ニュー水野蓉子を目指していた蓉子さまに「あなたしかいない」はなかなかメッセージが込められていていいですね。
【百本】
作中では二百本と描かれていますが、令さまと由乃さんが持つ花器(2つ)に分けて展示するというので、実質百本×2でしょう。
百本のバラの花言葉は「100%の愛」です。ということで、山百合会メンバー、ひいては下級生全員から三年生へ向けての100%の愛…美しいですね。
ちなみに余談ですが、ここで二百本のバラを持つ役目は、先日倒れた祐巳に任されます。しかも本人は「一番楽そうな仕事を任せてくれた」と言っています。
上の画像のように、百本でもかなりのボリュームがありますから、二百本のバラの運搬はいうほど「楽な仕事」じゃない気がしますね。
小分けにして往復したんですかね?
【十二本】
十二本のバラの花言葉は「付き合ってください」です。
1996年、当時の有限会社ユー・インターナショナル代表の内田氏が12本のバラ、つまり1ダースのバラを「ダーズンローズ」と命名したことが始まりです。
現在では、結婚式で新郎から新婦へ12本のバラのブーケを贈り、ゲストの前で告白する「ダーズンローズセレモニー」が有名です。
12本の一輪それぞれに「感謝・誠実・幸福・信頼・希望・愛情・情熱・真実・尊敬・栄光・努力・永遠」の意味が込められていて、お互いのこの先長きに渡る結婚生活を祝福するんだとか。
江利子さまの恋路は親兄弟が黙ってないでしょう。
蓉子さまが白バラを12本持っているというのは…聖蓉派としてはたまりませんね。
【十三本】
忌み数として嫌われていた13ですが、なんと13本のバラの花言葉がありました。
それは「永遠の友情」です。
由来は定かではないのですが、13という数は素数なので「割り切れないもの」という意味があるのではないでしょうか。
作中ではお互いが、出会いに、そして別れに思いを馳せる中、永遠の友情の意味を持つバラを持っていること―
固く結ばれた友情に、言葉なんて無粋なのです。
最後は、いとしき歳月(後編)をしめるに相応しい、最後の言葉を引用して終わりたいと思います。
この学校で、あなたたちに出会えてよかった。