バラの歴史から見たマリア様がみてる「子羊たちの休暇」と「バラの冬剪定」
ごきげんよう、はねおかです。
寒くなってきましたね。
僕は寒いのが大の苦手なので、早く春にならないかなあと思っているのですが…
さて、今回は「子羊たちの休暇」です。
子羊たちの休暇は、夏休みに富士登山をした黃薔薇姉妹、仏像と教会めぐりをした白薔薇姉妹、そして軽井沢の別荘に避暑をする紅薔薇姉妹のお話です。
休暇、といえば、我々ロザリアン(バラ愛好家)には冬休みというものはありません。
なぜなら、バラの冬支度をしなければならないからです。
という訳で、今回は一般的な栽培方法である鉢植えバラの冬支度のお話です。
まず、株の状態を確認するため、鉢から株を抜き取ります。
当たり前ですが、活動中のバラ(バラに限らずどの植物でもですが)の株を引き抜くことは株への負担になるのでやめましょう。あくまで休眠してからの作業です。
このように、根張りが良い…というか、この場合は根に対して鉢が小さいので、一回りか二回り大きい鉢に植え替えます。これを「鉢増し」と呼びます。
鉢の大きさは◯号と呼ばれ、1号=3センチ刻みで大きさが増していきます。
株の大きさに合った鉢に植え替えましょう。
では、逆に根の張りが弱い株はどうでしょうか?
まぁこの程度だと鉢の大きさは替えなくていいと思いますが、鉢から抜いた時に根鉢が崩れてしまうような株だったら検討が必要です。
その場合は株に対して鉢が大きいといえますので、一回り小さい鉢に植え替えると良いでしょう。
株に対して鉢が大きいと、水やりの際に鉢に多くの水が蓄えられます。すると、根は自分が伸びなくても水を吸えるので、根が張らなくなります。さらには、鉢の中の水分が多いことで根が腐る(根腐れと呼びます)原因にもなります。
再三になりますが、株の大きさに合った鉢に植えることが大事です。
そして、株の状態を確認したら、剪定です。
剪定も、株の状態に合った剪定をします。
簡単に言えば、根張りの良い株は大体全体の高さの3分の1程度まで、弱った株は大体全体の4分の1まで切ります。
弱った株の枝を短く切ってしまうことは、株のことを思うと可哀想に思えますが、そうではありません。
弱った根張りの弱い株は、根から栄養を十分に吸収できません。いわば、人間でいえば「体調不良で食欲不振」と例えると分かりやすいかもしれません。こんな時には体を休めることが大切です。フルマラソンをさせるような、体に負担のかかる行為は慎むべきです。
バラの芽というのは、葉の付け根にあります。なので、枝が長いということは、それだけ芽の数が多いということになります。
健康な株なら、根から栄養を十分に吸収し、その全てを芽が伸びるために使えます。ですが、弱った株では根が栄養を十分に吸収できませんので、少ししか栄養を使えないわけです。その状態で多くの芽を残すと、1つの芽に割り振られる栄養が十分でないため、ヒョロヒョロとした芽になってしまいます。これは、株にとってはよくありません。
そこで枝を短くし、芽の数を減らしてあげることによって、株への負担を少なくしてあげる必要があるのです。
また、冬剪定の際には、バラの葉を全て取り去る必要があります。
これは、剪定や誘引という作業のしやすさだけでなく、葉に潜んでいる病害虫を越冬させないようにする予防策でもあります。
葉は取らなくて良い、という人もいますが、どうせ春になったら葉は芽吹くわけですし、病害虫対策と作業のしやすさを考えると、面倒でも全て取り去ったほうが良いと思います。
最後に用土替えです。
市販のバラ用培養土を使うもよし、ご自分のブレンドした土を使うもよし。ご自由にどうぞ。
鉢植えのバラは、用土が砕けて細かくなると、根を広げるのには不都合な環境になります。根詰まりをおこさないよう、冬剪定のついでに用土を新しくしておいた方が良いでしょう。
たまにバラの栽培書でも見るのですが、「用土替えをしたら、隅々まで土が行き渡るように、棒で突くと良い」と言われますが、これは根が傷付く事を考えると、あまりオススメできません。
鉢を地面にコツンコツンと当てて均し、減った分の土を足していきましょう。
根が傷付くと、そこから根頭がん腫に感染したりするので、いくら休眠中とはいえ根を傷付けるような行為は避けるべきでしょう。
バラとヒトとの付き合いは古く、その起源は紀元前にまで遡ります。
古代ギリシャのテオプラストスが書いた、恐らく世界最古の植物に関する書物である「植物誌」において、「バラの枝を切ると成長が良くなる」や、「バラは種から育てるより挿し木で増やした方が早い」(この当時にはもう挿し木による栽培技術があったということ!)といった、現代でも通じる植物への知識が掲載されています。
「子羊たちの休暇」では、「小笠原家への嫌がらせ、すなわち妹である福沢祐巳への嫌がらせ」といった苦境を、祐巳は知恵で切り抜けます。
「マリア様の心」の意味が分かる者としてー
我々ロザリアンにも、先人達が遺してくれていった知識があります。
正しく理解し、正しく使いましょう。