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魔訶不思議EUV!

半導体産業が熱い。
日本の産業は自動車という高度経済成長期から染み付いていることと、日本の半導体素子屋さんがかつての勢いを失っていることで、なんとなく海外のことのように距離を置いていた。
しかし、熊本にいらっしゃったTSMCを筆頭に、ラピダスの登場、SONYの新工場建設と、日本国内でも半導体産業が熱を帯びてきた。
レーザ屋さん視点での半導体産業は、地球最高レベルの光学系を誇る露光装置に尽きる。

露光装置の光学系も、そこに使われているレーザをはじめとした光源も、理論計算値をそのまま具現化した神が作り上げたような精度で成り立っている。
その光学系についても光源についても1週間徹夜しても語り尽くせないが、それを差し置いてでもまず語りたいのがEUV = Extreme UltraViolet (極紫外線)だ。

半導体祭りが長期に渡り開催されているので、いつの間にかEUVという言葉は、其処彼処で聞こえてくるようになった。
しかし、このEUVの凄さがなかなか伝わらないことに、はねいぬは少々心配している。
良く取り上げられているのが、EUVの波長13.5nmである。
だがしかし、どのくらいの人たちにこの13.5nmが持つ価値を伝えられているのだろうか。

EUV露光装置を使えば13.5nmより細い回路を作れる。
その線幅は例えば髪の毛の○○/1の細さ〜、などイメージつくものか。
だいたい髪の毛をまじまじと見て、この髪の毛の1/4000の細さが半導体回路の配線の幅か、など考えたりするだろうか。
せいぜい枝毛がある~とか、キューティクルが~とかくらいであろう。
もっともっと身近でイメージしやすい例が必要だ。
個人的には超長距離からのツインサテライトキャノンでコロニーレーザ―の真ん中を撃ち抜く重ね合わせ精度が、一番イメージつきやすいのだがそれではEUVではなくEUV露光装置になってしまう。

となるとやはりこれだ。
摩訶不思議なアドベンチャーに出てくる戦闘力という数値だ。
数値こそがイメージの付きやすさの源で、説得力あるデータに必須である。

一般的な地球人の戦闘力は、猟銃を持っていてもたったの"5"だ。
この"5"を電子基板の上にある配線の1mmとしよう。
それに対して、EUVが現れる前に最高性能であった波長193nmのエキシマレーザを使った露光装置で作れる回路の線幅はだいたい20nmだ。
戦闘力に換算すると250,000である。
EUVの1世代前でも、重力100倍の修行を終えてナメック星に降りたった孫悟空が界王拳を発動させてもなお圧倒している。

EUVでは回路の線幅が2nmよりも細くなるので、戦闘力はさらに10倍の2,500,000である。
フリーザ様第二形態をゆうに2倍は超えている。
ネイルさんと同化したピッコロさんでも足元にも及ばない。
これこそがEUVの凄さを伝える最適例だろう。

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