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バースト加工について、何も喋るな

発振周波数やパルス幅などのパラメータのレーザ加工への影響を理解してくると使いたくなるのがバースト加工である。
なぜみんなそんなに使いたくなるのかと、レーザメーカに所属していたはねいぬにはさっぱり分からない。
もうさっぱり妖精がくっきり見えるほどだ。

やはり「バースト」というワードの強さに惹かれているというのが、はねいぬの結論だ。
エアマスターのあのパワーアップを見せつけられたら、レーザもなんだかパワーアップしてどんな加工も出来そうだと盲信してしまう。
そう、「バースト」という言葉をドイツ人から聞いたあの時のように。

だがしかし、レーザ加工のバーストはエアマスターバーストとは違う。
エアマスターバーストは、エアマスターから火力と機動性を大幅に強化しているので、ベーススペックも向上している。
それに対してレーザのバーストは、ベースとなるレーザ発振器の基本性能は変わらず、ただレーザパルスの出し方を変えたにすぎない。
レーザ発振器のスペックは何も変わらないのだ。
最大平均出力も最大パルスエネルギも最短パルス幅も何も変わらない。
エアマスターのままなのに、エアマスターバーストと名乗っているようなものなのだ。

ではなぜレーザのバーストが、エアマスターをエアマスターバーストに見せてしまうのだろう。
レーザのバーストは、短パルスもしくは超短パルスレーザ発振器に実装される機能である。
これらのレーザ発振器の通常の発振は、レーザ発振周波数に従って常に一定の時間間隔で行われる。
それに対してバーストは、1発目のパルスと2発目のパルスの発振間隔を極端に短くして発振する。
例えばその間隔をナノ秒単位にまで短くすることができるのだ。
このような短い時間間隔で加工対象にレーザパルスを照射すると、不思議なことが起こる。

同じパルスエネルギという前提のもと、一定周波数で加工対象の同じ場所に2パルス当てたときと、バースト発振して2パルス当てたときとでは、その加工量(昇華する材料の体積)に大きな差が生まれるのだ。
もちろんバースト発振の時に、より大きな加工量になる。
これこそが時間的なレーザパルス照射間隔を極端に短くするバーストの効果であり、同じパルスエネルギでも加工量を大きく増やせることから、エアマスターをエアマスターバーストに見間違えてしまう理由である。
加工においてバーストを上手く活用できれば、エアマスターのままエアマスターバーストとして活用できるのは事実である。
だがバーストはその扱い方がとても難しく、制限がいくつもある。
ウィッツがどれだけ優秀なガンダム乗りかを知れば知るほど、身に沁みてくるはずだ。
それは次の記事で、お楽しみいただきたい。

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