式神を使いこなせ!(ザ・プロデューサー)
ここ10年ほどのわたしは、プロデューサーとしても活動していた。最初はライターとして身を立てれないか検討したのだけど、会社のOKが出なかったがゆえの消去法だった。
いろいろな人から意見をいただいたが、それはお金の問題に集約される。会社員である限り、会社が個人に求める利益額がある。一般的には年収の2倍と言われることが多いと思うが、わたしは5倍くらい求められていた。
たしかに、いくら原稿書きの仕事を頑張ったところでその額にはまったく到達できない。当時の部長にはこう言われた。「そういうのは別の人間にまかせていいから、君は案件をたくさん作って、回せ」。
ビジネスの感覚からすると正しいのだろう。目標の利益額をたたき出すにはそれしか方法がなかった。それからは原稿書きの仕事は最低限にとどめ、いろんな職種のひとをかき集め、プロジェクトを軌道に乗せることに専念した。
わたしが一緒に仕事をした人の職種を上げる。ライター、デザイナー、編集者、校正者、プロジェクトマネージャー、翻訳者、対訳チェッカー、カメラマン、メイク、スタイリスト、コンサル、業界の有識者(その他もろもろ)。
この中でも特に重要なのが、編集者とプロジェクトマネージャー(同一人物のことが多い)。ここが機能しないとプロジェクトが崩壊する! わたしの経験から断言できる。極端なことをいうと、そこさえしっかりしていれば、多少チームの人選にミスってもなんとかなる。
一緒に仕事をしてくださる方々、特に要となるプレイヤーは自分の分身だと思わなければならない。自分の代わりに仕事をしてくれる人がいるから、レバレッジが効き、到底ひとりでは達成できない利益額に手が届く。
ただ、ここで問題がでてくる。優秀なプレイヤーがわたしの言うことを聞いてくれるのか? 優秀な人であればあるほど、他人の言うことを聞く必要がない。
優秀な人は案件を選べるし、他人を介さないで自分でビジネスをしたほうが利益率が上がる。わたしはこの問題を考えるとき、いつも式神を思い浮かべるのである。
自分の分身として活躍してもらうのだから、かなり強力な式神だ。そして、式神を手に入れるためには条件がある。マンガに出てくる式神やファイナルファンタジーの召喚獣を思い出してほしい。
そう、一度倒さなければならない。もちろんすべての能力で上回る必要はない。「この分野では絶対この人には勝てない」と心から認めてもらうことが重要だ。
案件をとってくる能力、その分野での広範な知識、同じ分野で頑張った過去の経験、なんでもいい。とにかく、持てる力を示し、相手に認めてもらわなければならない。
他人に仕事をしてもらうなんて楽な仕事だと思うかもしれないが、プロデューサーはたくさんの式神を使役しなければならないし、そのためにたくさんの勝負に勝たなくてはいけない。式神がクライアントに負ければ、それは自分の負けになる。常にサポート、120%の力を引き出す。世の中は甘くない。
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