ブランディングの話(人間をやめて自称専門家を超えろ)
実はわたしはブランディングのコンサルタントでもある。
伝説のブランドマンから壮絶なパワハラとともに指導され、自分なりにそのエッセンスを昇華させた。
みうらじゅん氏を真似て、実質ただの制作会社である(株)サイコパス・コンサルティング在籍中にひとり電通を立ち上げた。心のなかで。
意外と、すごい成果がでた。自分で設計したあるコンサルティングプログラムでは1回のディスカッションごとに40万円の売上をあげた。この記録を超えられる気がしない。わたしのコンサルにその価値がないかと言われれば、「ある」と思っている。
世の中の自称ブランディングの専門家があまりにしょぼすぎるからだ。
本質をまるでとらえていない。すぐに、企業の強みや想いやルーツを伝えることが重要だと言い出す。
それはブランディングのほんの一面に過ぎない。わたしがブランディングとは「違い」を打ち出すことだと言うときょとんとする。説明しても、肩書きや自称専門家のプライドがあるから、話を聞こうとしない。本当に害でしかないと思う。そういう人はずっと戦術レベルの領域でやっていればいい。
ブランディングの本質をつかむためには、まず、ブランドとは何かを理解しなければならない。
ブランドは、ブランド連想(ブランドのイメージ)だったり、ロイヤルティだったり、商標だったり、いろいろなものから構成されるが、本質をつかむという話であれば、中身よりも場所のほうが大事だ。
ブランドは消費者(と様々なステークホルダー)の頭の中にある。
自社ではなく消費者の頭の中にあるのだから、直接操作することができない。自社が伝えたいメッセージを伝えるというのは、あまりに一方的な話なのだ。
では、消費者にアンケートをとって、ブランドのどういう側面がウケがいいのか調べればいいのか。それでもまだ足りない。ミスリードを起こしうる。
あまたいる競合の視点が必要になる。
仮にアンケート調査から「信頼できる(信頼性)」のメッセージを強く発信することが必要だとわかったとして、多くの競合も信頼性に関するメッセージを発信しているのだから、それを上回ることができなければ、消費者に届かない。消費者の頭の中に「信頼性」が形成されない。
だから、競合との「違い」を打ち出すことが重要なのだ。
具体的には、「✕✕ブランドは、〇〇だから信頼できる」という認識の形成。〇〇の部分が、説得力のある違いでなくてはならない。
ここまで話してきたのは、マーケティングの世界のいわゆる3Cの考え方だ。3つのCは、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)。
マーケティングの基本中の基本なのに、自称ブランディングの専門家はその話が理解できない。指摘すると「そんなの知っている」と言う。いや、知っているのでも理解しているのでもなく、言われて思い出したが正解だ。
3Cを常に意識するのは難しい。基本なのになぜこんなに忘れ去られてしまうかというと、おそらく人間は目が前についているからだと思う。一方向にものを見るようにできている。
3Cは、相当意識しなければ習得が難しい、不自然なモノの見方なのだ。
自称ブランディング専門家を脱するには、人間性をぶち壊すしかない。