拝啓、理想の人
人は何かに憧れて生きるものです
誰かの背中を目指して
誰かのようになりたくて
その後をついて歩くのです
けれど
同じ才など一つも存在せず
思い描く
理想の人には遠く及ばず
産み出したものをいくら賛美されても
それはあの人の作品ではなく
私の作り上げた
私らしさでしかないのです
憧れて生きてきました
望んで生きてきました
同じ道を辿ることはできなくとも
その背中を確かに追いかけました
これは成りたかった私ではないのです
ただ
私にはこうするしかなかったのです
こうやって生きることしか
出来なかったのです