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Functional divergence of CYP76AKs shapes the chemodiversity of abietane-type diterpenoids in genus Salvia
本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?
本研究の学術的背景は、薬草に含まれる活性化学物質の多くがテルペノイドであることです。Salvia L.(Lamiaceae)の種には、テルペノイドの一種であるAbietane-type diterpenoids(ATDs)が含まれ、種によって特有の化学的多様性を示します。本研究の研究課題は、ATDsの化学的多様性がどのように進化したかを解明することです。
本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?
本研究の目的は、テルペノイドの化学的多様性に関する新しい情報を提供することであり、これによって、植物の進化と適応の過程に影響を与える要因を理解することができます。本研究の独自性は、大規模な代謝・系統解析、酵素機能、祖先配列、化学特性の再構築、および比較ゲノミクス実験などを組み合わせた、総合的なアプローチを採用した点にあります。
本研究の着想に至った経緯や,関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?
薬草の有効成分に関する研究は盛んに行われており、Salviaのような植物には多くのテルペノイドが含まれています。本研究は、SalviaのATDsの化学的多様性に注目し、それがどのように進化したかを解明することに着想を得ました。
本研究で何をどのように,どこまで明らかにした?
本研究では、71種のSalviaの代謝・系統解析、酵素機能、祖先配列、化学特性の再構築、および比較ゲノミクス実験を行い、ATDs化学的多様性の進化を解明しました。ATD多様性の進化は、コトシトクシソバイドキサイドーゼサブファミリーCYP76AKの機能分化によるテルペノイド骨格の酸化によって引き起こされることが示されました。
本研究の有効性はどのように検証した?
本研究では、SalviaのATDsの化学的多様性に関する研究を行い、ATD多様性の進化が酵素活性と関連した代謝ネットワークの進化によって引き起こされたことを明らかにしました。本研究の知見によって、テルペノイド化合物の進化・適応の過程の理解に進展がもたらされることが期待されます。