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Integrated gene analyses of de novo variants from 46,612 trios with autism and developmental disorders

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2203491119

  1. 本研究の学術的背景と核心となる問いは、発達障害として知られる神経発達障害(NDDs)に注目し、それらが男性に2倍の確率で影響を及ぼし、以前よりもその存在が明らかにされている現代社会で、具体的にどの遺伝子が対象となるのかという点です。特に、自閉スペクトラム障害(ASD)と発達障害(DD)は共通した遺伝的要因を持つことが指摘されており、それらを総称したNDDsとして一括りに考えることで、新たな候補遺伝子を見つけ出すことが求められています。

  2. 本研究の目的は、ASDとDDを含むNDDsの遺伝子解析を行い、その独自性と創造性を持つ新たな候補遺伝子を発見することです。具体的には、これまで個別に考えられてきたASDとDDをまとめて考えることで、新たな視点からその遺伝子解析を進めます。

  3. 着想の源は、ADHDや知的障害などのNDDs診断を受けた個体の大部分が、その他のNDDs症例と症状を共有することが多いという現象から得られました。過去の研究では単一の症状群に焦点を当てて遺伝子を探ってきましたが、それぞれの診断群間には差異があり、結果として異なる遺伝子群が発見されてきたため、本研究ではこれらを統合して考えることで、新たな視点からの遺伝子探索を試みています。

  4. 本研究で明らかにしたのは、ASDやDDなどNDDsの広範なグループについて、615の候補遺伝子を3つのモデルを用いて確認した結果です。これらの候補遺伝子は、脳の発達中に5つの特異な機能ネットワークに分類され、それぞれがASDに特異的な遺伝子を持っていませんが、18の遺伝子がDDに特異的に濃縮されていることが分かりました。

  5. 本研究の有効性は、3つの異なる統計モデルを用いて615の候補遺伝子を特定し、それぞれが全てのモデルでゲノム広範囲の有意性に到達(P < 3.64e–7)する138の遺伝子を確認することで検証しました。

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