Celf4 controls mRNA translation underlying synaptic development in the prenatal mammalian neocortex
本研究の主要な問いは、未成熟な脳皮質の初期のシナプス形成の分子生物学的かつ細胞生物学的なメカニズムについてです。具体的には、脳の発達において重要な役割を果たすRNA結合タンパク質(RBP)とは何か、それがどのように働くかについて知識を深めることを目指しています。
本研究の目的は、早期胎児と中期胎児のヒト脳皮質の発達を追跡するための包括的な単一核RNAシーケンス(snRNAseq)マップを生成することです。この研究の独自性と創造性は、ASD(自閉スペクトラム障害)や関連するNDD(神経発達障害)のリスク遺伝子の中で最上位に位置するRNA結合タンパク質(RBP)であるCELF4というタンパク質が初期シナプス形成にどのように重要であるかを明らかにした点にあります。
本研究の着想は、NDDのリスク遺伝子がエンコードするタンパク質が他のNDDリスク遺伝子のmRNAを調節する能力があるという先行研究から得られました。この事実は神経発達過程でのRNA結合タンパク質(RBP)の役割を探る道筋を提供し、新たな神経発達メカニズムを探求するきっかけとなりました。
本研究では、ヒトとマウスのCELF4タンパク質がシナプスタンパク質をエンコードするmRNAの群れを共有し、それによって未成熟な脳皮質におけるシナプスの発達に寄与することを明らかにしました。また驚くべきことに、マウスのCelf4が性別によってシナプスSPの発達に違いをもたらすことも見つけ出しました。
本研究の有効性は、マウスの前脳からCelf4を削除した結果、サブプレート(SP)シナプスのバランスが性別によって変わることを確認することによって検証しました。この結果は、RNA結合タンパク質とmRNAの翻訳が進化的に進歩した脳の機能発達に重要であり、性差に寄与する可能性を示しています。
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