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VideoRAG: Retrieval-Augmented Generation over Video Corpus

URL:
http://arxiv.org/abs/2501.05874v1
Authors:
Soyeong Jeong, Kangsan Kim, Jinheon Baek, Sung Ju Hwang
Published:
January 10, 2025

Summary
研究目的:
この研究では、従来のテキスト情報に基づくRetrieval-Augmented Generation(RAG)のアプローチを拡張し、ビデオコーパスを外部知識源として利用する新しいフレームワーク、VideoRAGを提案しています。ビデオは、イベント、プロセス、論文の詳細をより効果的に表現できる豊富なマルチモーダル知識の源であるため、ビデオの視覚的およびテキスト情報を活用して、より正確で豊かな回答生成を目指しています。
用いたデータ:
評価には、WikiHowQAデータセット(指導的な質問と回答が含まれる)と、YouTubeから抽出された大規模な指導ビデオコレクションであるHowTo100Mデータセットを使用しています。これらのデータセットは、情報検索型の質問応答タスクに適しており、VideoRAGの有効性を検証するのに役立っています。
手法:
VideoRAGは、クエリに関連するビデオを動的に検索し、検索されたビデオの視覚的およびテキスト情報を利用して回答を生成します。このプロセスは、Large Video Language Models(LVLMs)を利用してビデオコンテンツを直接処理し、クエリと共にビデオをシームレスに統合することで実現されています。また、ビデオに字幕がない場合は、ビデオからオーディオを抽出し、それをテキストに変換する補助的テキスト生成も行います。
結果:
実験により、VideoRAGは関連するベースラインよりも優れていることが示されました。具体的には、ビデオの視覚的要素だけでなく、テキスト情報を組み合わせることで、検索と生成のパフォーマンスが向上することが確認されています。このアプローチにより、より正確で論文に富んだ回答が生成されるため、RAGシステムの可能性が拡張されています。

研究目的
VideoRAGの概要:
VideoRAGは、従来のテキストベースのRAGアプローチを拡張し、ビデオコーパスを活用する新しいフレームワークです。このフレームワークは、クエリに関連するビデオを動的に検索し、そのビデオの視覚的およびテキスト情報を出力生成に利用します。ビデオは、イベントやプロセス、論文の詳細を他のモダリティよりも効果的に表現できるため、これを利用することで、より正確で豊かな回答生成が可能になります。
ビデオの利用方法:
VideoRAGでは、クエリに基づいて関連するビデオを検索し、そのビデオの視覚情報とテキスト情報(例えば、字幕)を組み合わせて使用します。このマルチモーダルな情報は、回答生成プロセスにおいて重要な論文とセマンティックな手がかりを提供し、よりリッチで正確な回答を生成するための基盤となります。
技術的な実装:
VideoRAGの実装には、最新のLarge Video Language Models(LVLMs)が使用されています。これらのモデルはビデオコンテンツの直接処理を可能にし、ビデオの視覚的およびテキスト的特徴を表現するために使用されます。ビデオとクエリの情報を統合し、それに基づいて回答を生成するプロセスが行われます。
実験的検証:
VideoRAGの有効性は実験を通じて検証されており、関連するベースラインと比較して優れた性能を示しています。これにより、ビデオを活用することの利点が確認され、多様な情報検索タスクにおいてその有効性が示されています。

用いたデータ
データセットの概要:
本研究では、WikiHowQAデータセットとHowTo100Mデータセットを使用しています。WikiHowQAデータセットには、WikiHowのウェブページから抽出された指導的な質問とその回答が含まれており、高品質な基準で作成されたステップバイステップのプロセスが特徴です。一方、HowTo100Mデータセットは、YouTubeから抽出された大規模な指導ビデオのコレクションであり、WikiHowの検索結果に基づいて関連する質問が付随しています。
評価の適合性:
これらのデータセットは、情報検索型の質問応答タスクに特に適しており、VideoRAGフレームワークの有効性を検証するための理想的なリソースを提供します。WikiHowQAは様々なトピックにわたる質問と回答を提供し、HowTo100Mは実際の指導ビデオを利用してこれらの質問に対するビデオコンテンツのリッチさをテストするのに役立ちます。
データセットの利用方法:
実験では、WikiHowQAからの質問と回答ペアを使用してVideoRAGの応答生成能力を評価し、HowTo100Mデータセットからのビデオを利用して、これらの質問に関連するビデオコンテンツの取得と統合の効果を検証しています。このプロセスにより、テキストベースの回答だけでなく、ビデオの視覚的およびテキスト的情報を活用することの利点を明らかにすることができます。

手法
ビデオの動的検索:
VideoRAGは、クエリに基づいて関連するビデオを動的に検索します。この検索プロセスは、クエリとビデオコンテンツ(映像フレームおよび可能であれば字幕)をLarge Video Language Models(LVLMs)に入力し、それぞれの表現を得た後、表現レベルの類似性(例えばコサイン類似性)を計算し、類似性スコアが最も高いトップkのビデオを選択します。
ビデオの視覚的およびテキスト情報の利用:
検索されたビデオの映像フレームと関連するテキストデータ(例えば字幕)を結合し、これらのマルチモーダルペアを全ての検索されたビデオにわたって連結します。そして、ユーザーのクエリを追加して、これをLVLMの入力として使用します。LVLMは、結合された視覚的、テキスト的、およびクエリ固有の情報を共同で処理し、マルチモーダルの豊かさを考慮しながら回答を生成します。
補助的テキスト生成:
ビデオに字幕がない場合、VideoRAGはビデオからオーディオを抽出し、それをテキストに変換することで補助的なテキスト生成を行います。このテキストは、ビデオの視覚的コンテンツと共にLVLMに供給され、回答生成プロセスにおいて利用されます。このプロセスにより、ビデオの持つ情報をより全面的に活用することが可能となります。

結果
ビデオの視覚的要素とテキスト情報の組み合わせ:
VideoRAGは、ビデオの視覚的要素だけでなく、テキスト情報も活用しています。これにより、単にテキストや静止画を用いる従来のRAGシステムよりも、情報の多様性と豊かさを取り入れることができます。ビデオは動きや進行を捉えることができるため、よりダイナミックな情報を提供し、クエリに対する回答の質を高めることが可能です。
検索と生成のパフォーマンスの向上:
VideoRAGシステムでは、ビデオコンテンツの直接的な処理と検索に最新の大規模ビデオ言語モデル(LVLMs)を利用しています。これにより、関連するビデオを効果的に特定し、取得したビデオの視覚的およびテキスト情報を基に回答を生成するプロセスが最適化されています。この結果、検索精度が向上し、より関連性の高い情報に基づいて回答を生成することが可能になります。
正確で論文に富んだ回答の生成:
VideoRAGは、ビデオから抽出された情報を活用することで、単にテキストに基づく回答よりも論文的な豊かさを持たせることができます。ビデオの視覚的情報とテキスト情報を組み合わせることで、より具体的で詳細な回答が可能となり、ユーザーのクエリに対してより適切で満足度の高い回答を提供することができます。
RAGシステムの可能性の拡張:
従来のテキスト中心のRAGアプローチに比べ、VideoRAGはビデオという多次元的な情報源を取り入れることで、RAGシステムの応用範囲を大きく広げています。特に、動画を多用する現代の情報検索やコンテンツ消費のトレンドに対応する形で、より実用的で効果的な応答生成システムを提供することが期待されます。

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