Navigating the Chemical Space and Chemical Multiverse of a Unified Latin American Natural Product Database: LANaPDB
学術的背景・問い
自然由来の製品(NPs)のデータベースは急速に増加しています。特に、生物多様性に富んだラテンアメリカでは従来のNPsだけでなく、新たなNPsの特定が可能となっています。そこで、この地域の多様なデータベースに含まれるNPsの化学情報をまとめた公開化合物集合として、ラテンアメリカ自然由来製品データベース(LANaPDB)を開発することは可能なのか、というのが本研究の核心となる「問い」です。学術的目的・独自性・創造性
本研究の目的は、ラテンアメリカの複数の国々からの共同努力を通じて、この地域のさまざまなデータベースに含まれるNPsの化学情報を集めた公開化合物集合である、初版のLANaPDBを作ることです。研究の経緯・研究動向・位置づけ
ラテンアメリカ地域は生物多様性に富んでおり、新たなNPsの特定が可能であるという条件下で、多くのデータベースが開発され、また作成または開発中のデータベースの実装も進んでいます。本研究は、こうしたNPsへの注目とデータベースの増加という潮流の中で実施され、ラテンアメリカ地域のNPsの化学情報を一元化し効率的に利活用可能とするための新たなアプローチを提供します。研究成果
現在のバージョンのLANaPDは、6カ国からの情報を統一し、12,959の化学構造を含んでいます。構造分類によれば、最も豊富な化合物は、テルペノイドで63.2%、フェニルプロパノイドで18%、アルカロイドで11.8%であることが示されました。また、薬理学的な興味のある性質の分布の分析から、多くのLaNaPDB化合物が物理化学的性質の薬物の経験則を満たしていることが観察されました。有効性の検証
薬剤としての効能や物理化学的特性を満たす新たな化合物がLaNaPDBから発見され、その成果は、化学宇宙の概念を用いた化学空間の比較や、FDA承認薬の大規模なオープンアクセスリポジトリであるCOCONUTとLaNaPDBとの重なり等により検証されました。