Text-based predictions of COVID-19 diagnosis from self-reported chemosensory descriptions
本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす学術的「問い」は?
従来、人間の感覚体験について、言語を使って表現することは難しいため、あいまいさがあり信頼性は低いとされてきた。本研究では、COVID-19感染によって引き起こされた嗅覚、味覚、化学感覚の変化を、自然言語処理技術と大規模言語モデルを利用して、COVID-19の診断に利用できるかどうかを調査した。
本研究の目的及び学術的独自性と創造性は?
本研究は、COVID-19の診断に関するメタ分析研究として、数値評価に基づく既存の手法と比較して、自然言語処理と大規模言語モデルを使用することの有用性を検証した。本研究の独自性は、言葉の意味に注目し、COVID-19感染に伴う感覚変化の説明文から効果的に予測する方法を提案した点にある。
本研究の着想に至った経緯や、関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけは?
COVID-19の世界的な流行に伴い、COVID-19感染初期の症状や診断方法に関する研究が盛んになっている。本研究では、感染者の感覚変化の説明文から感染診断について、以前の数値評価手法とNLP技術を比較して検証している。
本研究で何をどのように、どこまで明らかにした?
本研究では、COVID-19感染に伴う嗅覚、味覚、化学感覚の変化に注目し、自然言語処理技術と大規模言語モデルを用いたCOVID-19感染診断法を提案した。実験により、NLP手法は、感染異常の自己報告に基づく定量的評価尺度に基づく手法と同等以上の精度(AUC ROC ~ 0.65)を示したことが明らかになった。また、感染診断のために、説明文中の特定の感覚・味覚を表す形容詞(“salty”、“sweet”、“spicy”、 “sour”など)が、予測にかなり貢献することも示された。
本研究の有効性はどのように検証した?
本研究では、1500以上の調査データを使用し、NLPアルゴリズムを用いて、COVID-19感染診断法を構築した。NLP手法は、数値評価尺度に基づく手法と同等以上の精度を示した。また、定量的に分析したところ、NLP手法では感染異常を表す語句や表現が感染症診断に関する予測にかなり貢献することが示された。