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「奢る奢らない論争」は、〇〇〇〇がいる限り永遠に続く
世間でよく語られる、「奢る奢らない論争」ってあるじゃないですか。
男女が食事やデートに行った際、男性側が女性に奢るべきか否か、における論争。
「“男女平等”が叫ばれる昨今なのだから、当然支払いも割り勘にするべきだ!」という派閥の男性と、「男性が奢るべき!」という考えの女性との戦いとしてしばしば語られます。
……が、私は割り勘派の男性が争うべき相手が、実は少しズレていると思っていて、
結論から言うと、この奢る奢らない論争は、おそらく未来永劫に決着が着くことはありません。
これね、実は女性側の問題ではないんですよ。
この「男が奢る」という文化がずっと廃れない原因は、これまでずっと“奢る男性”が存在し続けているからなんです。
女性の中にも“奢られ”に対しての何パターンかの考え方があって、
例えば「奢らない男性は異性として無し」、「割り勘を提案する男性でも良い」、はたまた「あまり好みの異性でなかった場合には、借りを作らないようむしろ奢られないようにする」などなど……。
ここで重要なのは、「割り勘を提案する男性」が、「スマートに嫌味なく奢ってくれる男性」を上回るパターンはほぼ無い、ということ。
「自分の飲食代等は自分で払う」「割り勘でも差し支えない」と考える女性でも、スマートに奢ってくれる男性に対して「割り勘の方が良いのに……」と評価を下げることはそうそう無いのです。
(※“嫌味なくスマートに”が条件ではある。「普段こんな美味しいもの食べさせてもらえることなんてないでしょう(ニチャア)」みたいな奢り方をすると、印象が割り勘よりも下回ってしまう可能性さえある。)
稀に、奢る男性と割り勘男性での評価にほとんど差がない、という女性はもしかしたらいるかもしれませんが、「割り勘>奢る」になることは余程のことがない限り有り得ません。
これは理論付けるまでもなく、そうなんですよ。
古から続く人間関係における文化の中で、「自分に良くしてくれた人」の評価をわざわざ下げるのは不自然なので。
※女性が男性に奢るパターンはどうなのかと言うと、これは一概に奢った側の評価が上がるとは断定できない。
古から続く人間関係における文化の中で、「男性が奢るもの(≒奢ることで優位に立つ)」という認識の男性がいくらか生存しており、そういった層は女性に奢られてはプライドが傷つけられる可能性がある。
女性は自身が奢る奢らないよりも、男性の割り勘提案に対して不機嫌にならずに快く支払うだとか、奢ってもらった時に感謝をしっかり伝えるだとか、リアクションの方が大事になってくる。
そしてさらに重要なのは、女性に奢る選択をする男性たちは、この「割り勘≦奢る」という図式をしっかりと認識した上で、奢る選択をしているということ。
つまり、「評価が下がることはほぼないけど、評価が多少なりとも上がる可能性は高い」というオイシイ選択肢を、意識的に選んでいるわけです。
ここに、「割り勘派男性」「奢る男性」「割り勘でも差し支えない女性」の3人がいたとしましょう。
「割り勘男性」と「奢る男性」の基本スペックがほぼ均衡している時、先程の「割り勘≦奢る」の図式で考えると、
女性は割り勘の提案を受け入れますし、割り勘男性がそこで足切りされることはありませんが、
奢った男性の方が割り勘を提案した男性よりいくらかポイントを稼げてしまうのです。
そこにどれだけの差が生まれるかは、女性側の支払いに対する重要視の度合いにより変わりますが、少なからず双方の男性への印象には多少の差が生まれるわけです。
割り勘派の男性が、この奢る奢らない論争の中で嘆いていることは色々あるかと思います。
例えばもし、男性側が奢らずに割り勘を提案した際に、「払いたくない!どうして男が奢らないんだ!」とレジ前で泣き喚く女性が後を絶たないというのであれば、これは大変な問題だと思います。女性側の意識がもう少し変化してほしいと願うのも無理ありません。
しかし、そうではなく、「奢らないことで恋愛市場において自身が不利になってしまう」ことへの嘆きなのだとしたら、これは戦うべき相手は女性ではなく、間違いなく「奢る派の男性」です。
この人たちが存在するがために、相対評価で割り勘派男性が不利になってしまうのですから。
奢る男性がこの世にゼロになったら、割り勘を提案する男性が不利になることはなくなります。
しかしながら、奢ることに対する「それをするだけで、同等スペックの奢らない男性たちより有利になる」メリットを知っている男性が、その手を一切使わなくなることなどこの先ありません。
どんなに男女平等が叫ばれようと、割り勘でも差し支えないと考える女性が増えようと、
「ここぞという時には、奢ることで少しでも有利に駒を進めよう」と考える男性がゼロにならない以上は、この奢る奢らない論争が途絶えることはないのです……。