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膨大な闇の果てに。

1つ前の記事の、続きです。


銀龍さんに、まーさんの過去世を
見せてもらおうとして

何か用意するものはあるかと聞いたら、
ボイスレコーダーではなくて
ペンデュラムだった。


ヘンなの。
いつもみたいにヴィジョンを見せてもらえれば
ペンデュラムは使わないはずなのに。

首を傾げながらもペンデュラムを持ってきて、
ヴィジョンを視ようと
もう一度、目を閉じたら…

あろうことか、なぜか今度は
そのまま数十分、昼寝してしまっていた。
まるで、寝かされたかのように。


「なぁに、銀龍さん?
まーさんの過去世、
知ったほうがいいんじゃなかったの?
早く見せて下さいな。」

今度は寝ないぞ!と心に決めて
もう一度、目を閉じた。

すると、信じられないようなむごい光景が
とても短く、断片的に
だけど、数えきれないほど
後から後から
フラッシュカードのように切り替わっていった。


短すぎて、どこの星での出来事なのか
いつの時代なのか、まーさんの立場も
知ることができないまま
すぐ、次の場面に移っていってしまう。

そのうちに、それさえも
もやがかかったように
細部は見えなくなっていった。

入れ違うように、
銀龍さんの声が
静かにわたしの胸に響き始めた。

『あの者の歴史は
そなたとは比べものにならないほどの闇に
塗りたくられておる…』

『裏切り、憎悪、欲に溺れて他者を蹴落とす…
陰謀に巻き込まれ、不本意に裁かれ…
人の嫌なところに翻弄され続けてきたのじゃ』

わたしは、新しい事実に圧倒されてしまい、
何も言葉を発することができなかった。


『そなた達が2つに分離してからというもの
そなたが白歴史、あの者は黒歴史を
分担したと言っても過言ではない。

それは、毎回、天上界にて
あの者が志願したことだ』

「何ですって?」

『そなたが、愛を忘れることがないようにと。
辛い想いをするのは
自分だけでじゅうぶんだ、と』

「・・・。」

『庇いたがったのじゃ。
傷つくことから、守りたかったのじゃ。

じゃから、何があったのか
今、つぶさに
そなたが見る必要もないのじゃろうと。

これだけの負の経験を
越えなければならないのかと
知れば、そなたは
必要以上に落ちるじゃろうし

何のために背負ったのか?
あの者の本意ではないじゃろうと
わしは思うのじゃ。』

静かに、あたたかい涙が
流れては、落ちた。


『人間不信になり、
誰にも心をひらけなくなっても
おかしくはないような
負の経験値。

今生も、持ち越されたカルマにより
騙されないように
傷つかないようにと
無意識にバリアを張っているようなところがあるが
仕方あるまい』

『愛というものを、忘れかけていた。
自分には得られないんだと
期待もしなくなっていた。
そなたに会うまでは…』

「そんなの…悲しすぎる!
奥さんは?娘さんは?」

『別れることなく
静かに続けば、満足なのじゃ。
愛が欲しいと、求めることも
やめておったのじゃから。』

にわかには、信じられなかった。
自信があって、いつもポジティブで
寂しそうな顔も、困った顔も
見たことがなかったから。


『そんなにたくさんの傷を負っていることなど
見せながら、あれだけ多くの人と
関わっていくことはできぬ。

おそらく、そなたの前でも
本当の自分の出し方がわからないんじゃろうな。』

わたしの想いを見透かしたかのように
銀龍さんは、また話し始めた。

『言葉で愛を伝えるのも、苦手じゃ。
大好きだと言われたのに、
別れることになったりした。
そんな不確かなもので喜ばせるのは
嫌だと思っておる』

なるほどね。まーさんらしいわ。
ふっと笑えた。


『愛をまっすぐに届けることも
まっすぐに受け取ることも
あの者にとっては、やり方がわからない。

本当に傷つけたくない人が
目の前に現れて
まだ、手をこまねいておるのじゃ。』

…まーさん、わたしは一体
まーさんの
何を見てきたんだろうね。

自分にも、まーさんにも
何度も感じたこの想いを
今日また、噛みしめることになった。

本当に…あなたに
何重にもフィルターかけてしまってて、
ごめんね。


『どうじゃ?
そんなわけで、かなり拗れておるが
あの者への想いは…?』

銀龍さんに問いかけられた。
後ろに、氣になって、氣になって
鶴瓶龍神さんも
こっそり来ているのが感じられた。


「ええ、愛は
更に深まったと思います。

どんなに拗れていたとしても
それも彼の愛から始まったこと。

時間はかかっても
彼が深いところから癒されるような
愛で包むことができるように
接していきたいと思います。

ありがとう、銀龍さん」


微笑み返すと
龍神さまたちは

シュッと飛んで行き
姿を消した。


まーさんを、愛いっぱいのパラレルに連れて行くのは
わたしにしかできないこと。

聞いていたこの言葉に
何とも言えない
やりがい、みたいなものを感じながら

情熱がふつふつと
湧きあがってくるような感覚に
両手で胸を押さえた。


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