仕事に見える仕事 vs. 仕事に見えない仕事
スーツを着てオフィスに向かう人が「働いている」と認識される一方、自宅でアクセサリーを作るハンドメイド作家が「何をしているの?」と思われることがあります。仕事には「仕事らしく見えるもの」と「一見仕事に見えないもの」があるのです。
僕はこの違いが、ハンドメイドを生業とする人々を悩ませているんじゃないかと感じます。特に、まわりからその忙しさや真剣さが伝わりにくいということ。今回は、この2つの仕事の違いを掘り下げながら、「見た目」では測れない仕事の価値について考えてみたいと思います。
仕事に見える仕事:社会が安心する構図
スーツ姿でノートPCに向かって、会議室でプレゼンをする。こうした光景は、まさに「仕事」のイメージそのものです。分かりやすい形で社会の中に溶け込んでおり、見る人に「頑張っている」という安心感を与えます。
ただし、この「分かりやすさ」が必ずしも成果を伴うわけではありません。例えば、何度も長い会議をしているのに、実際の業務は進んでいない――そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。見た目が仕事らしくても、本質的な部分が置き去りにされることもあるのです。
仕事に見えない仕事:誤解されやすい努力
一方で、ハンドメイドのように、見た目では仕事らしく映りにくいものもあります。これらの仕事には、時間も努力も惜しまないプロフェッショナルな取り組みもたくさん詰まっています。それでも、周囲からは「趣味」や「暇つぶし」と捉えられることが少なくありません。
例えば、ハンドメイド作家がひとつの作品を完成させるためには、デザインを考え、材料を選び、試行錯誤を重ねる日々があります。作品が仕上がった後も、それを販売するために写真を撮って、説明文を作って、SNSで発信するなど、多岐にわたる作業をこなしているのです。それでも「家にいるんだから時間があるでしょ?」と言われてしまう。この誤解が、仕事への誇りを薄れさせることすらあるんじゃないかと思います。
勝ち負けではなく、価値の見方を変える
「仕事に見える仕事」と「仕事に見えない仕事」は、単に性質が違うだけで、どちらが優れているわけでもありません。それぞれが異なる方法で社会に価値を提供しているのです。
ただ、社会全体が「見た目」に頼りがちな今、目に見えにくい仕事の価値をどう理解するかが課題だと感じます。ハンドメイドの仕事はその最たる例で、表面的には「楽しそう」と思われがちですが、その裏には技術と情熱、地道な努力が隠れています。
見えることだけが全てではない
仕事の本質は「誰かの役に立つこと」。それがスーツ姿でなくても、目に見える形で成果がなくても、価値があるのは変わりません。むしろ、仕事に対する見え方の違いを超えて、互いに認め合える社会が必要ではないでしょうか。
ハンドメイド作家の仕事も、オフィスワークも、それぞれが大切な「誰かの役に立つ」もの。仕事の外見や形式にとらわれず、そこで費やされた努力や生み出された価値に目を向けたいものです。
ハンドメイドに限らず、「見えない仕事」に携わる全ての人々が、自分の仕事に誇りを持てるような環境を作るために、まずは私たち一人ひとりが、仕事の価値を再定義していくことが大切なのかもしれません。
あなたは、「仕事らしさ」に囚われていませんか? ぜひ、身近な人の「見えない努力」に気づいてみてください。それが相手にとって、大きな励みになるはずです。