欲しい人を想像することで広がる、僕のハンドメイドの世界
ハンドメイド作家として作品をつくるとき、僕はいつも「欲しい人」をイメージしながら手を動かしています。
「どんな人が使ってくれるんだろう?」と考え始めたら、その人の暮らしやどんな風に使われるかが自然と浮かんできて、ただ単に「もの」をつくっている感覚から一歩先へと進むことができるんです。この流れは僕にとって創作そのものの一部でもあります。
たとえば、30代後半から50代前半の女性がふと僕の作品に目をとめてくれる姿をイメージします。
家庭や仕事をこなしつつも「自分らしさ」や「ちょっとした贅沢」を大切にしている人たちです。家事や仕事の合間に、自分にとって大事な時間を作ろうとする。
そんな人たちが朝のコーヒータイムや夜のリラックスしたひとときにスマホを眺め、ふと僕の作品を見つける。
そして「こんなん欲しかった」と思ってもらえるような瞬間を想像したら、自分がつくる作品はみんなの日常にどう役立つか、どんなふうに彩りを与えられるかを考えながら制作に向き合うことができます。
この「欲しい人を想像してつくる」というやり方は、僕にとって創作の軸であり常に支えでもあります。ただ自分の楽しみだけでつくるのとは少し違って、「誰かのために」つくる感覚がある。
自分の手を動かしデザインを考える際、その人の生活に寄り添うことで作品が単なる物ではなくなるんです。
これがただの物としてではなく、自分の分身のような作品を生み出せる理由なのかもしれません。
自分の手を通じて、その人の日常を豊かにできるアイテムを届けたい。
そんな想いがあるからこそ、デザインや素材にこだわりひとつひとつに心を込めることができます。
正直に言えば、時には「欲しい人をイメージする」ことがプレッシャーになることもあります。
相手の理想に届いているか、生活に溶け込むような作品になっているかを考えすぎて気が重くなることも。
でも、そのプロセスがあるからこそ作品が鮮明にイメージでき、自分にとっての「ハンドメイド」の意義がより明確になるんだと思います。
ハンドメイドは、趣味でも単なるビジネスでもない、曖昧でありながらも僕だけの特別な活動の形になっています。
また作品を通じて出会う人たちはお客さんでありながら友人のような存在です。
彼らの声や反応が、僕にとっては何よりの励みであり新しいインスピレーションの源にもなっています。
こうした交流の中で僕のブランドはただの商売道具ではなく、自分の分身のように感じられるんです。
それがあるからこそ、どんなに大変なときでも「また作りたい」「もっと喜ばれるものを届けたい」という気持ちが湧き上がってきます。
ハンドメイド作家としての生き方を選んだからには、自分のやり方で楽しみながら欲しい人を思い描いて作り続けること。
それが僕のクリエイションの原動力であり、これからも変わらないハンドメイドの哲学です。