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【漢文】五月五日あれこれ

最近、子どもが「お話聞かせて」とせがんでくるので、漢文の故事成語や逸話を簡単にアレンジして聞かせています。それなりに楽しんでいるようですが、

守株待兎の話を聞かせたら、

兎って食べられるん!

朝三暮四の話を聞かせたら、

足し算は順番入れ替えても同じなんやねー!

と、ゲラゲラ笑っていた。

面白がるポイントが絶妙な感じにズレているんだけど、まあいいか…


さて、五月五日は端午の節句ですね。我が家でも小さい兜を飾って鯉のぼりを出しています。今年はコロナで買い物に行けていないから、菖蒲湯は無理かな。

この日に関連して色々と面白い漢文学習の素材が見つかりますので、以下に素材を列挙しておきます。

noteに訓点が付けられないので、白文でご容赦ください。教材化しやすいように漢字はなるべく常用漢字に改めています。意味はネットを漁ればたぶん出てくるので、調べてください。


1.孟嘗君の誕生日 『史記』

初田嬰有子四十余人。其賤妾有子名文。文以五月五日生。嬰告其母曰、「勿挙也。」其母窃挙生之。及長、其母因兄弟而見其子文於田嬰。田嬰怒其母曰、「吾令若去此子、而敢生之、何也。」文頓首、因曰、「君所以不挙五月子者、何故。」嬰曰、「五月子者、長与戸斉、将不利其父母。」文曰、「人生受命於天乎。将受命於戸邪。」嬰黙然。文曰、「必受命於天、君何憂焉。必受命於戸、則可高其戸耳。誰能至者。」嬰曰、「子休矣。」

孟嘗君…他人の決めた運命に流されず強く生きる。こういう生い立ちがあったからこそ、鶏鳴狗盗のエピソードに見られるように、どんな人材も切り捨てず大切にできたのでしょう。

『史記列伝』は岩波文庫版の全訳が手軽でオススメです。


2.登竜門と鯉のぼり 『後漢書』

党錮李膺伝是時朝庭日乱、綱紀穨阤。膺独持風裁、以声名自高。士有被其容接者、名為登龍門。

李膺…清廉潔白さゆえに、宦官に嫌われて不遇のうちに生涯を終えることになってしまいますが、誠実な生き方は魅力的。

『後漢書』は持っていません。


3.屈原とちまき 『続斉諧記』

屈原五月五日投汨羅水。楚人哀之、至此日、以竹筒子貯米、投水以祭之。漢建武中、長沙区曲、白日忽見一士人。自云三閭大夫、謂曲曰、「聞君当見祭。甚善、常年為蛟龍所窃。今若有恵、当以楝葉塞其上、以綵糸纏之。此二物蛟龍所憚。」曲依其言。今五月五日作粽、并帯楝葉五花糸遺風也。

屈原…周囲に流されず君主を諫める。国の将来を案じて身投げしてなお、慕われる。作り上げられた英雄像かもしれないけれど、損得勘定に惑わされず信念を貫くカッコいい姿勢。

屈原についての知識は、角川のビギナーズ・クラシックスでどうぞ。


自分の子どもには平穏無事な人生を歩んで幸せになってほしいと願いつつも、険しくとも真っ直ぐ生きてほしいとも思う。

ちまき食べましたか??

明日はそんなことを考える子どもの日です。

安井直人

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