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春期一軍戦振り返り~主将編~

自分の棋譜の振り返りをするより人の棋譜を見る方が好きなKOです。長らく放置していたためいつのことかも忘れてしまいましたが、今更ながら一軍戦の振り返りをしたいと思います。

本割

0回戦

今年は関西学生将棋連盟の理事候補者が多かったようで、数年ぶりに阪大の理事が一人もいないという事態が発生していました。一軍戦では大会の最初にオーダーを理事長に提出する必要があります。そして、オーダー表は理事のLINEグループに挙げられ、理事の中で共有されることとなっています。つまり、理事のいない大学は初戦の相手のオーダー表が見えない状態で戦わなければ行けないというディスアドバンテージを負うことになります。これではあまりにも不平等なため相手の大学に直接オーダー表を聞くこと自体は許されています。ただ、聞きに行くのが気まずくまごまごしていたら、初戦の相手のO原さんが助け船を出してオーダー表を見せてくれました。改めて文字に起こすと情けない話ですが、相手の優しさとフェアプレーの精神に助けられました。

1回戦 近畿大学戦

主力だった現M1や笠原さんが抜けて向かえた一軍戦の初戦。近大とは主力がいた昨年までもギリギリの勝負をしていたため、今年は負けてもおかしくないと感じていました。オーダー交換を終え、改めて見直すと綺麗に勝負所を作られ、所謂”刺された”という状況でした。相手の戦力分析が不十分だったオーダー班の不手際です。結果としては、選手の実力5-2を勝ち取り、新生阪大も強いことを証明しました。ただただ、出場した選手が強かった

3回戦 龍谷大学戦

抜け番を挟んでの3回戦。時間は十分あったので、戦力分析を行い、オーダーを読んだ上で臨みました。その結果、お互いあまりオーダーの工夫をせずに総力戦となりました。上位校なので勝率的には厳しそうと感じていましたが、上子君が個人戦の相手に雪辱を果たしたこともあって、5-2勝ちとなりました。出場した選手が強い

4回戦 京都大学戦

二日目の初戦。全国を目指す上で重要な一戦です。京大の大エースが名前だけ貸して一切出場しないという状況に翻弄されつつ、オーダー上はなかなかの勝負あたりとなりました。結果は長老5回生が2勝をもぎ取ったものの、残りをすべて取られ、2-5負けとなりました。近大戦や龍大戦の結果を見て、「もしや」と思っていましたが現実は厳しい。

5回戦 立命館大学戦

京大が神大に負けるという事態が一日目に発生し、阪大が立命に勝てば2位争いに食い込めそうでしたが、勝ち数勝負など諸々の事情から考えて難しいと判断し、出たい人が出るオーダーとなりました。ただ、立命側は阪大が2位を狙う可能性を考え、かなり気合いの入ったオーダーを出してくれていたので今思えば私も出れば良かったなと少し後悔しています。結果は1-6でしたが、矢嶋が中盤で握ったリードを保ってそのまま勝ちきったのは強かった。

6回戦 関西大学戦

第二代表戦ではA級3位とA級4位が初戦で当たるため、3位と4位の差はあまりないと考え(実際は来季の本割の当たる順に関係してくる上、初戦が近大なのは精神的に辛いのでよく考えるべきだった。)、最悪負けてもと思いながら、リスクを負わない程度に育成オーダーを出しました。そして、主将なのにここまで一戦も出ていなかった男、ついに対局です。

私の将棋は、桂銀交換の駒損なのに桂得だと誤認して進んだ局面が普通に敗勢

敗勢のまま迎えた終盤。▲21龍として一応詰めろ角取りの局面。△47歩成に対して▲同金では△27角打▲同龍△同角成で勝ち目がないとみて強く▲47同玉。当然、△36角とされ角を手順に逃げられます。

大うっかりの図

お気づきの方も多いと思いますが、角を逃げられるだけでなくこの局面自体は詰みです。
▲57玉△47飛に▲66玉で耐えていると思っていましたが、△55銀打を見落としていたことに気づきました。対局相手が持ち駒の飛車を手に取った瞬間は絶望でした。ただただ着手を待つことしかできません。
本譜は△47飛ではなく、△59飛。内心助かったと思いました。(▲58桂△同角成以下の詰みが発生しているため全く助かっていない。ただ、詰みの難易度自体は上昇している)
その後は、36の角が△63角と撤退してくれるなど攻守の流れが逆転し、なんとか押し切って勝つことができました。

中盤辺りで福田の投了が聞こえてきて、自分がまくらないとまずいという危機感はありました。そして、感想戦を終えて周りに結果を聞くと「多分3-4」という答えが返ってきました。
「?」
対局場を見渡すと3-3の局面で一回生が一人対局しているというやってはいけない状況が広がっていました。その対局自体は局面も苦しく、結果としてはそのまま3-4負けとなってしまいました。
ただ、一人だけ快勝した前主将が他の対局を見たときには、1-6負けになりかねない局面が並んでいたそうなのでチームとしてもだいぶ盛り返してはいたようです。

7回戦 神戸大学戦

関大戦で一敗を喫してしまい、神大戦でも負ければ第二代表決定戦にも進めなくなるため、負けられない戦いが始まりました。師匠の調子があまり良くなさそうだったので私も代わりに出ることに。

私の相手は高校の後輩のN田。高校時代から練習対局で勝ったことがなかったため、あまり勝てる見込みもありませんでしたが、結果だけ言えば負け。指していて強い、弱いというより感覚が違うなと思いました。

相穴熊でこちらが金銀を剥がした局面。飛車と銀桂の二枚替えで相手陣に龍がいるものの、気の利いた手が指せれば優勢に運べるかなといった感じです。

ここでは、45金という手が好手だったようです。38歩、46桂を目指さないと勝てないと考えてはいましたが、遊んでいた54の金も活用するという発想に至れず、まだまだ未熟だと思いました。
本譜はとりあえずの端攻めを敢行したものの、後の方針が立たなくなってしまいました。(終盤投げずにだらだら指し続けたのは申し訳なかった。)

自分が敗勢の局面で明らかに4-3勝ち以上の雰囲気が出ていたので少し安心していたのですが、結果は6-1。うーん。どこかで見たことがあると思ったら二年前の立命戦で師匠が同じ状況でした。あの時気まずそうにしていた師匠に対し、チームは勝ちなので喜んでいいのでは、と思っていましたが、確かに気まずい。控え室に戻ると師匠に「さすが弟子や!」とお褒めの言葉をいただきました()。

こうして、阪大はA級4位に滑り込み、今年も第二代表決定戦に駒を進めました。

第二代表決定戦

トリプルアイズ杯が5人制ということで第二代表も5人制です。一勝の重みがより大きくなるところが恐ろしいです。

0回戦

第二代表からは配慮があり、理事グループだけでなく幹事グループでもオーダー表が共有するようなやり方に変更されました。(正直にありがたい。)これで理事がいないディズアドバンテージはなくなったと言って差し支えないでしょう。
0回戦の負けは回避しました。

1回戦 龍谷大学戦

順位では下なものの、直接対決自体は勝っているため、ここはなんとか勝ちたいところ。
しかし、春の第二代表において阪大は私が入学してから二年間、一度も一回戦を勝ったことがありません。私は実況としてこの対局を見守っていましたが、「阪大春の一回戦負けジンクス」が何度の脳裏をかすめました。

結果としては5-0勝ち。選手が強すぎます。中でも上子君がエース相手に徐々に局面を良くしていってそのまま押し切ったのが印象的でした。

2回戦 京都大学戦

ジンクスを破り、数年ぶりに2回戦へ勝ち上がった阪大を迎えるのは、お馴染み京都大学です。本割では2-5負けでしたが、第二代表ではあと1勝あれば勝てると言うことで可能性としては十分あります。
オーダー交換を終えて見ると、どれも勝負所。勝つか負けるかは運次第だと思いました。

しかし、結果は0-5完敗です。ですが個々の将棋の内容を見ると、終始優勢だった富本先輩最終盤まで際どい互角の勝負を続けた松村先輩根気強く指して逆転し詰みまであと一歩だった高野先輩難解な中盤から粘り強く指し続けた福田苦しいながらもなんとか食らいつき続けた上子君、どの将棋もがこもっていて、今見返しても第二代表になっている世界線がどこかにはあったのではないかと信じてやまないです。そして、他大から主将として認知されいるかも怪しい私ですが、来年は強くなり、自分がこの場に立っていたいなと思いました。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。
鉄は熱いうちに打てとよく言われますが、今年の記録的暑さで鉄も冷めなかったということにしていただければ幸いです(?)
また、ここからまさかの部長編も投稿される予定なのでそちらの方も是非ご一読ください。



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