春期一軍戦振り返り~部長編~

こんにちは!部長の數﨑です.
春期一軍戦,第二代表決定戦が終了したので,私が出場した京都大学戦,神戸大学戦の対局の振り返りをしたいと思います.

とは言っても,もう既に一軍戦が終了してからかなりの時間が経ってしまいました笑.一軍戦が終わってからの数週間は,二軍戦とテスト勉強に追われる日々を過ごしていたので,ブログを書いている時間はあまりありませんでした.テスト終わってからめっちゃ時間経ってるだろ!!!っていう意見は受け付けていません笑.

長文になりますが,最後までお付き合いいただけたら幸いです.

オーダーについて

阪大では例年3年生が一軍戦のオーダーを考える担当になっており,私もオーダーに参加したかったのですが…

中間試験が重すぎて,一軍戦が始まるまでのオーダー会議ではほぼ何もできないままに終わっていました.ネットワークとOSのテストやばすぎたから許してほしい…秋期一軍戦では頑張ります…

当日のオーダーについては春期一軍戦振り返り~主将編~で主将が書いてくれているので,こちらをご覧ください!

京都大学戦

対藤井システム

振り駒の結果先手番となり,戦型は相手の四間飛車になりました.藤井システム調の駒組に対して▲77角として持久戦調の駒組をしました.

図1: 22手目△64歩まで

慎重にならなけばならなかった中盤戦

図2の直前に▲98香と指したがゆえに穴熊を目指さざるを得ない展開になってしまい,図2の局面で後手から△35歩と仕掛けられてしまいました.ノータイムで△35歩と指してきたので,これは相手が普段から指している作戦なのでしょう.

図2:29手目▲99玉まで

△35歩には▲同歩と取るしかないですが,△45歩(図3)とされて形勢的にはまだまだ互角であるものの,

  • こちらの玉形がまだ整っていない

  • 相手の陣形は万全な状態

  • 飛車角がさばきやすい形になっている

という観点から,実践的にはかなりしんどい状況になってしまいました.今から思うと,図2の局面では▲99玉ではなく▲78金として隙を作らないような駒組を選択しないといけなかったのかもしれません.対局中はこの局面で▲99玉と指した手を後悔していました.

図3:32手目△45歩まで

この図3の局面で,私が抱えていた問題が指し手に出てしまうことになりました.

最善の追求vs実践的な難しさ

図3の局面から,実践は▲33角成△同飛▲24歩△35飛▲37歩△同歩▲88銀△33桂(図4)と進行し,局面としてははっきり苦しくしてしまいました.

図4: 40手目△33桂まで

後日図3の局面で富本さんに「▲33角成は確かに最善っぽいけど,▲66歩でゆっくりした方が穴熊が完成しやすいし,それで悪いことはないでしょ」と言われ,やはり将棋では「勝つことを重視した作戦を立てることも大事」という初歩的なことを改めて思い知らされました.

見事な終盤手順

図5: 73手目▲31竜まで

局面は終盤で,

  • 駒わりは香損

  • 手番が相手

  • 相手陣がまだ健在している

ため,こちらにいい要素が1つもない状態になってしまいました.

ここから,△79竜▲同銀△68角成▲同銀△78金(図6)とされたのですが,こちらが受けに適した駒を持っておらず,局面としては必敗になりました.本譜はここから,▲88飛打としたのですが,△同金▲同玉△84香とされ,受けなしに追い込まれ,以下そのまま押し切られてしまいました.

図6:78手目△78金まで

一局を通して

一局を通して,相手の強さが存分に出た一方で,私としてはチャンスらしいチャンスもなく,力の出ない展開になってしまいました.

チームとしても2-5負けかつ勝ったのが(実質チートの)5回生2人だったことを鑑みると,まだまだ京都大学との間に戦力差を感じずにはいられない結果となりました.

神戸大学戦

突然の出場決定

事前のオーダー会議では,私は神戸大学戦で出る予定ではなかったのですが,直前の関大戦で3-4負けを喫してしまったため,急遽出場することになりました.

私は本来出る予定ではなかったため,晩御飯を楽しむために昼ご飯を抜きにしていたのですが,さすがに昼食抜きの人が対局するわけにもいかないので,小野さんに急遽コンビニまで軽食を買ってもらいました….しかし,それも対局開始に間に合わず,結局はinゼリーを飲みながら対局をすることになりました.

万全の準備とは程遠い状態でしたが,本来出場するはずだった後輩のためにも絶対に勝たないといけない対局だと思って臨んでいました.

戦型は角換わり腰掛け銀に

先手番となり,角換わり腰掛け銀の将棋になりました.この将棋は,先手がどこで打開をするか,後手がいかにして千日手に持ち込むか,が重要になってきます.本譜は以降▲69玉△52玉▲79玉△63金▲88玉△62玉と進行しました.

図1: 37手目▲29飛まで

プロの将棋では見たことがある進行ではあるものの,実際にはどう打開するかが難しく,本譜のそれに苦しむ展開になりました.やはり,このような戦型を選択する際には,これぐらいの打開策は当然用意しなければいけないですね…

図2: 44手目△62玉まで

見つからない打開策

千日手の駆け引きが行われた後の図3の局面で▲98香として,穴熊を組みに行きました.

図3: 56手目△54歩まで

対局後に考えた打開策ですが,変化図1のような局面に誘導した方がよかったのかもしれません.先手には▲47金~▲56角などの打開策が残されているものの攻めが細く,後手も本陣が薄い状態で戦いになる危険があるので,これもまだ難しい勝負と言えます.

変化図1:▲56歩を省略し▲58金に組み替える

大失敗の仕掛け

図4: 69手目▲45歩まで

局面は,▲26角~▲45歩として,先手番らしく打開を図っていったのですが,この局面で重大なうっかりをしていました.

図5: 70手目△27角まで

ずっと注意していたはずの△27角を26の角や48の金が目標になってしまいそうな局面でうっかりしてしまいました.バランスがとれていて隙のない相手陣を攻略する算段が全く立たず,対局中は「もう取り返しのつかないことが起こってしまった」と思っていたのですが,あとでソフトで検討してみたところ,意外にも全くの互角だったのが驚きでした.

図5から数手後にこちらにミスが出て,局面としては本当に取り換えしのつかない感じになってしまいました.

まぎれる中盤戦

図5の局面から相手玉の桂頭を責めたり,なんとか駒をさばいたりで図6の局面.相手は角銀交換の駒得であるものの,と金と馬が玉の近くまで迫っていてなかなか安心できない形になってきました.後日ソフトで検討していたら,図6の局面はすでに互角にまで戻っていたようです.

図6: 99手目▲43角成まで

ただ,図6の局面で△76歩とされ,対局中は「まだまだしんどい局面が続いているなぁ」と感じていました.

終盤に訪れたチャンス

お互いにミスを重ねながらも,局面は図7へ進みました.この局面はこちらの手番で,金駒をたくさん持っているので,なにか手がありそうといったところです.

図7: 112手目△53同金まで

図7の局面では銀を1枚渡しても詰まない(△88角成▲同玉△79銀には▲97玉で耐える)ため,▲61銀と攻めていきました.△同飛と取れないとおかしいため,本譜もそう進行したのですが,▲83銀と銀捨ての連発で攻めていきました.

図8: 115手目▲83銀まで

銀を2枚渡してしまったのですが,△同玉には▲61馬△72歩▲81飛(参考図)とすると,相手は△82銀以外の選択肢がないため,同時に先手玉の詰めろが解除され,▲62金などの攻めが間に合うという算段でした.

参考図: ▲83銀△同玉の変化例

この変化を相手が嫌ったのか,本譜は▲83銀に対して△62玉(図9)と逃げたのですが,これにはシンプルに▲72金が厳しい一手となり以下そのまま押し切ることができました.

図9: 116手目△62玉まで

一局を通して

一局を通して,序盤で大失敗してしまったものの,諦めずに指し続けた結果,めぐってきた終盤のチャンスをものにできたといった感じでした.

勝ったとはいえ,「安定感」という言葉には程遠い内容だったので,対局後チームと話すときにはまず謝罪から始めました笑.

チームの成績も6-1で,関大戦の二の舞にはならずに済んだといった感じでした.

秋期一軍戦に向けて

今期の反省点

今回の一軍戦では,序盤の精度に問題が残りました.出場した試合どちらも早い段階で一本取られてしまったことはチームの士気にも関係することなので,これは大反省ですね.

京都大学戦での反省を活かして,夏休みは実践的な将棋を指すことを心掛けて取り組んでいます.最善手をひたすらに考え続けるのは将棋の奥深さを味わう1つの方法であるものの,持ち時間との兼ね合いも考えて実践的な指し手を決断する,相手にもしっかりと悩んでもらえるような将棋を指すことの重要性を再確認しているところです.

また,初めてのオーダー係であるにもかかわらず,右も左もわからない状態でオーダーを考えたことがそのままことも反省材料です.後期は誰が出てくるか全くわからないオーダーを組むつもりなので,他大学の皆さんよろしくお願いします笑.

最後に

今回の一軍戦では,私としてはあまりチームに貢献できなかったという思いが残りました.特に勝負所の龍谷大学戦や近畿大学戦で他の選手に任せてばかりいたところに私の現状が一番顕著に表れています.

やはり「誰が出場しても阪大は強い」状態を作るに越したことはないので,まずは自分が上位陣に仲間入りすることを目標に,日々研鑽を積む必要がありそうです.

秋期一軍戦では個人も活躍できるように頑張りたい…のですが,まずは10月中旬にある資格試験の勉強に集中したいと思います.将棋も勉強もまだまだ課題は山積みですが,今は1つ1つ片づけ,一軍戦ではいいパフォーマンスが発揮できるようにしたいと思います.

あと,ブログはもっと早めに書きます笑.

令和6年9月27日 數﨑大樹

追記

ブログ執筆中に知ったことですが,意外と他大学の皆さんがブログをご覧になっているみたいです.見てくれていた友達ありがとう!これまで以上にしっかりとした文章書かないといけないなぁ笑.

また,某後輩が詰めチャレの正解数で僕に追いつこうとしているみたいなので,僕も頑張って正解数を稼ごうと思います笑.


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