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[連載小説]アーネスト/プロローグ
キラキラと、その部屋全体に広がっている、幾多の粒。
それらは、そこにいる男性らしき人物の眼に映っている。
電気が消えた室内。
照らされる、家庭用プラネタリウムの光。
真っ暗な空間に現れる、無数の星々。
ときおり見える、ARの立体映像の流れ星や、解説用のタグ。
すう……と、そこにいるその人物が、ゆっくりと息を吸った。
ふと、プラネタリウムの立体映像で、月が姿を現し始めた。
美しい音楽と共に、月はどんどん大きく映し出されてゆく…。
それを見て、ふいに、その人は自分の手を伸ばした。
(チカ…チカ……)
小さなビニール製の人形に、その服の素材に、光が反射する……。
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その人物は――…、しばらく月の様子を ただじっと見つめていたが……
どんなに月が大きくなっても…ARの立体映像には、
手で触れることは出来ない。
――…やがてその手は、静かに下ろされて…。
代わりにその光を映す、本体へと向かう。
そして、その手の指で、電源のスイッチは消されていった――…。
(つづく)