硫酸なめ子

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外人の胸毛の下には死体が埋まっている

外人の胸毛の下には死体が埋まっている! これは信じていいことなんだよ。なぜって、外人の胸毛があんなにも見事に茂るなんて信じられないことじゃないか。俺はあの胸毛が信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。外人の胸毛の下には死体が埋まっている。これは信じていいことだ。 一体どんな外人の胸毛でも、いわゆる真っ盛りという状態に達すると、一種威圧的な雰囲気を醸し出すことになる。俺にはその胸毛が何か信じられないもののような気がした。胸毛のない俺は不

    • 「乙武の歌を聴け」

      「完璧な乙武などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」 乙武が大学生のころ偶然に知り合ったある乙武は乙武に向かってそう言った。乙武がその本当の意味を理解できたのはずっと後のことだったが、少なくともそれはある種の乙武としてとることも乙武であった。完璧な乙武なんて存在しない、と。  しかし、それでもやはり乙武を書くという乙武になると、いつも絶望的な乙武に襲われることになった。乙武に書くことのできる乙武はあまりにも限られたものだったからだ。たとえば象につい

      • もし中学英語の教科書に太宰治の「走れメロス」が掲載されたら

        メロス「私は激怒しています」 王「なぜ、あなたは激怒しているのですか」 メロス「なぜなら王が人を殺すからです」 王「私はあなたを三日後に死刑にするつもりです」 メロス「私は三日後に死刑にされるつもりです。そのときまで、セリヌンティウスがここにいるつもりです。彼は世界で私の最も親しい友人のうちの一人です」 王「あなたは戻らないでしょう」 三日後、メロスは戻ってきました メロス「私は今戻りました」 セリヌンティウス「あなたは三日間で何キロ走りましたか?」 メロス

        • もし中学英語の教科書に夏目漱石の「こころ」が掲載されたら

          私「あなたはお嬢さんが好きですか」 K「はい、私はお嬢さんが好きです。私は奥さんよりお嬢さんの方がより好きです」 私「私もまたお嬢さんが好きです」 K「オー、なるほど。お嬢さんは世界で最もかわいい女人の一人です」 私「あなたは週に何回お嬢さんのことを想像しますか」 K「私は週に5回、お嬢さんのことを想像します」 私「私は1日に5回、お嬢さんのことを想像します」 K「お嬢さんの身長は152センチメートルです。

          もし中学英語の教科書に芥川龍之介の「羅生門」が掲載されたら

          ある日の暮方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。 門の上へと上がると、そこには老婆がいた。 「こんにちは」下人は言った。 「こんにちは」老婆は言った。 「あなたは猿ですか」と下人はたずねた。 「いいえ、私は猿ではありません」 「あなたは死体ですか」 「いいえ、私は死体ではありません」 「あなたは、老婆ですか」 「はい、私は老婆です」 「オー、なるほど」 「あなたの名前はトムですか」と今度は老婆がたずねた。 「いいえ、私の名前はト

          もし中学英語の教科書に芥川龍之介の「羅生門」が掲載されたら