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子どもの“心のサイン”に気づくには?自殺予防の基本を解説

自殺を防ぐために知っておきたい「TALKの原則」

「なんとなく元気がないな…」「最近、あの子の様子がいつもと違う気がする」
そう感じたことはありませんか?

もしかすると、その子は「助けて」と言えないだけかもしれません。

教師として、また大人として、子どもたちの「小さなサイン」に気づくことができるかどうか。
それが、時には子どもの命を守ることにつながります。

今回は、自殺予防のために覚えておきたい「TALKの原則」についてお話しします。
「自分にできることなんてあるのかな…?」と不安に思う人もいるかもしれませんが、大丈夫。
この原則を知ることで、誰でも「命を守る行動」ができるようになります。

1. TALKの原則とは?

TALKの原則とは、自殺予防のための基本的な対応を示したものです。

✅ T(Tell)… 声に出して伝える
✅ A(Ask)… 直接たずねる
✅ L(Listen)… じっくり聴く
✅ K(Keep safe)… 安全を確保する

「相手を救うために、何ができるのか?」
この4つのステップを意識することで、自殺のリスクを減らすことができます。

2. 「T」Tell(伝える)—— まずは、SOSをキャッチする

人は、言葉にならない形でも「助けて」のサインを出しています。

例えば、こんなサインが見られたら要注意。

✔ 以前より無口になった、元気がない
✔ 急に遅刻や欠席が増えた
✔ 「どうせ自分なんて…」と自己否定的な発言が増えた
✔ 「もう疲れた」「消えたい」などの言葉を口にする
✔ 以前は楽しんでいたことに興味を示さなくなった
✔ 人間関係がうまくいかなくなっている

このようなサインに気づいたら、まずは「あなたの変化に気づいているよ」と伝えることが大切です。

✅ 「最近、ちょっと元気がないように見えるけど、大丈夫?」
✅ 「いつもと違う感じがするけど、何かあった?」

こんな風に、さりげなく声をかけるだけでも、相手は「気にしてくれる人がいるんだ」と思えるかもしれません。

3. 「A」Ask(直接たずねる)—— 勇気を出して聞いてみる

相手が悩んでいることが分かったら、勇気を出して直接聞いてみることも重要です。

「こんなこと聞いていいのかな?」と不安になるかもしれませんが、実は、「自殺についてたずねること」が自殺のリスクを高めることはないという研究結果があります。

むしろ、質問をすることで、相手が本音を話すきっかけを作ることができます。

✅ 「死にたいと思ってる?」
✅ 「消えたいって思うことある?」

ストレートな質問をすることで、相手が「自分の気持ちを話してもいいんだ」と感じることができます。
もし「そんなことないよ」と言われたら、それでOK。
でも、「実は少し考えている」と話してくれたら、次のステップへ進めます。

4. 「L」Listen(じっくり聴く)—— 話を否定せずに受け止める

相手が話し始めたら、とにかくじっくり聴くことが大切です。

✔ 「そんなこと言うなよ!」と否定しない
✔ 「気のせいだよ」と軽く流さない
✔ 「もっと頑張れ」と励まさない

相手が話すことを評価せず、ただ受け止めることがポイントです。

✅ 「そう思うんだね」
✅ 「ずっとつらかったんだね」
✅ 「話してくれてありがとう」

このように、共感の言葉を返すだけでも、相手は「理解してくれる人がいる」と感じ、気持ちが軽くなることがあります。

5. 「K」Keep safe(安全を確保する)—— 一人にしないことが大切

相手が「死にたい」と話した場合、すぐに一人にしないことが重要です。

例えば、学校でこんな場面があったとします。
「先生、もう学校なんて行きたくないし、どうでもいい…」

このとき、先生がすぐに保護者やスクールカウンセラー、学年主任に相談することで、子どもの安全を確保できます。
「あなたを一人にしないよ」「一緒に考えるよ」という姿勢を示すことが、安心感につながります。

また、場合によっては、専門機関(教育委員会の相談窓口、児童相談所、警察など)と連携することも視野に入れておく必要があります。

✅ 「私も一緒に考えるよ」
✅ 「誰かに相談して、一緒に解決できる方法を探そう」

このように伝えることで、「一人じゃない」と感じられるはずです。

6. 教師として、できること

① 教室での雰囲気づくり

子どもたちが「悩みを話せる環境」を作ることが大切です。

✔ 「困ったら、誰かに相談していいんだよ」と普段から伝える
✔ 朝の会や帰りの会で、「最近、気になることがあれば話してね」と声をかける
✔ 日記やアンケートを活用して、子どもの変化に気づく

② 保護者との連携

家庭での様子も把握することが、早期発見につながります。

✔ 面談で「お子さんの最近の様子、変わったことはありませんか?」と聞く
✔ 保護者からの相談を受けたら、スクールカウンセラーと連携する

③ 先生自身もサポートを求める

教師も悩むことがあります。
「一人で抱え込まない」ことが何より大切です。

✔ 他の先生や管理職に相談する
✔ スクールカウンセラーや外部機関と連携する

7. まとめ:「小さな声」を見逃さないことが命を守る

自殺を防ぐためには、「声をかけること」「話を聴くこと」「一人にしないこと」が重要です。
TALKの原則(Tell, Ask, Listen, Keep safe)を知っておくだけで、誰もが「救える人」になれます。

✅ 「最近元気ないけど、大丈夫?」と声をかける
✅ 「つらいことがあれば話していいんだよ」と伝える
✅ 「一緒に考えるよ」と、サポートを申し出る

教師として、また一人の大人として、子どもたちの小さなサインに気づき、
「話してもいいんだよ」と伝えられる存在でいたいですね。

今日はここまで。
自殺を防ぐために覚えておきたいTALKの原則についてお話ししました。
また次回。

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