ハンブンバッチ

趣味の小説です。 反芻して、執着します。 私はダイハードテイルズ出版局のファンです。

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マガジン

  • 800文字プラクティスまとめ

    逆噴射小説大賞に向けたプラクティスです。不定期です。

最近の記事

【逆噴射小説大賞2024】応募作品ピックアップ

 逆噴射小説大賞2024の応募作品から一部の作品をピックアップ(順不同)し、作品へのリンクと一言感想を記載します。ぜひ作品を読んで、スキを付けていってください。  なお逆噴射小説大賞2024(応募は締め切られています)の概要については、以下リンク先をご覧ください。 ◆ 怪人探偵カイハラの事件簿 file1 アンパン・コンスピラシー  地の文が、好きです。  皆さんもスキしてください。 「迷子のために作られた帝国」  会話の雰囲気が、好きです。  皆さんもスキしてく

    • 【人肉配信捜査官】

       高層マンションの一室。ソファに座ったまま女が死んでいた。ガウンごと胸が裂けて、肋骨が大きく観音開きになっていた。まるで血肉の翼を広げた悪魔のようだ。  僕のセプタコア・ニューロンが状況を解析する。肋骨周辺に、人体には存在しない筋肉が増設されていた。収縮力に肉体が耐えられず“開いた”ようだ。  ネット経由の違法な生体プリント。すなわち人肉配信。  隣で宍戸先輩が呟く。 「美容整形で死ぬなんてね」 「生体プリントは再生医療です」 「外見を繕ってないで、自然体で勝負し

      • 【エクソシズム・チャンピオン、地獄に消ゆ】

         地獄の灼けた風の中、スカートのはためきをギギは感じる。今やこのセーラー服すら、親方との絆の拠り所だ。  身の丈3m、鶏頭の鬼が向かい来る。ギギは身を屈め、鬼の股下をすり抜けた。そして脚に組み付き、後ろへ倒れながら投げた。親方直伝、スープレックス。灰色の大地に、赤銅色の巨体が衝突した。  ギギの脳裏に親方の記憶が蘇る。強烈なラリアット。温かい握手。鬼祓いショーの日々。優しい親方は、人類と地獄が開戦した日、書置きを残して消えた。 「俺が祓ってくる」  鶏鬼が身を起こす。

        • 【人食いたちの長い夜】

           廃工場。窓から射す月光の下へ、捕食者が歩み出る。金田は動けない。足の傷が深かった。脳裏に浮かぶ秋山の顔。  怪物の姿は悍しいの一言に尽きる。ぬるりとした皮膚。血濡れた長い爪。捲れて肥大化した上唇が、顔の上半分を覆っていた。  怪物が飛び掛かる。金田は歯を食いしばり、右手の指を向けた。次の瞬間、怪物が壁まで吹き飛んだ。指先から回転射出されたネジが体を貫き、壁に縫い留めていた。  いくら藻掻いても、五本のネジは動かない。やがて静かになった。金田の頬を涙が伝う。怪物の上唇が

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        • 800文字プラクティスまとめ
          5本

        記事

          【電網道中飛脚之記】

           ダンゴムシに似た装甲車が、轟音と共に道を過ぎる。風圧にカケルはよろめいた。輸送データが大金になるにしても、あれを襲うハンター達は正気じゃない。  カケルはUSBメモリを片手に図書館へ急ぐ。すれ違うスーツの男は、頬に傷跡。学校をサボるカケルを、見咎める良識は絶滅して久しい。  寂れた図書館は利用者ゼロ。当然、パソコンスペースも無人だ。埃を被ったPCが墓石のように並ぶ。ネットは死に、代わりにダンゴムシが走る。  カケルは端末を起動。「蔵書検索」「よい子の辞典」は無視して、

          【電網道中飛脚之記】

          【ニンジャ読書感想】『ニンジャスレイヤー』は人間に寄り添う

          『ニンジャスレイヤー』シーズン4の第9話【ビースト・オブ・マッポーカリプス後編】の感想。 ■作品紹介  シーズン4を端的に言うと、主人公が7人の刺客と1人ずつ戦う、というものである。刺客は“狩人”と呼ばれ、ニンジャスレイヤーとそのホームタウンたるネオサイタマをナメ腐っている。しかし狩人たちは超強いので、主人公は過酷な戦いを強いられ、読者は手に汗を握る。  そして狩人の中でも一番ヤバいのが、アヴァリスという男だ。 『ニンジャスレイヤー』作中の常識として、ただニンジャであ

          【ニンジャ読書感想】『ニンジャスレイヤー』は人間に寄り添う

          プラクティス#06のつもりで書き始めたやつは、1ヶ月かけてもうまくまとまらないので、いったん寝かせて、別のアイデアでイチから書き直しです。

          プラクティス#06のつもりで書き始めたやつは、1ヶ月かけてもうまくまとまらないので、いったん寝かせて、別のアイデアでイチから書き直しです。

          800文字プラクティスのアンケートにご回答頂いた方、ありがとうございます。非常に助かります。

          800文字プラクティスのアンケートにご回答頂いた方、ありがとうございます。非常に助かります。

          これまでの800文字プラクティスはマガジンにまとめています。未読の方は是非。アンケートにもご回答頂けると助かります。 https://note.com/hanbunbatch/m/m18b326c45ebc

          これまでの800文字プラクティスはマガジンにまとめています。未読の方は是非。アンケートにもご回答頂けると助かります。 https://note.com/hanbunbatch/m/m18b326c45ebc

          800文字プラクティス#05【気狂い珠子の超常捜査簿】

           同期の物部は、今どき怖い話の蒐集が趣味の変人だ。空き教室を占拠して、一人で“都市伝説研究会”を称している。  僕はノックをして、その教室に入る。机を撤去し、小さめの教室を本棚で二分割していた。薄暗く、何故か照明は点かない。そして腥い不快な臭気が漂う。  本棚のこちら側は無人だ。 「昨日連絡した稗田だけど」  返事どころか、物音が一切無い。不在かな。帰ろうかな。  だが、僕は先日体験した怪現象を、とにかく誰かに話してスッキリしたかった。物部に友達はなく、口外の心配が

          800文字プラクティス#05【気狂い珠子の超常捜査簿】

          これまで800文字プラクティスにアンケート回答、いいね、感想などくださったかた、重ねて御礼申し上げます。ありがとうございます。

          これまで800文字プラクティスにアンケート回答、いいね、感想などくださったかた、重ねて御礼申し上げます。ありがとうございます。

          800文字プラクティス#04【死呪喰いタイチは飢えている】

           黒々と繁る腐れ茨の森。獣道を歩きながら、タイチは昔を想い出す。幼い頃、世界には腐れ茨と、恐怖と、姉だけがあった。変わらないのは茨のみだ。  人里を離れて生きるなら、腐れ茨に隠れ暮すか、さもなくば死呪に縋るか。だがタイチはそれらすら捨てた。 「たっ、助けてくれぇっ!」  悲鳴が回想を中断させる。襤褸を着た男が駆けてくる。その後ろに巨大な影。常人に倍する体躯、赤茶けた肌、額の角。鬼だ。  かつて、タイチの姉を殺したのも鬼だった。愚鈍な鬼は姉の胴を殴り潰し、可食部の殆どを

          800文字プラクティス#04【死呪喰いタイチは飢えている】

          800文字プラクティス#03【敦史の夏休みと、山に棲む半裸のおじさん】

           登山道沿いの木々の隙間から、鋭い西日が敦史を刺す。日陰だというのに、Tシャツが貼り付く不快な暑さ。道の先、山頂の広場に高い木が見える。通称、行者山の物見杉。  友達のいない敦史だが、小学校で流行っている噂は知っていた。物見杉の上に人影が見えた。上から糞尿が降ってきた。勇んで探検に行って、帰ってこない子供がいた。  敦史は噂など信じない。同級生の西田にいじめられ、酒臭い父親に殴られる日々を、一瞬でも忘れたかっただけだ。  物見杉の太い幹、そのひび割れた樹皮に敦史は触れて

          800文字プラクティス#03【敦史の夏休みと、山に棲む半裸のおじさん】

          考えていて楽しいのは『百刃封じ』の続きだけど、アイデアを忘れないうちにプラクティスをもう1個、年内に書いてしまいたい。

          考えていて楽しいのは『百刃封じ』の続きだけど、アイデアを忘れないうちにプラクティスをもう1個、年内に書いてしまいたい。

          800文字プラクティスのアンケートに回答頂いた方、ありがとうございました。今後の参考といたします。

          800文字プラクティスのアンケートに回答頂いた方、ありがとうございました。今後の参考といたします。

          800文字プラクティス#02【閉ざした瞳の彼方から】

           村上は未だに“ビヨンド事件”の夢に魘される。だから室長からの三年振りのメールには嫌な予感がしたし、“目の潰れた死体”という件名だけで事の重大さを理解した。  指定時刻に会議室へ入る。奥に座る髭の紳士が室長。その他、性別・年齢のバラバラな十数人が着席していた。  そして一人、会議室の隅で、なぜか壁に向かって椅子に腰掛けている人物。顔は見えないが、ボブカットの、若い女らしかった。 「揃ったな」  室長は厳しい顔で続ける。 「あと十人来るはずだったが、自身の眼に異物を詰

          800文字プラクティス#02【閉ざした瞳の彼方から】