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異業種へ転職しての悩み、諸々

はじめに

IT業界界隈(?)では「リスキリング」という言葉があるようです。
スキルを習得することを「スキリング」というらしいのですが、
それに「re」を付けることで「再」教育のような意味を持つようです。

カタカナ用語が好きですよね、この業界は(笑)。
そして、(IT)業界人にはこの“意味不明”の言葉をまくし立てて初心者をけむに巻く悪しき習慣があるように思います(偏見)。

で、
SEを辞めて漆器づくりの技術を身に着けようとしている私は「リスキリング」でしょうか?
(そもそも「リスキリング」って発音しにくいんですけど…。)

自己紹介にも書いてありますが、
私は最初IT系の仕事をしており、
その後、会津漆器の作り手へと転身しました。
(※よろしければ、自己紹介ページにご覧になってください。)

そんな私が異業種へ転職した直後に感じていた悩みをいくつか書きなぐりたいと思います。

頭脳労働から肉体労働へ

デスクワークでパソコンに向かい、キーボードやマウスを操作している時間が長かったIT業界。
勿論、会議に出席したり、出張に行ったりすることもあって体を全然動かしていないわけではありませんが、体力消耗するほどの重労働はそんなにありませんでした。(目は酷使しましたが)

今はもうほとんどが力作業です。

漆器づくりの中でも、蒔絵師(まきえし)さんのように繊細な絵を描く人はそうでもないのかもしれませんが、研ぎ出し漆器をメインで扱っているウチの工房の場合、ゴリゴリのガテン系職業でした。

「研ぎ(とぎ)」、「胴摺り(どうずり)」、「艶上げ(つやあげ)」
みんな力業です。

まさに「接近パワー型」。

これまで使ってこなかった筋肉を酷使するあまり、転職1年目は「肩こり」と「ばね指」に悩まされました。
※「ばね指」とは曲げた指が自力で戻せなくなる症状で、冬の寒い時期に発症しました。曲げた指を戻すにはもう片方の手を使って伸ばすしかありません。
2年目以降は、指が鍛えられたのか?発症することはありませんでした。

ただ、頭脳労働ではなくなったことにより、仕事中考えることが少なくなったので、ラジオや音楽を聴きながら作業ができるようになったのは良いことかも知れません。
(プログラミングや設計をしているときは、集中するあまり、音楽や他人の話し声はすべて雑音に感じてしまっていました。)

専門用語がわかりにくい

先日、漆器組合に行ったときのことです。
会話の中で「でんさん」と単語が聞こえてきました。

「DENSAN?」

それは「伝統産業」の伝産だったわけですが、
私は前職の影響からか、電算室の「電算」が最初に浮かんでしまいます。
そんなわけで話の理解がワンテンポ遅れます。

(この話、自分の中では結構、元エンジニアあるあるだと思うのですが、同じ職歴の人が周りにいないので誰にも共感してもらえません。悲しい。)

まあ、今の例は大したことでありませんが…。

作業工程や道具の名前も耳で聞いてるだけだとなかなか覚えられません。

(それってどういう字を書くの?)
と思ってしまいます。文字で見ないと頭に入らない。
これはペンとノートで勉強してきた学校教育の弊害でしょうか?

しかも、話し言葉は訛っていたりするので、尚更です。


そして、活字を見ても、達筆すぎて(嫌味)読めなかったりします。

最初の頃、注文伝票を見ながら納品伝票を書いていたとき、これまで聞いたことのない品名だったので、よくわからず書き写したのが
「取りスプーン」。

きっと、何かを取るために使うスプーンなのだろう、思っていましたが、実は、
「目スリスプーン」でした。
(「目」と「ス」がくっついていて「取」に見えた)

「目スリ」という単語がそもそも私の脳内に登録されていないので気づくはずがありません。

このときは、もう自分の知識不足を棚に上げて、怒りしか感じませんでした(笑)。

同年代の人がいない

ウチの工房に来る仕事関係の人は問屋さんがほとんどです。
問屋さん目線の話はいっぱい聞けますが、私としては同じ「作り手目線」の人ともっと話がしたいと思っています。
(問屋目線の話も大事だとは思います)

自分と同年代の作り手さんはそれこそ若いうちから仕事を始めていてもうベテランの域に達している方がほとんどです。
作り手初心者の私からは対等に話ができないとちょっと尻込みしてしまいます。

同じような職歴の人を探すとなると今度は若い人たちばかり。
それはそれでまた話はしづらかったりします。

若い人たちなら実務経験は同じくらい、と思っていても学生の頃からデザインや漆の勉強をされている人がそもそも多いので、むしろ劣等感すら感じてしまいます。

同年代で同じ境遇の人、いないかな…。

この悩みについては未だに現在進行形です。

あとがき

サラリーマン時代は、同じ年代の同期社員とよく飲みに行っては、
会社や上司の愚痴を言ったりしましたね。

「今年の新人のさぁ、あの子いいよね~」
みたいな親父トークをする相手もいなくなって、もう何年経ったことでしょう(遠い目)。




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