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第97回選抜 出場32校
滋賀短大付が初出場
今回の選出結果で話題となったのが、98年ぶりの大阪勢選出なし。過去、近畿大会初戦敗退の近大付が選ばれた事もあり、今回は大阪学院大高が選ばれるのではとの見方もあった。それを差し置いて出てきたと見て取れるのが滋賀短大付。
秋季近畿大会の結果では、滋賀短大付、大阪学院大高とも8強入り。実力で甲乙つけがたい時は「地域性」としてできるだけ選出のない府県から選ばれるのだが、今回は滋賀学園とともに滋賀短大付が選出された。実力面でも滋賀短大付が選出に相応しいとの評価をされた事になる。
滋賀短大付は、近畿大会1回戦で大阪の履正社を降している。従って、滋賀短大付の選出には異論はない。むしろここで過去のいわゆる「大阪枠」と疑われるような選出がなされて滋賀短大付の選抜初出場が消えなくて良かった。甲子園出場の実績が、あるのとないのでは特に選手や在学生は大きく違うもので、こういうあまり甲子園出場機会が普段回ってこない学校が選ばれてよかったと思う。まあ、そういう意味では大阪学院大高もかなり惜しい貴重なチャンスを逃してしまったとも言えるが。
昨年も、甲子園出場なしの兵庫の須磨翔風が、近畿大会の初戦で智弁学園に勝利し、選抜初出場に手が掛かりかけた。が、準々決勝で耐久に敗れて選出されなかった。ほぼ当落線上であったが、このチャンスを逃して、今後、須磨翔風の甲子園出場が叶うのはいつになるだろうか。
さて選出された滋賀短大付、選抜での戦いに注目したい。選抜出場が確実という成績だった学校は当然、選抜に向けて冬を越し春に向けて調整してくる。選抜が絶望となっていた学校は逆に、最後のチャンス・夏に向けて秋から動き出している。当落線上だった滋賀短大付、選抜出場を意識して冬を越せただろうか。もちろん期待はしていただろうが、可能性は五分五分であった。出場決定から大会まで2カ月弱あるが、初めての選抜大会に向けて、どのように調整していくか。初体験の春となるが、その戦いを楽しみにしたい。
千葉黎明、浦和実、エナジックスポーツなどが初出場
千葉黎明は創部102年目での初出場。千葉はなかなかの群雄割拠で、90年代など2000年頃までは、銚子商、習志野、市船橋など公立が強かった。柏陵が強い年もあった。その後は、千葉経大付、木更津総合、専大松戸が強くなり、最近では東海大望洋、中央学院も甲子園出場を果たしている。
浦和実は埼玉大会で常連校の浦和学院を破るなどして優勝。関東大会では宇都宮工、つくば秀英を破った。辻川監督は指揮して37年目で念願の初出場。
エナジックスポーツは創部3年目での初出場。昨夏は優勝候補とされながら沖縄大会決勝で興南に延長サヨナラ負け。神谷監督は中部商、浦添商、美里工などで実績があるが、サインなしでも選手の判断で動くノーサイン野球を合言葉にしているという。初出場だが、積極的にかき回す野球をみせてくれそうだ。
壱岐と横浜清陵が21世紀枠で選出
横浜清陵は横浜市の公立校、神奈川大会8強で初の選抜出場。神奈川は私立の壁が高い。今大会も選出された横浜に、東海大相模、慶應義塾はいずれも全国制覇経験があり、この3校が近年はほとんどの甲子園出場を占めている。神奈川は学校数が多く、トーナメントを勝ち抜くには選手層の厚い強豪私学が有利である。そんな中で公立校として県内では実績を残してきた。
県外での公式戦の経験もほぼないと思われる横浜清陵が、全国大会に出てどれだけやれるのか。甲子園常連校との対戦も興味があるが、米子松蔭、高松商、柳ヶ浦のような地方の参加校が少ない県の学校との対戦となったらそれはそれで興味深い。
壱岐は長崎県北部、壱岐島の公立校。人口2万5000人ほどの島。2021年に大崎が甲子園に出場したが、大崎のある大島は本土と橋でつながっている。佐賀商なんかはバスでここまで遠征していた。それと違って壱岐は練習試合をするのに、交通費の安いフェリーで2時間かけて本土に渡っている。一度の遠征で40万円ほどかかるという。
今のチームの多くは、壱岐島内の郷ノ浦中と勝本中の出身で、両校は中学時代から県内での実績があった。その選手たちが、今年は島外に進学しないで壱岐高に集まったようだ。
昨年の秋季大会では、創成館、大崎を破って長崎2位校として九州大会に出場し、1回戦で熊本の覇者・専大熊本を降した。創成館、大崎戦はそれぞれ2-0、3-0での勝利。九州大会準々決勝のエナジック戦は2-9のコールド負け。主戦の浦上の好投で耐えて、少ない得点で勝つのがパターンで、九州大会の初戦の相手が、あまり県外での実績が多くない専大熊本だったのは幸運だったかもしれない。長崎大会、九州大会いずれを見ても、実力での甲子園まであと1勝足りないという形ではあるが、得意のパターンに持ち込めばというところ。21世紀枠が一般枠に勝利するケースは稀になってきているが、今年の2校はどんな結果を残せるか。
監督が変わって
大垣日大は秋季東海大会の覇者。名将・阪口監督から変わって1年目の高橋監督が指揮を執る。東洋大姫路も22年から岡田監督が指揮。履正社で全国制覇経験のある岡田監督が母校に戻った。
どちらも監督が変わった事がプラスに働いたかのようにあっさりと甲子園に出てきたが、特に東洋大姫路はまさに履正社の野球がそのまま移ってきたかのような様子が近畿大会の結果からも見て取れる。甲子園での采配も楽しみ。
東京からは2年ぶりに2校
二松学舎大付が2年ぶり8回目、早稲田実は8年ぶり22回目。
近年の東京では最も甲子園出場頻度が高い二松学舎大付が4季ぶり、早稲田実は昨夏に続いて2季連続。昨秋の東京大会決勝が延長タイブレークでのサヨナラ決着とあり、両校に実力差はないと言えそう。
こういう、都大会決勝が接戦の場合はやはり東京2校選出の可能性が高い。そうでなく点差がついた場合は、最後の比較枠が関東地区に行ってしまう傾向にありそう。
選抜出場32校
東海大札幌 10年ぶり7回目 札幌市南区
青森山田 2年連続4回目 青森県青森市
花巻東 3年ぶり5回目 岩手県花巻市
聖光学院 3年ぶり7回目 福島県伊達市
健大高崎 3年連続8回目 群馬県高崎市
浦和実 初出場 さいたま市南区
千葉黎明 初出場 千葉県八街市
二松学舎大付 2年ぶり8回目 東京都千代田区
早稲田実 8年ぶり22回目 東京都国分寺市
横浜 6年ぶり17回目 横浜市金沢区
横浜清陵 初出場 横浜市南区
山梨学院 4年連続8回目 山梨県甲府市
日本航空石川 2年連続4回目 石川県輪島市
敦賀気比 5年連続12回目 福井県敦賀市
常葉大菊川 2年ぶり6回目 静岡県菊川市
至学館 8年ぶり2回目 名古屋市東区
大垣日大 2年ぶり6回目 岐阜県大垣市
滋賀学園 8年ぶり3回目 滋賀県東近江市
滋賀短大付 初出場 滋賀県大津市
東洋大姫路 3年ぶり9回目 兵庫県姫路市
天理 3年ぶり27回目 奈良県天理市
智弁和歌山 2年ぶり16回目 和歌山県和歌山市
市和歌山 3年ぶり9回目 和歌山県和歌山市
広島商 3年ぶり23回目 広島市中区
米子松蔭 33年ぶり2回目 鳥取県米子市
高松商 2年ぶり29回目 香川県高松市
明徳義塾 4年ぶり21回目 高知県須崎市
西日本短大付 38年ぶり2回目 福岡県八女市
壱岐 初出場 長崎県壱岐市
柳ヶ浦 20年ぶり3回目 大分県宇佐市
沖縄尚学 2年ぶり8回目 沖縄県那覇市
エナジックスポーツ 初出場 沖縄県名護市