夏終い
今年に入って初めてnoteを書いている。生活と芸術を煮詰めた日々は続いている。自分にないものばかり目を向けて、ひたすら考える。心臓の奥が燃えているような気がする。
夏が終わってしまった。9月1日になった途端に我が家の青色のインコは換羽をはじめ、その日が私の夏終いとなった。あくびをして、日々に回帰する。
夏は特別である。太陽は輝き、また太陽のような花が咲く。額に滴る汗を感じながら散歩をする瞬間は生を実感するし、海も風が運ぶ風鈴もキラキラと音を立てて私の前を通り過ぎていく。限られた時間でしか感じられないトキメキが、日本の夏にはまだまだ眠っているのである。
島にある祖父母宅で過ごす何度目かの夏は、花が咲くような日々。小さな海町の花火はどんなに盛大な花火よりも美しかった。夜の海面に映る大きな花と、月光、船の灯り。東京より冷たい夜に堤防から見る月も、ウグイスの声で目が覚める朝も、縁側で夢うつつの境にいる昼も、他の誰も知らない私だけの夏。
はやくも夏が恋しいのです。生き延びますからどうか、またお会いしましょう。
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