【読書録】実務でつかむ!ティール組織
学生の頃からお世話になっている先輩が執筆された実務でつかむ!ティール組織という本を読みました。今、この本のプロモーションをお手伝いさせてもらっています。
この本はティール組織という次世代型組織を作るまでの組織の進化の過程を実例をもとに紹介しています。
ティール組織とは、思い切って一言で言うと、「社長や上司が業務を管理するために介入をしなくても、組織の目的実現に向けてメンバーが進むことが出来るような独自の仕組みや工夫に溢れている組織のこと」
ティール組織が実現されると以下の3点が達成されるようです。
①情報の透明化(業務の結果指標やプロセス指標、給料等含めたあらゆる情報)
②意思決定プロセスの権限委譲(役割の明確化と更新により、個人の意思決定を尊重しながらも、組織的なフィードバックも届くようにしている)
③人事プロセスの明確化(採用・退職、給料決定のプロセスが独自に明確化されており、社長や経営陣の権力がおよびにくいようにされている)
うん、今の大抵の組織の問題がかなり改善された状態になりますね。今まで2社に勤めてきましたが、特に②の意思決定プロセスの権限委譲って出来ていなかったと思います。日本の会社って役割が明確になっておらず、雑務が若手にいくようになっている事が多いと思います。
また、優秀なエンジニアの人でも時短勤務をすると給料がものすごい少なくなってしまって、人事プロセスが機能してないのでは?と疑問を持った事があると聞いたことがあります。時間じゃなくてアウトプットで評価されるべきですが、エンジニアというアウトプットが見えやすい職種でも時間で測られてしまうことがよくあります。
上記の①〜③を達成するために、
明確に特定の人の影響力が高いリーダーシップが働かないようにして、特定の人ではなく、組織の目的自体が最も重要な要素となっていることも特筆すべき内容です。
この話と関連するかもな、と思ったのが、落合陽一さんの出演されている番組、Weekly Ochiaiでリーダー2.0の話をしていました。
・落合さんは財務諸表読めないから、そこはチームで出来る人に任せる。誰が偉いわけでもない組織を作る。
・スタンドプレーから生じる、チームワークをいかに構築するか(アニメ攻殻機動隊のセリフ)
落合さんが目指す組織もホラクラシー的なのもかもしれない、と思いました。
そして、進化する目的を持つ、生命体のような組織を作るために自分たちに下記のような問いをかける事が大切と言います。
①この組織の可能性が最大限に発揮された時に、この組織が世界に貢献したいことは何ですか?
②世界がこの組織に実現して欲しいと渇望していることは何ですか?
③もし、世界からこの組織が失われてしまったら、世界は何を失ってしまったことになりますか?
④地球が自らの歩みを振り返った時に、地球に何を残したと感じてもらえる存在なのだろうか?
こんな問いをビシビシ考えているのが、Appleみたいな企業ですよね。スティーブ・ジョブズのマーケティング嫌いは有名です。何故ユーザーがAppleを選ぶかについて、スティーブ・ジョブズは、他社製品より機能がいいとかデザインがいいとかそういうことではないと言っています。Appleの考え方、Appleが社会に存在している価値を考えて、ユーザーはAppleを選んでいる、と言って、製品の機能を広告するってことをしてこなかったんです。(最近はiPhoneの機能とかいっぱい広告してますけどね。)
ここは本当に難しいところですよね。Appleですらスティーブ・ジョブズがいなくなると形骸化してしまう会社のビジョンを、組織に持たせようとする取り組みなわけですから。でも組織にとって一番大切なことなのかもしれないですね。このような組織を作ることを目指すための理論と、事例が豊富に載っているので、組織開発に興味ある方は是非読んでもらえると嬉しいです。