ちぴぴ物語
ちぴぴと出会ってから、毎日はミラクルになった。
ちぴぴは、だれもいない夜にひっそりと生まれた。そう、ちょうどこの季節・・・クリスマス前のこと。
うなりはじめ、うめきだし、やがておぼつかないメロディーがちいさな歌になったとき、私のなかで眠っていた誰かが目を覚ましたようだった。
「こんばんは。ちぴぴです」
つまりそんなふうにちぴぴは生まれた。わたしの中から、うたうものとして。なつかしい顔をしたいたずらっ子みたいに。
わたしはその歌たちを、ちぴぴのおしゃべりとともに録音して、面白がってくれる面々にそっと手渡したんだ。一風変わったクリスマスプレゼントとして。
『ちぴぴ深夜便』は、こうしてこの星の片隅で音になって芽吹いた。これはなんといっても、わたしにとってミラクルな出来事だった。
今日のちぴぴソング『耳をすます』