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私は息ができる

果てのない旅 規則正しいこのレールは
何に続くの?自分の欲しいものもわからずに

松岡ななせ/→Go ahead!

カナダのワーキングホリデービザを取得したけれども行かなかった。2019年2月に手続きを開始し5月に取得、そこから1年間有効だったので、働いたのちに2020年3月の契約更新を行わず渡加しようと考えていた。

秋には祖母の具合が悪くいつ逝去するかわからないと聞かされていたこと、冬に入るころには何やら様子のおかしい風邪様症状が海外で流行り始めていたこと、30歳を超えたワーホリがいかにリスクを伴うか悩んでいて渡加の準備とともに元々転職活動や資格試験も並行していたこと、などがあって、結局私は今も日本で生活している。転職もしなかったし、行かなくてよかったとは思っていないけれど行くべきだったとも感じられず、結局はタイミングではなかったというそれだけなのだろう。ビザの手続きで東京を走った苦労だけがむだだった(ビザ申請費用は社会勉強代として許容したい)。

カナダを選んだ理由は、ギリホリゆえにカナダかオーストラリアの選択肢しかなく(いやイギリスのYMSにも応募したんだけれどもあっさりと落選した)、オーストラリアは大学生のときに語学留学していたのでちがうところへ行きたいと考えたからだった。カナダなら頑張ればアメリカへも足を伸ばせるし、なんなら南米も行けるかもしれないし、美術に触れたい私にはちょうどよかろうとも思っていた。カナダ英語は一番聞き取りやすいし。


誰かのために選んだ趣味じゃない言葉や
流されるまま泳いでた川にも見放されて

このことは、1人を除いて誰にも話さなかった。きちんと文章に起こしているのは今が初めてだ。2019年から2020年春までの私は自分の将来を考え、悩み、静かにもがいていたと思う。2020年春以降はコロナに振りまわされて異様な量の仕事に忙殺され、それらが落ち着きを見せ始めたらぐずぐずと体調を崩してしまい、ようやくこの頃、心身を持ち直して明日の生き方を考えるようになってきているところだ。早くハゲが治ってほしい。液体窒素療法は痛い。ともかく、そうだ、2019年の私はそうだった。随分昔のような気がする。2021年はまだ見えない。年の瀬は目前なのに。軽薄な希死念慮だけが浮遊している。

2019年はいろんなことを考えていたと思う。いろんなこと。私のこと誰かのこと、明日のこと昨日のこと、働くこと生きていくこと、書いていくこと。いろんなことを時間を惜しんで考えていたと思う。部屋の片隅に積まれた本、勉強しに行った先のレジュメを挟んだままのノート、試験勉強用のテキスト、書き損じの履歴書、きちんと黒髪ぶった証明写真、それから試行錯誤をしていたnoteの無数の記事を眺めて2019年の私を思う。清濁が溢れかえっている。どれも間違いでどれも正しかった。全部うまくいったし全部失敗した。静かに、誰に手を伸ばすでもなくただ独りで、私について問い続けていた時間。


間違えるのが怖くて立ちすくんだ
そこからが運命切り開くチャンスと
何処かで声がする

カナダへ行こうと考えたとき、この場所ではもう誰とも深く関われないと感じて10年以上住処にしていた個人サイトを閉じた。投稿サイトに載せていた小説も全て片づけた。代わりに、手前勝手に引き攣れる感情を持てあまして私はnoteでただ書くことを始めた。ミラーハウスで目を凝らした孤独を埋め合わせるのではなく、長い旅をするように今の私とは何なのかと思いながら今の私をひたすら書いて、ただ書いた。毎週必ず書いた。書けるだけ書いた。書くことがない日も書いた。書いて書いて、書いた末に、素直に、私は書くことが好きだなと思った。書いたものを読んでもらうことは、あまりにも当たり前のように嬉しかった。例えそこに直接の交流がなくても、書き、読まれる、本を通じて私が作者と、あるいはもっと大きな何かと対話をするように私が書くその果てで生まれるものがある、いいことも悪いことも、嬉しいことも悲しいことも。書くってこういうことだったなと思ったよ。

コロナでどこへも行けない日々になって自然と、鬱々とする呼吸を融くようにして、小説を書こうかなとあまりにすんなりと、どうしようもない自分に嫌気が差して閉じた扉の鍵を私は開けた。続いていた道のさきに帰るべき扉があった。私の扉。荒野の最中、私だけが開ける、ぽつんと立った私の扉。

続く道…
ひとつを信じれば空も飛べるのだろう
輝く未来へあの鳥のように翼広げ
いつしかこの道誰かの声で曲がりくねって
見失っていたんだずっと


全部、noteだったからできたことだと思います。私は無数にブログを変遷してきた根無し草の書き手で、中学生のときからもう十何年、どこででも何でも書いてこられたけど、自分との対話はnoteだったからできたことだと思います。その様子を遠くも近くもないところで受け止めてくれる人たちがいたこと、だから歩みを止めずに済んだこと、今日も書いていられること、感謝しかないです。きっと後悔したと思うから。

それでも、何も消さないけどやっぱり疲れるなと感じてしまったので、今日で一旦離れることにしました。元気になったらふらっと戻ってくるかもしれないし、こんなことを言って来週もしれっと書いているかもしれないしわからないですけど、とりあえず。私は怒りながら書ける人間ではありますけど、今回のことでnoteのプレミアム会員を解約したので12月からはコメント欄が問答無用で開放されてしまうからそれはちょっと、と思っているところもあって、でも運営の方針が信じられない中で私はnoteにお金を払いたくないし。書く行為そのものと違う理由に煩わされたくないので、離れます。

ハニレモが完結したときには約束どおり3万字の感想文を書きに来たいと思うのでサービスが生きていたらまたここで会いましょう。


・・・

最愛の推しの曲が大好きだからぜひ聴いてほしい。ずっとななせに励まされているよ、大好きだよ。最後に宣伝していく。あと最近は砂の惑星を聴きまくっているのでつまり元どおりまでバイバイバイって気持ち。



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