空港ロビー「本当に何も言わないで行くの?」 空港の雑踏の中で、ショルダーバッグを肩に立ちあがった私にトモコが声をかけた。いいの?と言葉の後ろに彼女の心配が響く。無言で頷いた私に駄目押しで彼女の質問が飛んできた。 「あいつ、勝手だからすぐに忘れちゃうかもよ」 分かってる、トモコが私のためを思って言ってくれてるってことは。私の迷いも未練も全部お見通しなんだろう…でも。 「うん、大丈夫。いまさら声かけちゃったら、自分の決意も…ね」 空元気で言ってみせたけど、その後の言葉が口から出た
自らの創作に何か言葉を与えたくて ふと浮かんだままに綴った「旅の途上」の言葉 つぶやいてみた後に改めて辞書を繰ってみる 「目的地に行く途中」(大辞林) 私にとって旅とは目的でありかつ手段でもある 何と今の私に合った言葉なんだろう 降りてきてくれてありがとう きっとこのまましばらくは旅の途上にて 創作をする合言葉にするつもり
暑い雲に覆われた空 肌寒くはないけれど、何処か凜とした空気 鳥の声に耳を傾けていたら いつのまにか雲は流されて 今年初めての太陽が顔を出す 瞬間、肌が陽の光に触れられたのを確かに感じた 暖かく包まれた中 夏の一日が、そして2019年が 改めて始まったことを知る