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月形の風景 2月 : はなとみやの12か月

月めくり万年カレンダーを作るための最初の1枚は『月形の風景 2月』です。
北海道有数の豪雪地帯、月形町。年間降雪量は10m近くにもなり、札幌の倍以上雪の降る土地。その最も雪深い2月の風景をお届けします。
/文:宮下裕美子(はなとみやの片方)


白さ際立つ真冬の風景

優しい白に包まれた世界

全てが雪に覆われて50日以上がたった2月初め、真冬の頃。
空気が冷え切って一日中氷点下になると、景色は明るく真っ白に輝きだします。晴れならもちろん、雪雲に覆われても、雪が降っていても、太陽の光が雪雲を抜けて差し込んで間接照明のように視界全体を優しく照らします。この明るさと輝きは北海道ならでは!

人通りの少ない生活道路は圧雪のまま
全てがいつまでも白い

この頃の積雪は150cmほど。瞬間的な増減はあるものの、2月の積雪深はあまり変わらないんです。それはこんな理由から ・・・ 
・・・ 氷点下の気温が続く2月であっても降った雪は自分の重みで固く密になり、次第に嵩(かさ:体積)が減っていきます。ただ月形の場合、雪がちらついた程度でも10〜20cm降っていたというのが日常で、減ったかと思うと雪が降り、減っては降りを繰り返し ・・・ 結果、2月の積雪深はほとんど変わらないのでした。

エッジの効いた回廊

雪が降り積もるのが当たり前の豪雪地帯・月形。10cm降れば除雪車が出動し、生活道路や歩道を維持してくれます。毎日のように雪が降る月形は、毎日のように除雪車が走り、いつしかエッジの効いた回廊が出来上がります。
生活道路も歩道も、視線の高さ以上にそそり立つ回廊の雪壁は豪雪地帯ならでは。一見の価値ありです。

深い回廊の寿命は短い
排雪が入ると跡形もなく消え失せます

白く輝く雪の翼

心を奪われると言えば、真冬の雪雲。真っ白に輝く翼が出現します。
氷点下で軽くなった雪雲はちょっとした風に乗ってやってきます。その先端はまるで羽毛のよう。キラキラとした毛筋が音もなく迫ってくるのは圧巻です。

もうすぐ雪が降ってくる
わかっているけれど見入ってしまって動けない

地形の関係で西風の時に雪雲が流れ込む月形。近隣の街から月形方面を見やると、いつも真っ白い翼のような雪雲に覆われています。「あぁ〜また月形は降ってるなぁ〜」と。その下ではこんな風景が広がっているんですよ。

遠くまで見渡せる雪原

積雪 150cm の世界 = 地上が 1.5m 嵩上げされた状態。つまり小さなものは全て雪の中。雪原の上に立てば、視界に入るのは高さのあるものだけ。夏場に草木の陰だった隣の集落も、葉を落とした樹木の隙間からハッキリ見えます。ビニールを剥がされたハウスは大部分が雪に埋もれ、魚の骨のような屋根が足元にあるのみ。
視界が限られる地上の回廊とは正反対、雪原は全ての見通しが良いのです。

ハウス周りの雪を飛ばしてできた雪山からの風景
小高い丘くらいの眺め

そんな雪原を目をこらして見ると・・・ 列をなした楊枝、いや電柱! 電柱が糸のような電線で繫がっているのを見ると「吹きさらしの雪原で切れずに電気を運んでくれて、ありがとう」と思わずにはいられません。
その電線に平行してグレーの帯、それは…雪が降るたび除雪して維持している生活道路。地上に暮らす私たちには「雪を飛ばして積み上げる」感覚でも、雪原から見れば「彫り込んだ溝」なんですね。

寂しくて寒々しい白

美しい景色を紹介してきましたが、吹雪の日や寒々しく寂しい日もあります。2月は真っ白な風景ばかりですが、そこには質感と温度の違う『白』が存在します。

吹雪で雪が貼り付いた居間の窓
外はゴーゴーと風が唸る
地吹雪のあと冷たい雪が貼り付いたビニールハウス

キラキラは春の兆し

2月も半ばを過ぎると気圧配置も変化して晴れの日が増えてきます。晴れ間が多くなるので、日が長くなったことや陽光の力強さにも敏感になり、光の春を実感します。キラキラの景色に出会う機会が増えて、いよいよ春です。

霧氷

石狩川から近いこの場所は、放射冷却で冷え込んだ朝に決まって霧が発生します。夜明けとともに川辺から霧が流れてくる風景は幻想的。霧は暫し辺りを包み込み、太陽の光が差し込んでくると息を吹きかけるように後退し、消えていきます。
そのあとには霧氷に包まれた木々が現れ・・・

霧が後退した直後の庭
落ち着いた雰囲気が好き♪

気温が上がるまでの一瞬の輝き。

霧が晴れて太陽の光で照らされた爽やかな風景
素敵だ〜

青空と霧氷のコントラスト。

樹の種類で霧氷の付き方が違う
白さと形状の違いにドキドキする

雪上

雪の表面がキラキラするのもこの頃です。表面霜(ひょうめんそう)というらしく、放射冷却の時などに積雪の上で水蒸気が結晶化する現象です。辺り一面の雪は板状のキラキラした結晶に覆われ、それはそれは綺麗です。

太陽に当たるとキラキラが消えてしまう
一瞬のお楽しみ

雪壁

雪壁にツララを見つけたら、いよいよ春。

小さいけれど確実な春の兆し
透きとおって純粋

雪壁にツララができるのは『そのままの状態が続いている』ということ。つまり

  • しばらく除雪が入っていない

  • しばらく雪が降っていない

  • 長時間、太陽光にさらされている

  • 短時間でもプラスの気温になっている

あ〜〜〜待ちに待った春の兆し♫

もうすぐ3月

いよいよ雪が融け始めます。
雪国にも春がやって来るのです♫

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