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文化と話題 2月 : はなとみやの12か月
月めくり万年カレンダーを作るための企画「はなとみやの12か月」。2つ目のシリーズは(月形の)文化と話題です。
2月の月形と雪は、切っても切れません。除雪にまつわるお話を中心に、冬の楽しみをいくつかご紹介します。/文:宮下裕美子(はなとみやの片方)
豪雪地帯の除雪は完璧
豪雪地帯に暮らすには
雪が降るのが当たり前の月形。朝目覚めたら、除雪が必要かどうか確認をするのが日課です。もっとも、暗いうちに除雪車が走る音が聞こえたら確定ですし、寝る前の降雪予報で確認することも怠りません。
家族の誰かが出かける前に少なくとも町道まで出られるように除雪をするのが豪雪地帯の常識で(我が家の場合)夫の仕事です。
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除雪の手順
身支度を調えたらジョンバー(写真にある赤いプラスチックのヘラ状の道具)を片手に玄関ドアから外へ。ここから除雪のスタートです。誰も踏んでいない雪は軽くて扱い易いので、足元に積もった雪を掬い上げてその先に置くを繰りかえし、足場を作ってから足を踏み出します。
まずは家の輪郭を明確にすることから。トラクター除雪機はコンクリートやアスファルトも削りますし、押し出された雪でシャッターが壊れることもあります。除雪時にモノを壊さないための心配りと丁寧な作業が重要なんです!
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トラクター除雪機は百人力
手作業で細かな部分の雪跳ねが終わったら、いよいよトラクター除雪機の出番。事故のないよう周辺に細心の注意を払って動かし始めます。
この日は雪が止んでいたので視界が利きますが吹雪なら何も見えません。耳もトラクターのエンジン音で遮られ、乗っている人はほとんど何も聞こえません。だから我が家ではトラクター除雪は夫一人の仕事です。
さぁ雪を順番に飛ばして〜 一筆書きの要領で飛ばして〜 効率良く飛ばして〜
夫はパターンを決めて自動運転のようにやっていますが、初心者には難しい。私にはできません(あしからず)。
町道の除雪は大型専用車
周辺の町道を除雪してくれるのは町所有の 除雪トラック。前面にブレードのついたダンプカーで、雪を押して脇に寄せながら除雪します。いつも午前3時頃にこの辺りを除雪してくれます。真っ暗なので写真に撮れず、残念。
一方、こちらは ロータリー除雪車。トラクター除雪機と同じ構造で、前向きで除雪します。ロータリー除雪車が出動するのは大雪か道幅を広げるとき。この除雪能力がスゴイんです! まぁこの辺りは人通りも少なく無制限に雪を飛ばせるので、ロータリー除雪車は滅多に見かけないです(笑)。貴重な写真です。
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この他に、繊細な作業ができる 除雪ドーザなども駆使して月形町内の町道は常に快適に通行できるように維持されています。
月形町の除雪体制
ちなみに月形町の除雪体制は以下のようになっています。人口2,700人の町でこれだけの除雪体制を組むのは本当に大変なのですが・・・ この体制だから豪雪地帯でも不自由なく暮らせるというもので、有り難いと同時に自慢です。
◎除雪の判断基準
1)早朝 降雪深 10cm~15cm 午前7時30分までに最低一車線確保します。
2)日中 降雪深 10cm~15cm
3)夜間 降雪深 20cm 午後5時~午後8時30分までに終了します。
◎除雪路線(令和6年度)
町道 131路線 延長 121km
歩道 25路線 延長 13km
公共施設 41箇所
◎対応除雪車
町所有車両 14台
借上げ車両 3台
豪雪地帯に暮らすための作法
こちらは町民への呼びかけ。守らなければ結局は自分に返ってくるので(たまに愚痴をこぼすことはあっても)誰もが心に留めて暮らしています。
【除雪について お願い】
月形町は、一冬で約9メートルもの雪が降る豪雪地帯です。道路などの除雪作業を実施するにあたり、限られた除雪車両の中で効率的な除雪に努めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
除雪作業を円滑に実施するため、特に次の4点について皆様のご理解とご協力をお願いします。
◎ 間口の雪処理にご協力を
除雪車で道路を除雪した後、各家庭の出入り口には車道の雪の一部が堆積されす。これらの間口の雪の処理 については、各家庭で行っていただくよう皆様のご理解とご協力をお願いします。
◎ 道路や歩道への雪出しはやめましょう
各家庭や事業所の雪を道路や歩道へ雪出しすると、道が狭く凸凹になり、歩行者の転倒や走行中の車がハンドルをとられるなど、交通事故を招く原因になります。非常に危険ですので、道路・歩道への雪出しは絶対にやめましょう。
◎ 路上駐車はやめましょう
除雪をする際に、路上に1台でも車が放置されていると、除雪作業の妨げになります。また、夜間や吹雪の際には、事故発生の原因となりますので、路上駐車は非常に危険です。「路上駐車はしない、させない」を合言葉に皆様のご理解とご協力をお願いします。
◎ 冬期間のゴミの出し方
ゴミが雪に埋もれていると除雪の際に散乱してしまいますので、ゴミ収集の決められた日時を守って正しくゴミを出しましょう。
除雪車で農地や空地に道路の雪が押し出される場合がありますが、皆様のご理解とご協力をお願いします。
除雪のことになると話しが長くなるのが月形人。そう、月形の文化です(笑)
冬の楽しみ
鹿肉料理
冬は狩猟期。狩猟免許を持つ友人たちから数回鹿肉をいただきます。丁寧に下処理されたものもあれば、捕獲したばかりのものも。大事な命の大事なお肉ですから、それぞれの部位や状態にあわせてお料理します。
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定番は鹿シチュー。拳大に切って下味を馴染ませてからフライパンで表面を焼き付け、料理用赤ワインと薄切り玉ねぎともに圧力鍋で10分。常圧になったらジャガイモとニンジンを加えて再度圧力鍋で沸騰0分。常圧に戻ったら水とトマトペーストを足して少し煮て、最後に市販のビーフシチューのルーを入れて出来上がり♫
鹿肉は牛肉に近いので、この調理方法で柔らかく美味しく食べることができます。もちろん焼き肉にしたり、大和煮風にすることも。ジビエが案外身近です。
編み物
手芸好きの私。1番は縫い物(布小物づくりや刺しゅう)ですが、冬はやっぱり編み物がしたくなります。好みの毛糸と編み針を傍らに置いて、手持ち無沙汰の隙間時間に編み進めます。イヤフォンで読書をしながら。
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月形には編み物好きがたくさんいらっしゃるんですよ。用事を足しに市街地に出ると手編みの帽子やマフラーを身につけている方をたくさん見かけます。毛糸屋さんもあるくらい。雪で閉ざされても、その暮らしを楽しんでいます。
雪だるま
雪がたくさんあるといえば「雪だるま!」と思うでしょ? 氷点下が続いていると雪がサラサラで作れないんです。でも、ちょっと春めいてくると少しは固まるようになり、小さな雪だるまができました。もうすぐ春です。
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ふと金色夜叉に見えちゃった(笑)